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イタリア滞在249日目・250日目

最新の呪術廻戦見ました?(2023年10月31日現在)

ナナミンが格好良すぎて。「原作こんなだったっけ」って思うくらい製作陣の愛を感じます。省略されている描写が気になりもするけれど、まるで映画のように一瞬で終わるくらい素敵な38話でした。

さて、今回は番外編です。トスカーナのカンティーナ訪問と同じくトスカーナのアンフォラ工場見学。

月曜日:カンティーナ見学

この日訪問したのはFattoria del Teso.

ルッカの近く、Montecarloにあるカンティーナ。規模は小さめらしい。大きかったけれど。シラー、カヴェルネ、ヴェルメンティーノなどを作っている。フランス品種の葡萄が多い変わったところ。畑の大きさは赤葡萄6ヘクタール、白葡萄6ヘクタールで合わせて12ヘクタール。

カンティーナの成り立ちは当主が1800年代にフランスに学びに行ってフランスの品種を持ち帰ったところから。シャブリなどの影響を受けたらしい。

この土地ではMontecarlo Rosso D.O.Cが有名で、サンジョベーゼを最低50%、カナイオーロ・シラー・メルローを15〜40%、カベルネなどのその他の品種を10〜30%入れられる。選択肢の多いD.O.C.

Montecarlo Bianco D.O.Cというのもあって、Trebbiano Toscanoを30〜60%, Sauvignon, Shardonney, Vermentino, Roussanneなどを40〜70%入れられる。

整備の行き届いたカンティーナ。こんな綺麗に草が刈られているところはなかなか見ない。ふつうは雨が多いと雑草生え放題になるらしい。生え放題が悪い、ってわけでもないけどね。
車に揺られてカンティーナへ辿り着くと先生が建物の中から降りてきた。
畑を綺麗に保つことにお金をかけてるカンティーナ。こうするためには草刈りを頻繁にやらないといけないらしい。
まずは屋外散策です。
葡萄の木。バルバレスコにいた時はまだ芽が出るか出ないかくらいだったから、生い茂った葡萄の木を見るのは新鮮です。これはPinot bianco.
近づくとこんな感じ。ピンクの花はバラ。畝ごとに植えている。バラがあると葡萄よりも先に虫がつく。防虫対策。昔のワイナリーに多いらしい。今はそれほど用いられている手法ではない。
葡萄の葉にある白いのはカビ、うどんこ病です。雨が多いと発生する。避けられないもので、少しなら問題ない。でも房についてしまうと問題。対策としては銅を散布するのがイタリア。
裏面。
雑草の刈り取り。通路側は草刈機、葡萄の木の下は手作業でやるそうです。草刈機が支柱で止まってしまうから。
仕立てはGuyot. Cordone speronatoの木も少し残っているそうです。
ちょっとだけ実があります。
こちらはトレビアーノ。成長が遅い。結実始まったばかり。
葡萄の木の間にも支柱が何本もあり、外は木、中は金属が入っている。
「ぶつからないように針金に入れる」とメモが残っているんだけど何のことか思い出せない。
畑は他にもまだまだあってSauvignon blanc, Shardonnay, Vermentino, Merlor, Sangiovese, Sylorなどが植えられている。

その他、学んだことメモ。

・仕立てについて。ネッビオーロは仕立てを選ぶが、その他の葡萄ではcordone speronatoはよく使われる、成熟がうまくいく。ただし老化が早い、15年。Guiyorでは起こり得ない。古い畑だから仕立てにcordone speronatoを使ってた、Pino、Vermentinoなど。新しい畑はGuiyotになってる。ただし、葡萄の木が古すぎる場合は寿命を活かすのが主流
・葡萄の木同士が近いと房が少なくなる。凝縮される。根っこが干渉しあう。伸び伸びと成長できない。大量生産にならない。昔は広い間隔でやっていて品質が低かった
・近年は考え方が変わってる。去年は夏に3ヶ月間が雨なかった。水不足。根っこが深く張らない。水を取り合ってしまう。木の間隔が広いと水不足には強い。故に絶対的な答えはない。バランスみる
・日照量の違いで畑の場所を変えている。奥の畑は潰す予定。条件がよくない。水不足なりやすい。他の場所を探す。葡萄の木も古かった。毎年暑く水不足が多い、影響受けづらい土地を選ぶ
・ここの畑は比較的涼しめ。通気性がよい。9月に雨が多くなると温度が下がりやすく、湿気も溜まりやすい

葡萄の実から房を取り除く機械、徐茎機です。黒葡萄は茎を取り除いて果実も潰す、白は茎を取り除くだけ。空気圧で葡萄を潰す。これは片側に風船があって潰すタイプ。収穫は日中に行う。果汁が暖かい。その後冷却装置で冷やす、上から入って下に行く。
白は液体だけタンクに入れる、真ん中が2重になっている。12度まで冷却する。綺麗にしたら他のタンクに移す。白はステンレスタンクとセメントタンクを使ってる。白葡萄は緑の受け皿(どれだ)に固形物を移す。手作業。コンベアがあるところもある。
セメントタンクの並ぶお部屋です。
赤葡萄に使われるセメントタンク。歴史ある。中はコーティングされている。材質はいいが手作業が必要。remontage. 毎日ポンプを持ってきて下から汲んで上からシャワー状にする。remontageの機械は1台だけ。20分間。午前午後。手間かかる。一人でやる。
ステンレスタンクは周りから隔離されるので温度管理が楽。静かに醸造できる。外気の影響が少ない。人間ならステンレスタンクの中で生活するときつい。デメリットは搾りかすを取り除くのが手作業。中に入る必要がある。コーティングが剥げる。8-10年に1回メンテナンスが必要。remontageで奥に行き渡らせるにはチェックが必要。全体に行き渡らないと乾いてカビてしまう。ここ15年はセメント回帰。セメントの形を改良している。熟成時の酸素との触れ合いをより良くする。セメントにコーティングがないと適度に熟成できることもある。改良された素材を使う。モンテカルロロッソビアンコ、その他をここで発酵させている。vin santoは違うところで樽も使ってる。Vermentino、Shardonnayはステンレスとセメント。奥で。 ステンレスタンクにはメリットもある。掃除が簡単。古くならない・自動化・効率化ができる。 セメントタンクは冷却済みなので温度管理をしていない。ステンレスタンクははパネルで温度管理。白ワインはremontageしない。だからタンク同士の間隔が狭いく、タンクの奥が深い。中が傷つかない。
白葡萄用のセメントタンク。狭くて奥が深い。
建物の中に入っていきます。
Vin Santo. Trebbianoを使っている。9月中旬の、熟しきってない葡萄を陰干しする。木の棚が伝統的なスタイル。透明のプラスチックも使う。Amarone, Valpolicellaでも。このまま収穫で使う。洗いやすく、管理が楽。量が多いのでプラスチックと組み合わせてる。ぶら下げるところもある。乾燥は規定で1月までやらなきゃいけない。そこを超えると水分なくなる。
ここは樽熟成させるお部屋。
樽。Caratelli. 100L o 200L.
Vin Santoは10年熟成する。
今は2004年を売っている。トルキオ。潰す道具。
1日だけタンクで清澄化する。その後に樽に移す。発酵は3年間。砂糖が多いから発酵は終わる。
こちらが陰干しに使うプラスチック。
ここは屋根裏。
シリコンの蓋が弾けないように抑えることも。
発酵時にセメントで蓋をしちゃうと空気の逃げ道なくなって爆発する。
こんなふうに。
敢えて酸素に触れさせるのが特徴。熟成状態に応じて蓋を変える。
Vin Santo、甘みはあるけどアルコール度数は高くない。 Secco 辛口もあるが、作ってるところは限られる。マイナー。料理との組み合わせも難しい。
イタリアには謎のサインがたまにある。
試飲タイムが迫ってきました。
トスカーナで作ってる樽を使っている。材質は栗・オーク。木自体は他の国かも。70-80リットル入る。ここのは一般的じゃない。古い。蒸留所で使っていたもの。ニュートラルでクセがない。新樽だと影響がでる。古い樽を使うとらしくなる。この部屋は熟成庫・展示室。今は使ってない。Riserva、Anfidiamanteはバリックで熟成する。トンノとバリック、新しいのが2つある。フランス産のオーク、トンノは影響が出ないように新品を使う。2,3週間に1回、継ぎ足しをする。Riservaは少し熟成する。IGPは11ヶ月全て樽熟成する。
40ヘクタールの樽があった。生産量が多かった時代のもの。100HLの樽もあり、1万3000本のボトルができる。今は12Lを使っている。
新樽は色でわかる。
パンはオリーブオイルをかけて食べる(オリーブオオイルソムリエ的にはそのまま飲みたい)。ペコリーノは熟成が異なるものが2つ。Finocchionaのサラミはウイキョウを入れたもの。スパイシー。プロシュートトスカーナ、サラメトスカーノ。油の量が多い。

・Montecarlo Bianco 2022 セメント/ステンレス
30%Trebbiano, 40%Vermentino, Pino biancoとSauvignon Blancが少し。別々に発酵熟成し混ぜる。例年より色がしっかり。fruttato, floreale, acidità, mineral。典型的な味、2-3万ボトル、これが代表ワインの一つ、DOCに合わせない生産者が多いがここのカンティーナは重視している。土壌は沖積層。川が運んできたので海の影響がある。地図的に海は遠くない。涼しい、気温の上昇に対応しやすい、13.5%
・Vermentino
DOCもできるがIGTでやってる。モンテカルロは世界的に有名じゃない。市場の目を引きにくい。Toscana & Vermentinoでマーケティングしている。エレガント、Salvia、火打石、sapido, acidità. 市場のウケもいい。Vermentinoは流行ってる。柑橘ドーンが多い。Vermentinoという葡萄自体は環境に影響される。サルビア、火打石、トマトの葉
・Orange del Teso
オレンジ。新しい。Vermentinoの皮をスキンコンタクト。醸し。少し樽を使っている。香りづけ。砂糖漬けのフルーツ。少し強めにプレスしている。ボリューム感がある。フィルターをかけている。新しいからビンテージはない。IGT Toscana。ビンテージ入れても入れなくてもいい。Vermentinoの量は確保できている。
・Montecarlo Rosso 2021
merlotとSylor。セメントのみ。frutta rossa, speziato. シラー、メルロー由来のスパイシーさ。飲みやすい。酸味とまろやかさ、重すぎない。abb strutturato, poco tannico? 2021年は霜が降りて生産量が減った大変な年。まだ若い。メルローの影響で青くさい、草っぽい。生産量は白と同じ
・Anfidiamante 2018
生産量少ない。年間2000本。40% Petit Verdot, 残りが20% merlot, 20% Sylor, 20% Sangiovese. セメント発酵。12-14Lのフランスオーク樽で熟成。frutato, 樽香、スパイシー、Petit Verdotの色、重厚さ、シルキー、まろやかな感覚。タンニン和らいでいる。適度な熟成。土地には合ってる。スーパートスカンに近い。歴史が深い
・Vin Santo 2003
Caratelli 樽。frutta secca. 酸化熟成、ナッツ、樽感出てない。甘み、とろりとした感覚。酸味もある。さらっとしてる。キャラメル、焦がした砂糖、燻製の香りがくる。1万キロの葡萄から十三キロだけ。1リットルあたり200g糖度残ってる。年によってはアルコール発酵が止まってしまう。

ここのカンティーナは案内してくれた醸造家の先生がコンサルをしていて。1998年から関わっている。それまでは安売り・大量生産だった。先生が入ってからは葡萄品種をこの地域に合うものを見直した。会社自体は1700年台からある。使っている樽は1600年のもの。家族経営のカンティーナだが国内だけではなく海外輸出が増えている。でも地産地消はできていないから苦労はある。

お値段はこんな感じです。日本にすぐ帰る予定があればお土産に買いたかったけれど、まだまだイタリアにいるからね。重いのはちょっと。

火曜日:アンフォラ工場見学

次なる舞台はアンフォラ工場です。
impruneta. トスカーナで有名。工房がたくさんある。
次なる舞台はアンフォラ工場です。
もとは装飾品メインの会社だった。2000〜2005年までは外国人が買っていた。その後はニーズが減ってしまった。その後実験的なプロジェクトとして、同僚と一緒にワインづくりを始めた。最初は200L容器を作った。ワインを入れて染み出さないか。物理的な試験から始めた。問題ない。液漏れしない。その後本格的なプロジェクトがスタート。2008年、ワイン醸造のテラコッタを作り、その後会社として成功。今はワインの瓶(かめ)に転向した。今はイタリアだけでなく世界中へ輸出している。アンフォラ自体はジョージアやスペインでも作っている、購入できるが、パーツの輸送や購入を楽にすることでワイン生産者に近づくことができた。

・アンフォラはギリシャ、ローマが起源。ジョージアが有名。クヴェブリ。新しいわけじゃない。
・なぜ成功したか。ワインに酸素を供給できる。いい意味で酸化。熟成がまろやか、香りが開く。アンフォラ自体の素材の味や香りがない付きすぎることがないことがメリット
・Sangiovese/Merlotは半年、一年熟成でまろやかにしつつ、葡萄らしさを生かしながら熟成できる。市場のニーズにマッチ
・好評だった生産者は樽の香りをつけたくない人々。樽香とタンニンが乗ってしまう。それはしたくないけどまろやかにしたい人々
・時代的にも樽間を出すのは好まれない、合致
・樽熟成すると甘さ、タンニン、まろやかが変わってくる。同じ熟成でも、それらを求める人にはテラコッタは物足りない
・形状、蓋、容量、出口、パーツ、醸造の現場で使えやすいように考えている

アンフォラのツボだけじゃなくていろんな彫刻が並んでいる。像や庭の装飾品など。大きな瓶(かめ)にオリーブオイルを補完するのが伝統だった。タイルも有名。
大仏ある。
材質は地産。原材料の粘土は専門の会社から買っている。山から採掘し、粉状、練り込みする。水を加えて粘性を持つまで攪拌する。パン屋の機械を使っている。
パン屋の機械です。
練り込みが終わったら整形。ころんびーの(?)。下から手作業で積み上げる。1日に8-10cm. 乾いたらちょっとずつ。 3000年、4000年、変わらない方法。おそらく世界中で。
もう一つの方法。型を使って整形する。石膏の内側に粘土を慣らす。ぼんぽん。お菓子作りのバターみたいな。粘土を乾燥させた粉。離れやすくなる。どんどん上に載せる。手で滑らかな表面にする。乾いたら型を外す。綺麗に整える作業。その後に手作業で口をつける。

模様はお客様次第。
作業が終わったら乾燥。
色の違いは乾きの違い。灰色は乾いてる。完全な灰色になったら焼きの工程。
オーブン。1050℃で2日間。その後温度が徐々に下がり、60-70℃に下がったら扉を開けて冷ます。熱源はガス。前と奥にある。トータルで3日〜3日半。赤茶色は土の中の鉄分に由来する。昔(?)は下の板に耐熱素材、窯を作って薪を入れて間接的に熱を加えるオーブンを作っていた。おそらくジョージアはこうやってる。800-900℃くらいまでしか温度が上がらないが時間をかける。テラコッタ素材を壁にも使っていたが壊れたりしていたのでやめた。
*この日は運よくオーブンから出したばかりのタイミングで見学できました。まだ温かい(ッハ!先ほどまで誰かいたの?)
タイヤがあるから動かせる。
工房の物置。
案内してくれたのはLeonardo. 
オーブンから出したら屋外へ持っていき、中に水を入れる。問題がないかチェック。破裂しないか、水につけるのが独特の工程。土がもう一度膨張して崩れにくくなる。強度を高める。これで完成。
「まだ新しいプロジェクトだから歴史的な検証はないけど、容器に何も残らない、半永久的に使える、洗うだけ」

・中は蜜蝋でコーティングされてることが多い。洗いやすい。80℃のお湯で水圧高くして洗う
・ここで作っているアンフォラの容量は基本的に800L。最大で1000-1100L。ジョージアは2000L。窯を毎回作るから。ここの会社でも技術的にはできる。ただし粘土の材質がこっちは固く、ジョージアは柔らかい。円柱状の大きさが限界。ジョージアはもっと大きくしても千切れない。液体をキープできるメリットもある。価格は2300€。
・ミニモ、70-80L。蓋はステンレスまたはゴム。テラコッタ。480€。蓋込み(買いたい)。バリックは250L〜900L〜1200L.

チーズの保存、冷蔵庫だと冷たすぎる、匂いがつく。常温がより良い。販売用ワインでテラコッタを求める人はいるけれど、一度ワインを瓶に入れたら安定させなきゃいけないという考え方がある。
案内してくれたのはLeonardo. 
La Teracotta e il Vinoという試飲会が2年に1度あるらしい。行きたいんだけど。
これ全部アンフォラ。
この前フィレンツェで飲んだカンティーナのワインが置いてる!(ここから近い)
Asprinio di Aversa. DOC. 
Sangioveseのアンフォラ。
カタログ。
この子をお買い上げ。
この子もお買い上げ。Al di la del Fiume.
アンフォラの素材で作る郵便局。有名だったらしい。
お肉を拵えまして。
パーティです!
ささっと料理して買ったばかりのワインを開けました。

ここからオフショット。

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不定期連載。実験的に始めます。買い切り。

イタリア滞在期(2022.10~)を連載中です。イタリア料理、ナチュラルワイン、日々のこと。エッセィ。

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