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140字小説

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2018年2月の記事一覧

「コーラ」
自販機のコーラを見たら思い出す。子どもの頃、学校でいじめられ泣いて家に帰ると、親父は俺を連れて近所の河原を散歩した。しばらく歩くと自販機があって、親父は二人分のコーラを買って言った。「大丈夫や、大丈夫やで。」あの日の親父の声がよみがえるのだ。 #140字小説

「ケース」
差出人不明の郵便物が届いた。中身は黒いケースだった。インターホンが鳴った。「◯◯警察の者です」僕は警察に連行された。どうやらケースはある事件の証拠品らしかった。容疑者は僕のような長髪の30代男性。僕はケースを配達した長髪の男の口元の笑みを思い出した。 #140字小説