映画感想「丘の上の本屋さん」
Amazonプライムビデオで現在配信されている映画
「丘の上の本屋さん」を観たので感想を書いていきたいと思います
インプットとアウトプットを組み合わせると理解が深まるのでおすすめです
「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントが舞台
古書店を営む老紳士リベロと個性的な客や友人とのやり取りを丁寧に綴っている
その中で物語の核となるのが、移民の少年エシエンとの交流
店頭の漫画に興味を持ったエシエンに対し、無料で貸し出すリベロ
エシエンが読み終わった本を持ってきて、感想を話し合う
そしてまた次の本を貸し出すリベロ
最初は漫画から、有名な小説や伝記、少々難解な書物…
読了しては店を訪れ、感想を聞き、時には問いかけながら読書体験を深めていく
そしてリベロが最後に贈った本とは、、
・本を通じての人々の繋がり
エシエンだけでなく様々な人物が訪れる古書店
それぞれ探し求めているものの分だけ人生がある
探しているもの自体は見つからなくても、豊富な知識と経験で合ったものを提供できるリベロの造詣の深さを感じます
またリベロだけでなく、客同士で本を通しての交流も見られ、本好きには心惹かれる作品ではないでしょうか
・リベロとニコラ、歳の離れた二人の友情
古書店の隣にあるカフェの店員・ニコラ
頻繁に古書店を訪れ、リベロの不在時には店番を頼まれる仲
ニコラはザ・イタリアの伊達男といった出立ちで、古書店の客であるキアラをデートに誘っています
本とともに生きてきた老人リベロとカフェで働く端正な姿の青年ニコラ
正反対の人生を歩んでいるように見えますが、友情で結ばれていることが窺える描写がなされています
リベロの生真面目さが出てキアラとの関係に言及した際、女心が本当にわからないなと嫌味なくサラッと話すシーンは二人の良い対比を感じます
一見チャラく見えるニコラもリベロの体調や少し採算度外視な点にも心配して声をかけたり、リベロを信頼して胸の内を少し話すシーンもあります
そんなニコラの事を、素直な男だとキアラに話すシーンはお互いを思い理解し合っていることが伺えて好きなシーンです
エシエンもそうですが、信頼できる歳の離れた友人を持つことは容易ではないと思うので、それぞれの人物の人柄とも言えるでしょう
・エシエンの成長とリベロの寄り添い方
最初は漫画から、活字を薦められた当初は感想が表面的なこともあったエシエン
様々な本を読んでいくことで、読了後の感想も変わっていったように思います
次の本を借りてから店を出る前に、本から得た自分の考えを一言言っていくところも良いです
エシエンに貸し出す本は読んだことはなくても題名は聞いたことあるものが多く、貸し出す順序も合わせてエシエンのことを思っていることが伺えます
対してリベロは頭ごなしに本を薦め続けるのではなく
「飽きてないか?」「まだ読みたいか?」とことあるごとに問いかけます
誰かに押し付けられたものではなく、エシエンの内から本を楽しみたいという気持ちを大切にしているように感じました
エシエンもずっと前向きに読書体験を楽しんでいたように思えます
・美しい映像とシンプルに魅せるカット
古書店内をメインの舞台に、古書店前の通りと時折挟む風光明媚な自然の風景のみで構成されている本作品
余計なものを削ぎ落とし、美しい風景とシンプルでいて趣のある街並み・建物が映える
撮影方法も派手なものはなく、基本は二人の会話劇
多くても3人でそれも少しの間だけですぐ一人が立ち去る
美しくかつシンプルで、視聴者の思考を妨げるものがない
派手な展開や起伏のある物語はありません
緩やかに淡々と
見る人によっては退屈してしまうかもしれません
・本が好きな人
・シンプルな映像表現を楽しみたい人
・ほっこりとした気持ちになりたい人
・人と人との繋がりを感じたい人
こういった方々にオススメできる作品です
普段は自分が思ったことや書籍等から感じたことなどを書いていますが、何か作品を観た時にもアウトプットの場として今後もやっていこうと思っています
これをきっかけに本作を観ていただける方がいらっしゃればこの上なく嬉しいです
また皆様のおすすめの映画も教えてください
それでは今回はこの辺りで
読んでいただき有難うございました