最新のゲームから学ぶアイデアの実現方法とは?書評系Youtuberの渡辺祐真/スケザネが語る「妄想」。
本にまつわるあらゆるコンテンツを愛する「書評系Youtuber」
スケザネさんのYouTubeは、「本好きなら必ずハマる」と言ってもいいくらいのコンテンツ力があります。「そこ突いてきたか〜」と思わせるポイントづくりがとても秀逸。
さらに、様々なゲストを読んで熱く書評を語るその姿からは、本を初めてとして、あらゆる文化的コンテンツに対する、渡辺さんの底知れない愛情がうかがえるのです。
最近のおすすめは、YouTubeで宮田愛萌さん(渡辺さんと同じく書評家・文筆家として活躍)とおこなった「利き文庫」対決。いろんな出版社の文庫本を箱の中に入れ、まったく見えないなか「触るだけで」それがどの出版社の文庫本なのかを当てる、という企画です。
いや、誰が新潮文庫とちくま文庫とハヤカワ文庫を「触っただけで」区別できるというんですか……(ちなみにお二人はめっちゃ当ててます)。このゲームの発想そのものが斬新すぎてワクワクするんですが、特に見て欲しいのは対決そのものよりも、そのあとの「本に関するうんちくパート」。文庫本に関する教養が爆上がりするので、ぜひ明日の雑談ネタに困っている人全員に見てほしい。
ほかにも、ベストセラー書評家の三宅夏帆さんとラジオをしたり、能楽師の安田登さんと様々なイベントを企画したりと、とにかくエネルギッシュに活動されています。
直近では、宮田愛萌さんとの共同編集で同人誌『ミモザ vol.1』も刊行されるようです(「架空の書評」というテーマが『妄想講義』とも通じる遊び心を感じます!)。
さて、そんなスケザネさんは『妄想講義』でどんな「妄想」を語ってくれたのでしょうか。
まだこの世にない概念を具現化するには?
スケザネさんが本書で提起する妄想は、世の中を作り変えてきた人間の想像力そのものです。それを、彼は冒頭でSF作家のスティーヴン・ホーキングの言葉を引用しつつこう語ります。
突き詰めれば、「私たちの頭の中にはあるけど、まだ世の中に具現化されていないイメージや発想」こそが、「妄想」の持つ大きなポテンシャルのひとつだといえるでしょう。
だが、頭の中にあるものをどうやって現実に実装するのでしょうか?
これはビジネスでも表現活動でも日常生活でも、誰もがぶち当たる壁なのではないでしょうか。
スケザネさんは、「制約と特性を活かす」ことがそのひとつの答えだといいます。
いったいどういうことでしょう?
10進数は、人間の身体の制約から生まれた?
彼が最初の例として出すのは、数字の数え方が10刻みになった理由についてです。世界中ほとんどの国で用いられている「10刻みで桁が増えていく」10進数。どうやらこの数え方が広く普及したのには、人間の身体の「ある制約」が関わっているらしいのです。
詳しい話はぜひ本編を読んでいただきたいですが、ここで学べることは「制約」こそが「妄想」(まだ現実にない、自分の中だけにあるイメージ)を具現化するためのキーワードだということ。
さらに面白いのは、スケザネさんが体験した最新のゲームから「自分らしい特性の見つけ方、活かし方」を見つける話です。
「バグ」や「視覚を奪う」といった、本来ならマイナスイメージが強い制約をあえて活かすことで、新しい楽しみ方を生み出せるといいます。この話には、何かを新しく生み出そうとする人すべてにとってのアイデアのヒントが凝縮されています。
新しい一歩を踏み出す人の希望となる
さらに文の最後でスケザネさんは、「妄想」を具現化するための一歩となる、誰でもできる「ある方法」を伝授します。そこには、自身が様々な表現活動に携わり「妄想」を形にしてきたスケザネさんだからこその説得力があります。とくにラスト4段落は、現実生活にモヤモヤしている人全員に読んでもらいたい。
ぜひ、その内容は『妄想講義 明るい未来の描き方と作り方』の中で、確かめてください。
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