note4k回目2

「感じる知性」をどう伝える? ~ノープランから生まれる価値を体感する④~

2019年3月14日に行われたイベント(「感じる知性」を取り戻そう!~ノープランから生まれる価値を体感する~)の内容、ほぼ原文そのままです。

*イベントの概要

https://kanjiruchise2.peatix.com/

*写真の一部は下記からお借りしていますhttps://www.facebook.com/yamabushido/

○「感じる知性」をどう表現するか

渡辺清乃(以下渡辺):今回「感じる知性」ということをビジネスパーソンが知恵として入れてくれたらいいなと思っていて。でも、感じるってことを本でどうやって伝えていこうかと、いろいろなことを私たち3人の中で話しながら、よかったら皆さんも考えてくださいということでこの会議が始まっているんですね。
 ここまでの話を聞いて共感する・しないとか自分の体験とか、それも含めつつ、「感じる知性」を人に伝えていくとしたらどんなことが必要なのかなとか、本当にいい知恵とかを目指さなくていいので、思いついたこと、いろいろ感じたこと、出てきたことを同じテーブルの皆さんで話しながら、あとで全員にシェアしていただけたら嬉しいなと思います。感じる知性について、それをどうやっていろいろな人が読める形にしていったらいいのか、というところをお話いただければ思います。時間になったら、またほら貝でお知らせします。

(ほら貝の音)

渡辺:時間が限られていて、全部のグループから聞きたいんですけれども、できそうもないので、お帰りの際に付箋に書き残しておいていただければ、参考にさせていただきます。時間の許す限り聞きたいと思います。
まずは、まだお声を聞いていないグループから。

参加者F:絵本とかフォトブックとか、ビジュアルで伝えるもの、文字とかはあまり使わないものはどうかなと思いました。やはり先達が仰っていた、「修行の時、基本的には言葉を喋らない、喋ったとしても、『うけたもう』」だけという。そこも踏襲しながら絵とかビジュアルで伝えるもの。あとは、例えば本も1ページ1ページ違う形にしたり、紙の質とかも変えたりして、五感で感じてもらえるような、余計な言葉はない、そういうシンプルな本で訴えたらどうかなというのをこのチームで話しました。

(拍手)

渡辺:ちなみに、ここのグループは感じる知性ということについてご体験ある方がいらっしゃるとか。

参加者G:今日時間が余ったので、八重洲ブックセンターに入ってグルグル回っていたんですね。そしたら向こうから目に飛び込んできた本がありました。岡潔でした。岡潔は奈良女子大で教鞭を執った数学者で、最後は少し神がかった人なんですけれども、「情緒と創造」という本の内容が感じる知性とちょうど重なったんですね。情緒は感じることだし、知性は創造ですから。
 30年前に読んだんですけど、岡潔は数学者だから数式をたくさん作ったんですね。ところが、公開したのはごく一部なんですよ。どうしてかというと、今日たくさん数式作っても、数日間寝かすそうです。最低一日以上。そしてもう一度見直すんですね。その時に情緒が許さないと、それは捨てる、消しちゃうということをされてたんです。それでびっくりしたんです。
 どのぐらいの割合で残ったのか分からないけれども、2割ぐらいしか残らなかった。しかしそれは岡潔が作った数式として一応公開できるレベルだと。数式はできるだけシンプルで美しくなくちゃならない。
 そしてその美しさ、数学者が言う美しさというのは何でしょうか。これは我田引水で申し訳ないんですけれども、これはピラミッドなんです。ピラミッドを見て美しいと感じるかどうか。自然はピラミッドと同じ理屈が入っているんですけど、その理屈がなくても美しいと思える。されどもちゃんと理屈で説明ができる。それが感じる知性じゃないかなと思っています。
 だから美しいものを美しいと言える環境が必要だし、それをちゃんと理屈でもって後付ができる。最初に理屈付けをしても納得できません。美しい、面白そうというところから始まって、興味があって算数嫌いの人が本当はいないほうがよかったなという反省をしています。

(拍手)

○経営者はアーティスト? 感じる知性と美意識

参加者H:これは僕の体験談なんですけど、10年前に企業にいまして、3つの会社の役員をやっていたんですけれども、その時に会議でAかBかと決めるときに、直感的にBだと確信することがいろいろあって、みんなからは「なんでそれなんですか?」と聞かれるんですけれども、理由はないから、「理由は明日説明する」と言って一日かけて理由を考えるみたいなことやっていたんですね。
 あと、社長と会長の翻訳係は僕だったんですけれども、2人とも完全に直感で決めるんですよ。それを社員に説明するときに理屈を考えるのは僕の役だったわけです。そういう体験がいっぱいあって、今回も参加したいなと思って来たんです。
 私のグループでも、経営者にとっては美意識というのが重要で、経営者はアーティストだと。それを形にするサポート役がいればいいんじゃないかみたいな話が上がっていて、今の話も聞いて思ったのが、「感じる会議」みたいなことをやったらいいんじゃないかと。決定したことをしばらく、少なくとも翌日まで寝かせて、それからただ単に結論をみんなで見て、それで美しいとかいいとか感じるかどうか、そういう感じる会議というのをあらためてやると、社長がいなくても結構真に迫った決断になったりするのかなと。急に今思いついたので言ってみました。

(拍手)

渡辺:私のボディワークの師匠のグラバー先生も、さっきお見せした真・善・美とあるけれども、美から始めるというのがボディワークの考え方だという話をされていて、美というのは五感で感じるというか受け取るもので、美からはじまって自分の心へ行くという、そういう道筋を立てなさいということをおっしゃっていました。
 前回もご参加いただいたのですが、ドクターをされている方が今日もお越しくださっていて、さっき内蔵感覚の話も出ましたので、ドクターとしてどんなふうに思うか、個人的にということで構いませんので、お話いただければ。


○「分かる」ために「分ける」


参加者I:私は脳外科を43年やっていまして、去年からリハビリの病院を任されているんですけれども、今日は脳梗塞の患者さんが少し状態が良くなかったので、それで出るのが遅れました。その方の奥様には、厳しいという話は差し上げたんですけれども、これからは「頑張って頑張って」と言ってきたことに対して、ご家族が「お父さんよく頑張った」と褒めるフェーズに入ってくださいということを話してきたんです。
 今の内臓の話からしますと、腸にはホルモンがあることが分かってきて、これは脳のホルモンと類似だということが分かっていたんですけれども、実はまったく働きが別というか連絡がないという。神経と血管はつながっていますけれども、腸は本当に腸だけで生きているというのも、先達が感じられたことというか、自分が体験されたことだから間違いないと思うんですけどね。そういうのが分かってきたということです。
 いろいろなご縁があって、ノーベル賞をとられた方のお話も何人かうかがっているんですが、「本当に分かっていることってほぼほぼないな」というのが実感です。あまり言ってしまうといけませんけれども、西洋医学にかぶれた先生には注意されたほうがいいと思います。恐縮です。

渡辺:さっきホリスティックキャリアという言葉を出しました。ホリスティックというのは、分けない、全部入っているという考え方なんですけど、ホリスティックサイエンスという領域があって、そこで化学の先生とか数学の先生とかが、分けて分けて分かろうとして分けていたんだけど、最後やっぱり分かれないじゃんとなって、ホリスティックサイエンスという学問を今やっているんだよという話をされていたことがありました。
 分かるためには分けなきゃいけないし、感じる知性も言語化しないと伝わっていかないので、言葉化をしたいなと思いつつ、でも言葉にならないことがいっぱいこぼれ落ちるところがあるから、どうやってやっていったらいいか、というのを考えているところで、「そこは清乃よろしく」と先達が言うから……(笑)

星野文紘(以下星野):俺も頑張るよ。

渡辺:そんな風に考えているんですけれども。もう時間ですかね。あっという間に。もっと他のグループのお話もお聞きしたかったんですけれども、よかったら皆さん、話されたことをそこのボードに付箋で書いて貼っておいていただけるとありがたいです。
それと、皆さんは一緒に考えていただけるお仲間だと、私たちは勝手に一方的に思っているので、ぜひご一緒に、感じる知性がこれからの社会に新しいものを生み出していけるような、そんな仲間になっていただけたらなと思います。先達、何か最後に。

星野:今の清乃の言葉ですべてです。(拍手)

柏原:どうもありがとうございました。こういう会というのは楽しくていいですね。

渡辺:一回目は社長もいらっしゃったんですよね。

柏原:そうそう、社長が来てどうしようと思ったんですけど(笑)。今日はいないので少し安心しています(笑)。

 普段本を作るときって、すごく孤独なんですね。著者と編集者が顔を突き合わせてひたすらがんばる、みたいな感じなんですけど、こうやって仲間がいると心強くて、いろいろな方の知恵を分かちあえるというのが本当にありがたいなと思っています。


*2019年3月14日「感じる知性」を取り戻そう!~ノープランから生まれる価値を体感する~ イベントレポート おしまい

*編集協力 もうりえみ

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