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文章書くの大好きマンがプレイした「Blue Archiveアビドス対策委員会編2章まで」の感想


●はじめに

 こんにちわ。文章や詩を書いたりするのが趣味のココナッツサブレです。

 今回は、今更、「をたくもすなるブルアカといふものを、わいもしてみむとて、すなるなり!」という事で、Blue Archiveのメインストーリーを、アビドス対策委員会編の2章の終わりまでプレイ(というか、実質ミニゲームありの読書みたいな感じだった)したので、その感想を書いていきたいと思います。

 そんなに長い感想文にするつもりはないですが、まずこの記事の大雑把な雰囲気についてお伝えしたいと思います。
 多分この記事を読む人は既にこのメインストーリーの内容を把握している人ばかりだと思うので、あまりゲームそのものの内容説明は積極的にはせず、サクッと自分の感想を言えたらな、という事にフォーカスした記事になると思います、多分。

 じゃあ、レッツ、透き通るような世界観!

●実際にプレイしてみて、ゲームとしての印象

 まぁ、自分だってネットばっかり見てる自称オタクなので、ブルアカというゲームについて全く知識がない訳ではありませんでした。
 自分が事前に仕入れていたブルアカ知識はザっとこんな感じでした。

・コンセプトは「透き通るような世界観」
・女の子ばかりの青春群像劇
・なんか一人だけいる「大人の(推定男性な)先生」
・なんかメチャクチャエロい。凄くエロいらしい。エロ同人が多すぎる。プレイヤーはずっとブルアカで抜いてる。
・ウゴイテナイノニアツイ
・ん、あっちむいてほい
・ん、銀行強盗。
・ヤンクミ
・ほんのちょっとだけ、Twitterで見ちゃったネタバレ考察(正直何言ってんのかわかんねかった)

 あれですよね。ブルアカって、とってもHなゲームですよね、確か。ネットのどこ見てもドピンクのスーパーエロ同人フェスティバルみたいなテンションですもんね?「ブルアカの事良く知らないけど、この子のエッチなイラストはTLに流れて来たから知ってる。」なんていう文言が飛び交うくらいには、インパクトのあるエロジャンル。そんな一大勢力の根源としてのオリジナルゲームが一体どれほどのドピンクパラダイスなのかと、ドキドキしながらゲームを起動しました・・・!

 ・・・まぁ分かってたけど、そこまでエロが前面の作品ではなかったです。これは、個人的に結構重要なので、早いうちに書いておきます。自分はお話が気になってプレイした側の人間で、なおかつ一般的なプレイヤーよりもイラストレーションへの関心度が低めな人間なので、ストーリーやシナリオ主体で見ると、非常に丁寧に作られた青春群像劇だなという感想でした。

 ただ、「じゃあなんでブルアカはエロいの?ねぇ?ブルアカはエロいでしょ?何言ってるの?」という真っ当な指摘に対して満足な説明ができてない事は自分も理解してるので、なぜブルアカがエロい作品という評価になっているのか、という点について、個人的にその要因を2つ挙げたいと思います。

・キャラクターデザインに関しては露骨にエロが強い子が複数いる。
・メモリアルロビーや節々の先生(プレイヤー)に対するキャラクター達の発言が、仄かにこちらに恋愛的な好意を寄せているかのように感じさせる言い回しの事が多い。恐らく意図的にそうしている。

から、この作品にここまでエロコンテンツとしての需要がマッチしたんじゃないかと感じました。特にアコとハスミ……!あれビックリしたよね……!!パンツ見えてるし……!!横乳!!私驚いちゃったよ!!
 あれで風紀委員は笑っちゃうって。ホント。

 だから、個人的にここには学びがあります。キャラデザとストーリーに関係の薄い少しのセリフとメモリアルロビー演出。これだけでここまで作品の雰囲気や評判が作れてしまうのかと。メインストーリーは!メチャクチャ爽やかな青春群像劇なのに!
 ロビーというゲーム内トラフィックの中心に位置する部分にそういう要素をドンと配置している事も重要なのかもしれません。

●メインストーリーについての印象

 既に少し言っていますが、「透き通るような世界観」というフレーバーテキストの通り、正にそう評するのが模範解答だってくらい、丁寧で爽やかで賑やかな青春劇でした。自分で物語を書いてみたりする人間なので、自分が書きがちな物語の展開や雰囲気との比較ができるんですが、賑やかさと心温かなベースの雰囲気が浮き沈みなく安定感を持って描かれていく中で、一人ひとりのキャラクターの事情にも細かくフォーカスが当たって、それが喜劇的に物語に関与してくる、というのが、少なくともアビドス対策委員会編の2章まで読了した時点での感想です。

 実は現時点で、Blue Archiveの作品観には今後の展開を予感させる2つの疑問が上がっています。そのうちの1つが「浮き沈みがなく明るい印象」です。なぜなら、物語の描き方や演出抜きにして、もっと客観的にキャラクターの事情をリストアップすると、この物語の中には、もっともっと暗く、悲劇的に描く事もできる、いや寧ろ、そう描いた方が正しいんじゃないかと思えるキャラクターというのがそこそこ出てくるからです。

 筆頭は小鳥遊ホシノです。少なくともこのキャラクターに関しては、重い印象を充分に抱けるような描写がありましたし、そういう「ほんわかフィルター」みたいな作品の雰囲気から意図的に踏み出そうとしているようにすら、多くの人が感じられたと思います。ただ、もっと悲劇的にも描ける。もっともっと泣き叫んだり荒んだり、やさぐれてても理解できるレベルの設定だなと思いました。そう描かないのも勿論「透き通るような世界観」を維持する為のライティングですが。

 他にも、便利屋68の陸八魔アル、いや、便利屋68という集団そのものも、あの愉快なノリを誇張して描かなければ、中々現在進行形でしんどい事情を背負った”重いキャラ達”にしてしまえますよね。しかし、作品としては明確に、ボケ要員の愉快な奴らに落とし込まれています。

 また、ゲヘナ風紀委員長のヒナというキャラクターは、風紀委員長でありながら経歴に情報部(恐らく諜報活動機関)を持つことが序盤から判明し、さらには「幼げな見た目の少女」なのに「常軌を逸した強さ(暗にそこまで強くならなければならなかった過去がある事を暗示)」「周囲から恐れられている(可愛い見た目との状況的ギャップ)」という、いわゆる「悲劇的な過去・事情があるキャラクター」という演出をする上で効果的な要素が明らかに凝縮されています。設定や経歴の面を見ると、個人的にヒナというキャラクターはロシア大統領ウラジミールプーチンと印象が重なります(※注※ここでいう内容はヒナいうキャラクターが考案されたウクライナ戦争開戦以前の時点でのウラジミールプーチンに関する印象との比較です)。個人的に、こうしたキャラクターの抽象的な印象や物語における立ち振る舞いの予測には、現実に無意識下で指標とされる歴史上の人物が存在する事が多いという持論があるので、敢えて自分の中の印象の源泉である人物の名前を挙げさせて頂きました。
 大勢を統率するカリスマ性のある力強いリーダーである一方で、隠しきれないダークな雰囲気を纏ってしまう。そういう印象付けは、シナリオライティングにおいては中々美味しいと感じます。ヒナというキャラクターを、今後美少女ゲーム方面で展開するなら(メモリアルロビーや個別シナリオなど)「普段はキツイ・怖い印象を与える彼女も、より近くで触れ合えば何てことない可愛らしい女の子だった。」と舵を切れますし、そうした美少女ゲーム性とは切り離されて展開するメインストーリーのシリアスパートでは、健在的に重々しい印象のキャラとして扱い続ける事も可能だからです。
 それに、「普段は厳しい会社の先輩が家では甘えてくれる可愛い存在に変貌する」というのは、男性向け女性向けどちらでも古今人気の衰えない設定ですから。そうした「コンテンツとしての安定感」も、ヒナというキャラクターのメタな魅力だなと感じています。
 これは余談ですが、ヒナのお声を担当している広橋涼さんの演技が個人的に好きなのも、この普遍的な魅力が関連しているのではと感じています。広橋さんの声色が、個人的に「タッチ」浅倉南役の日髙のり子さん、「風の谷のナウシカ」ナウシカ役の島本須美さん等の、自分の中の「普遍的に美しい女性キャラクターの声」にカテゴライズされており、そうした「普遍的に綺麗な女性の声」が「普遍的に人気で魅力のある設定のキャラクター」に充てられているという安心感に、私はある種メタ的な充足感を得ているのではないかと考えています。

 少し話が飛んでしまいました。話を戻して、ここまで「浮き沈みがなく明るい印象」操作がボカシている要素について例示しましたが、アビドス対策委員会編の第2章はまだ物語全体の最序盤です。やはり、面白いシナリオを書きたい人間なら、この印象操作は今後の物語を大きく展開させるための「仕掛け」として使いたいに決まってるだろうと思います。
 その上で、Blue Archiveという作品、いやキヴォトスという学園都市には、もう1つ、世界観にある疑問が浮かんでいます。それがキヴォトスが「サザエさん時空」の可能性があるという事です。

 サザエさん時空とは、なぜか進む時間の中で特定の存在だけが年齢や時代観を固定される描写を「サザエさん」で歳を取らない登場人物たちの引用から命名した表現現象ですが、作品を見た視聴者にサザエさん時空だと感じさせる為にはいくつか方法があります。
 1つ目は、登場人物たちの人生観を徹底して描かない事。女子高生のキャラクターに「○○大学行きたい」とか「将来は○○になりたい」とか言わせずに、ただただ今現在の状況についてのフィードバックだけをさせるように表現する事で、登場人物たちの生きる時空を相対的に断定できなくし、疑似的に時空を固定する手法です。これはいわゆる「日常系コメディ」で定番化した技法と考えています。実際、アビドス対策委員会編はどこか「きらら」系列の学園コメディ作品群を系譜に持つようにも感じられました。
 2つ目の方法は、もう正直に「この世界、この教室の生徒たちだけはサザエさん時空なんですよ。」とメタな告白をしてしまう事です。実際の使用例としては、「さよなら絶望先生」の2のヘ組、「うぽって!!」の青錆学園、ゲーム「艦隊これくしょん」の鎮守府などが挙げられます。あと、何となくこの作品群はそれぞれブルアカとのシンパシーみたいなものを感じるなぁなんて思ったりもします。なんでだろ。

 まず、Blue Archiveがサザエさん時空である可能性について考える必要があります。Blue Archiveがサザエさん時空のように感じられる大きな要因は、

・先生以外に人間の大人がほぼ登場しないこと。
・女子校しかない学園都市という女子校生しかいなくてもいい箱庭。

の2つに集約されると思いました。逆に言うと、Blue Archiveがサザエさん時空である可能性が感じられるのはそれくらいとも言えます。逆にサザエさん時空ではない事の根拠になってもよさそうな情報すら、作品内に既に散見されたりもしています。

・恐らく3年制のアビドスにおける3年生である小鳥遊ホシノに先輩となる存在がいる。
・アビドスから去った大勢の先輩たちの存在。恐らくは暗に卒業生もいる。
・PMCの傭兵として退学生徒や恐らくは卒業生が雇用されているらしい情報

 正直、現時点でBlue Archive、キヴォトスという箱庭がいったいどれほど学園モノ美少女ゲームに都合のいい空間として用意されているかはわかりません。
 しかしながら、現時点では、「サザエさん時空のように感じられている」という状況の時点でもできる考察があります。それは、

・前述した「浮き沈みがなく明るい印象」の裏に垣間見える少女たちの暗い事情の存在感
・「サザエさん時空」のように描かれても”問題が無い”この物語の本質
に加えて
・ゲーム開始冒頭で見せられた謎の崩壊する世界と、先生(主人公)に何かを託した血を流す少女

という3点で完成する情報。つまり、

「この物語は、少女たちの成長や人生の幸福が主眼の物語ではなく、少女たちが暮らすこの世界そのものの崩壊(序盤で見せられた景色)に対する話であり、闇のあるキャラクター達の闇要素は、その闇を乗り越える事で少女たちが成長する事以上に、その克服によって世界になんらかの作用が起きる事を目的とした舞台装置としての役割を担っている。」

というものです。

 すいません。今更なんですが、自分、正直Twitterでちょっと展開のネタバレ喰らってて、結構ここで考察っぽく書いている内容はチートシートっぽい所があるなと自覚しています。しかし、シナリオライティングや物語構成に着目しながら自分自身でシナリオをなぞる事で、この物語がどれ程綿密に計画されているか、斬新なコンセプトで運用されているか、をギリギリと感じる事ができており、非常にワクワクドキドキしているというのも、また正直な感想です。
 なんだろう。こう、ひょっとしたらBlue Archiveという作品は、セカイ系作品を世界の内側、主人公たちの脇から傍観する、そんな事ができる作品なのかもしれないと、今この感想文を書きながら考えています。

●その他に面白いなと思った事

〇先生の一人称が「私」

 面白いなと思いました。文面が非常に中性的に見えるので。以前Twitterで先生女概念の2次創作を拝見した事があり、「そういえばブルアカって主人公の性別選択できるんだっけ?」なんて思った事があったのですが、プレイしながらその時の記憶を思い出して勝手になるほどなと頷いていました。基本は男性向けコンテンツにも見えますが、女性プレイヤーやファンの人もそれなりに見かけるコンテンツだったので、こうして実際にプレイすると、非常に先生のセリフが中性的に読めるように工夫されていて、よく2次創作で見かけるアロナのラクガキ先生がどこかおどおどした性格に描かれている事情の根源にやっと触れられた気がしました。

〇戦闘が可愛いくて爽快でリアル!!

 デフォルメキャラがタカタカ可愛く走り回ってる割に、割と硬派な市街地での銃撃戦描写をよく表現できていて、元々ミリタリーや銃器が大好きな自分みたいな人間でもワーッ!ってなれました。
 戦闘画面の銃撃戦の雰囲気にはどこか既視感があり、なんなのかと考えると、恐らくはブラジルの軍警察特殊部隊アクション映画「TRAPA DE ELITE」、もしくはガンアクションの名作「HEAT」の銃撃戦シーンではないかと感じました。
 「TRAPA DE ELITE」は、ブラジルの首都リオデジャネイロのスラム街、通称「ファベーラ」で、汚職と麻薬犯罪に汚染された街を軍警察機関(警察とは別体系の治安維持組織)BOPE(ボッピ)隊員たちが命がけで「浄化」していく映画です。ほぼほぼ実在の組織、実在の土地、現実的な犯罪事情を題材にしている事から、最早セミドキュメントのような雰囲気の作品で、実際、市街地戦のリアリティは非常に高いです。なぜそんな事が言えるかと言うと、実際にリオデジャネイロに入ったジャーナリストの映像でBOPE隊員が銃撃戦をしている本物の映像が世に出回っていて、比較できるからです。だからこそ、TRAPA DE ELITEの完成度は素晴らしい。
 なんでブルアカの戦闘の話をしているのにブラジル軍警察の話をしているかと言うと、「開けた市街地」で「至近距離で掠める銃弾を感じさせながら」「銃を握りしめて生身で撃ち合う」みたいな表現が、見ていてなんとなく似た風情があって、似たようなワクワク感を感じるなぁと、勝手に思ったからなのでした。
 本当に戦闘画面好き。

〇メチャクチャ「こいつ俺の事好きだろ・・・!」と勘違いさせてくれる可愛いキャラ達

 もうずっと「こいつら俺の事好きすぎだろ・・・!!」って気分になる。ずっと。ずっと悶々とさせられる。そもそもハスミとユウカはゲーム始めたばかりの人間に浴びせる刺激として強すぎる。ハスミ脚隠せ。綺麗なのは分かってるから。
 同人が量産されるのもわかる。
 でも、本当に個人的な感性ではあるけれど、自分の個人的な意見ではあるけれど!彼女たちは別に恋愛感情で先生(プレイヤー)に接している訳ではないと思う。あれは多分、普段周りに同年代の女子しかいない女子校の集合体みたいなキヴォトスの中で、いきなり目の前に現れた大人の男性に一時の好奇心が爆発してるだけの思春期の女の子なんだと思う。昔女子校に通っている知り合いから、「女子校にはただのおっさん教師にもファンクラブができる」という現象について教えて貰った事があるので、多分そういう奴なんじゃねぇかって勝手に考えてます。
 ただ、これから、”マジで来る子”が出てくる可能性はありそうなゲームだな、くらいには若干考えてます。ね、カズサ。

●おわりに

 恐ろしいゲームだぜ!Blue Archive!これからもストーリーを読み進めて、節目節目で感想文が書ければなって思ってます!それでは!

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