17歳、不登校のお話(中編)
前回はこちら
これは明るい類の話ではないですが、私は17歳の夏、高校に通えなくなりました。今思えば、自分でもよく逃げだすことができたなと、そう思えるこの出来事について、書き連ねていこうと思います。
長くなりますし、苦しい文章ですので、興味のある方だけお読みください。
読んでほしい人
■今まさに不登校の方
■身内に不登校の方をお持ちの方
■過去に不登校だった方
不登校生活
夏休み前に不登校になってしまった私は、そのまま誰とも会わずに夏休みに突入しました。
大量の課題が学校から送られてくるも、それらに一切手を付けられずにいて、部活のみんなにも心配をかけたりして、何より家族をこれ以上ないほど打ちのめしてしまったことが、つらかったです。
私自身は、父を、両親を喜ばせようと思っていろいろ道を探ってきたのに、結果的に一番悲しませることになってしまった。罪悪感では言い表せない巨大な負の感情が私を覆い、私は発声不可能な状況になりました。
そう、文字通り話せなくなったのです。今思えば、だいぶ重症ですよね。
人とコミュニケーションが取れなくなった私は、この時期大量の映像作品を観漁りました。この時出会ったのが、「新世紀エヴァンゲリオン」です。
旧劇場版と呼ばれる、救いのない方のやつです(笑)
人は心を病むと、そういう作品と巡り合うんでしょうか。
分かりませんが、とにかく私はシンジ君に感情移入し、アニメを一気見していました。
そのほかは特に何をするでもなく、ひたすらぼーっとしていましたね。
不登校の時って、たぶんこうして何もしない、考えないことが、長いトンネルを脱するきっかけになったりするんだと。確信は持てませんが、私はそうでした。
将来のこと
不登校児に与えられる選択肢は、実は多いのです。
私の場合は、
①復学する
②転学する
③通信制の高校に通う
④働く
⑤海外に留学する
の5つでした。
ずいぶん悩みました。脳は動きませんが、なんか必要最低限の意思決定器官はまだ生きていて、それぞれのメリット/デメリットを洗い出していました。
まとめるとこんな感じ。
①復学する
メリット:環境は変わらない デメリット:かなり勇気がいる
②転学する
メリット:1からやり直せる デメリット:学校選びが大変
③通信制の高校に通う
メリット:すぐに入学手続きができる デメリット:将来が不安(学歴的な意味で)
④働く
メリット:バイトであればすぐにできる デメリット:中卒になる
⑤海外に留学する
メリット:一気に環境を変えられる デメリット:博打に近く、財力も必要
私はよくよく考えましたが、まず①復学は候補から消えました。
もう、どんな顔をして戻ればいいのかわからなかったし、戻ったところで将来またこうなるとも限らない、と思ったからです。
また、④働くもすぐに消えました。この先の選択肢を大きく狭めると思ったからです。
ということで、②転学と③通信制の高校、⑤海外留学が残り、それぞれの分野で資料請求などを始めました。
父はこんな私のために少しでも稼ごうと必死に働き、母は家から出られない私に代わって、説明会に東奔西走してくれました。
そんな両親にもうこれ以上心配をかけられないなと思った私は、重い腰を上げて、自分の進むべき道の吟味を始めました。
その結果、ある日母が通信制高校のパンフレットを持ってきてくれた時、私は久方ぶりに自らの声で、
「留学、したい」
と意思表示したのです。
これはもう私の性格としか言えず、叶えてくれた両親には感謝しかないのですが、心の中では「広い世界を見てみたい」という願望が渦巻いていたのです。小学生の時の「中学受験をする」以来の意志の発露であったかと思います。
両親は何ら反対することなく(海外でやって行けるのか相当に心配はしていましたが)、関連する会社の説明会に行ったり、知り合いのツテを辿って情報を集めたりしてくれました。
結果として私は、不登校になってから半年後の冬、南半球のニュージーランドへと留学することが決まりました。
自分でも思ってもみない新天地への、旅立ちでした。
つづく