【参加レポ】毎日新聞 ことば茶話 第1回
こんにちは!ふずくです• ᴥ •
今回は、9月28日に行われた毎日新聞のオンラインイベント「ことば茶話」について、感想を述べていきます。
ことば茶話とは
「毎日ことばplus」には無料会員と有料会員(1,500円/月)があります。
ことば茶話は、有料会員の特典のひとつです。
非有料会員の視聴チケットが2,000円なので、その他の特典ありで1,500円というのは、かなりオトクですね🉐
今回のテーマ
広辞苑と校閲記者の“厚い”関係
今回のゲストと聞き手
ゲスト:平木靖成(ひらき・やすなり)さん
平木さんは「広辞苑大学実行委員会」というYouTubeチャンネルにも出演されています。
聞き手:平山泉(ひらやま・いずみ)さん
感想
ここからは、私の個人的な感想になります。
ぜひ「毎日ことばplus」に入会していただきたいので、ネタバレは最小限で。
拠られがちな「広辞苑」
話は校閲記者の方が「広辞苑」をよく使うというところから。
たしかに、記者の方だけではありません。
むしろ「記者の方もそうなんだ!」と思いました。
「広辞苑によると」という文言はよく見ます。
平山さんによると、辞典好きが集う「国語辞典ナイト」なるイベントでは、「広辞苑によると」の数を調べたグラフがあるとか。
そのグラフは私の手元にないので、現代日本語書き言葉均衡コーパスBCCWJ「中納言」で調べてみました。
※現代日本語書き言葉均衡コーパスとは
現代日本語の書き言葉の全体像を把握するために構築したコーパス。
1億430万語のデータを格納。
検索条件:検索文字列「広辞苑」
得られた138件の結果から、見ていきましょう。
「広辞苑」は様々なジャンルにおいて、その根拠とされていることが分かります。
それでは、検索文字列をほかの辞典にして調べてみましょう。
その結果はこちらです。
小型辞典
岩波国語辞典:0件
旺文社国語辞典:0件
三省堂国語辞典:2件
新明解国語辞典:7件
新選国語辞典:2件
明鏡国語辞典:6件
中型辞典
大辞泉:17件
大辞林:29件
大型辞典
日本国語大辞典:24件
広辞苑が圧倒的すぎる。
もちろんこの結果の中には、典拠としての記載だけでなく、たんに言及しているだけのものも含まれています。
それにしても、広辞苑が登場する回数は、ほかの辞典に比べて多いのです。
広辞苑が一番か?
「Qさま!!」のような有名クイズ番組なんかでも、「広辞苑」に出ている言葉の意味を見て、その言葉を当てる早押しバトルがあります。これはなぜ「広辞苑」なのか。「広辞苑」と聞くと、やはり何か権威めいたものを感じるのでしょうか。
もし権威=語数なのであれば、国内唯一の大型辞書「日本国語大辞典」には約50万語が収録されています。辞書の世界では大は小を兼ねませんが、それでも「広辞苑」の25万語よりも多い点はひとつのアドバンテージのはずです。
また、赤瀬川原平氏の『新解さんの謎』で有名になった「新明解国語辞典」も、その語釈のユニークさから広く知られており、根強い人気を誇っています。
にも関わらず、今日まで「辞書といえば広辞苑」という立場はゆるぎません。
広辞苑がなぜここまで有名になったのか。
それは「タイミング」と「そこにあったものが出せたこと」だといいます。
そのあたりの話は、こちらが分かりやすいでしょう。
こういった経緯で「辞書=広辞苑」とまでなったわけですが、広辞苑が一番ではない、と平木さんは繰り返します。
有名な辞書が必ずしも(使用者にとって都合の)よい辞書かというと、その限りではありません。「広辞苑」は古い意味から順番に載せている辞書なので、普通に調べ物をするには技術を要する辞書です。
ほかの辞書においても同様です。
語釈が面白い辞書であっても、「面白い」ということと「実用的である」ということは必ずしも両立しません。学習用には向かないということです。
逆にいえば、用途に合わせて辞書を使い分けることができれば、国語辞典は我々のよき友人として生活をサポートしてくれるでしょう。
具体的にどのように使い分けるか?ということについては、こちらが非常に役立ちます。
どの辞書を選んでも「これ1冊さえあればOK」ということはないです。
それは、無限に広がり続けている日本語のどこを切り取るか、そしてどこまで掘り下げるかという部分が、辞書の特色を形作っているからです。
いっぱい持っておけばそれに越したことはないと思いますヨ• ᴥ •
(そうやって私は130冊集めたわけですし)
ちなみに、私は「岩波国語辞典」「旺文社国語辞典」「新選国語辞典」をメインで使用しています。ご参考までに。
おわりに
だいぶトークイベントの最初の方だけで語り尽くしてしまいました。
本編ではほかにも、国語項目と百科項目の違いや、広辞苑ができるまでなどのお話もあります。
終始和やかな雰囲気で進行し、チャットでも質問が盛んに行われるなど、配信者と参加者の距離が非常に近い点が魅力的でした。
第2回が待ち遠しい……• ᴥ •
皆さんもぜひ「毎日ことばplus」でよきことばライフを。ではでは。