嗤う蟲
鑑賞:2025年1月@新宿バルト9
トモロヲさんが持っていく。
田舎の村に移住した夫妻が、恐ろしき村の掟に巻き込まれるお話。派手さや不思議さが少なくて、評価が上がりにくいと思います。でも、村の秘密や住民の行動、主人公に巻き起こることは全てリアルに起こり得るモノになっていて、そこが評価されるべきだと感じました。とても真摯なお話で、作り手への信頼感は高いです。渋いというか、落ち着いたストレートな作り。
なにより設定、ストーリーが、愚直です。村の秘密は、考えたことのあるネタで、妙に嬉しかったです。
役者さんパワーも良いです。深川麻衣さんと若葉竜也さんの夫婦役。絵に描いた夫婦ではなく、そこそこウェットな感じなのが、また良いです。深川麻衣さんの妻っぽさが、新鮮でした。若葉竜也さんは、田舎に溶け込もうとする姿勢が予想以上に合ってて驚きました。で、そんな主役のはずの夫婦を迎え撃つ地域の代表夫婦が田口トモロヲさん杉田かおるさん。杉田かおるさんの配役は、最初ピンと来なかったのですが、ジワジワ迫ってくるのにピッタリでした。隣の家の夫妻と、村の駐在の配置が、また上手すぎます。
しかし、そんな良き配役の中で全てを持っていくのが田口トモロヲさん。役も役者さんも、ハマってます。この作品はトモロヲさんが持っていくんです。怪演というのとは少し違う、スイッチの入ったトモロヲさん。主役を超えるインパクト。流石です。
気持ちのいい話では無いのですけれど、田舎移住の夫婦に巻き起こる恐ろしい体験と、村の秘密の解き明かし、そしてトモロヲさんを堪能できる作品でした。
▲田口トモロヲさんが監督された「ピースオブケイク」、おススメです。(「嗤う蟲」とは、まったく毛色が違う作品です)
▲城定秀夫監督の作品でおススメなのが「愛なのに」。これも「嗤う蟲」とは毛色が違う作品です。お話も役者さんも素敵です。瀬戸康史さん、さとうほなみさん、河合優実さんほかご出演。