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#12 感情をどうコントロールするか①

Noteのページにお越しいただき、有難うございます。

先週、感情の捉え方と身体との関係性について少し書きました。
感情抑制が自律神経の興奮を引き起こすことや過去の感情をどう認知し直すか、また周りの環境によっても感情は変化するといった内容でした。今日は、具体的に身体に及ぼす「感情」をどうコントロールすればいいのか、そのあたりを少し考えてみたいと思います。

私たちは日常を過ごしている中で日々さまざまな感情を体験します。
朝起きたときに「今日は寝起きがすっきりしている」というポジティブな感情の日もあれば、最近の暑さにともなって「今日は寝苦しかった。朝からモヤモヤ…」といったネガティブな感情などです。

いつもポジティブなら良いかというとそうでもなく、いつもネガティブだと良いかというとそうでもない。じゃあ、いつも平常心でいることがいいかというとどうなのでしょう。

ある研究で怒りの感情を実験したモデルがあります。
お坊さんは私たちのイメージとしては、あまり怒らない。常に平常心でいる人という感じがします。そこで、お坊さんと一般の方を同じ空間上に座ってもらい、集中して「何も考えない状態をキープする」という課題に挑戦します。ある一定時間経過したら、そこにガヤガヤと子供達が入ってきて、集中することを邪魔します。その時の感情を分析するという単純な実験です。結果は、一般の人は子供達がいるときにイライラするだけでなく、子供達がその部屋から出て行ってからもなかなかイライラがおさまりませんでした。それに対して、お坊さんは一般の方より早くイライラし始めたそうです。でも子供達が出て行った途端にそのイライラがすぐにおさまるという現象があったそうです。

つまり、イライラするのは同じかそれより早いタイミングだったけど、その感情をコントロールして「元に戻るのが早かった」ということになります。

私たちの周りで感情が常に一定に見える人というのは、実は感情が一定なのではなく、感情の切り替えが早い人ということになるのかもしれません。しかし、その一方で前回書いたように感情の抑制は身体へ影響(自律神経の興奮)があるともされています。感情を抑制しすぎずに切り替えが早くなるということが感情コントロールには大切になるのかもしれません。

感情を抑制しすぎないためには、感情を外へ表現する必要があります。
Kennedy-Moore,&Watsonは感情喚起刺激の呈示から、感情の表出には5つの段階があると発表しています。

第1:ある刺激が一次的感情状態として生理的覚醒を喚起すること
第2:喚起された刺激を意識的に認識すること
第3:認識した感情をラベルづけして理解すること
第4:理解した感情を個別的な態度・価値・関心に従って表出するか決めること
第5:表出しようとするその場の環境が感情表出を思いとどまらせること

Kennedy-Moore,&Watson.1999を元に作成

第1と第2は感情の知覚段階で、第3から第5が実際の感情表出に関わってきます。ちなみに、人間の感情体験が異常な形で欠如したり、鈍化したりする失感情症(アレキシミア)と呼ばれる病態は、第3段階での誤った解釈、弁別が生じている状態であり、感情そのものを知覚していないわけではないようです。そう考えると感情知覚のあとに自己処理をして、後に感情の認知的再評価ばかりを行ってしまうと本来の感情を捉えにくく、失感情に近い状態になってしまうかもしれません。

私たちは自分の感情を的確に捉えてコントロールしていくには、先ずは自分の感情を大切にして、その感情を意識的に認識することにより、ありのままの感情としてラベルづけ分類できる必要がありそうです。つまり、怒っているときは怒っている感情として、喜んでいる時は喜んでいる感情として、それぞれの感情を自分の中で理解することです。それができれば、その次に続く「感情表出」がうまくできるようになるかもしれません。
少し長くってなってきましたので、適切に捉えた感情をどう表出するべきか、次回続きを書きたいと思います。

今週も良い1週間になりますように。

藤井 隆太

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