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そこでしたか! リスキリングから具体的に得られるもの

この一年ほど自分のリスキリングに取り組んできました。リスキリングの課題やその克服のための秘訣についてはこれまで書いてきたとおりです。

今日は最も重要なことについて書きたいと思います。

それは「で、結局何かいいことあったの?」という、リスキリングから具体的に得られるものについてです。
 
そうした問いを立てると、自分の中から最初に出てくるのは「リスキリング自体が楽しい」という回答です。

50歳近くになっても新しいことができるようになるという楽しさは、会社主導でも個人主導でも、努力して取り組むだけの甲斐がある楽しさです。
 
その楽しさを得るために、「これでリスキリングの実験は終了!」とはせずに、ひきつづき自分リスキリングに取り組んでいきたいとも思っています。
 
しかし、「リスキリングやりました、楽しかったです、またやりたいです」が具体的に得られたものという結論では、リスキリングにわざわざ時間をかけるまでもありません。

リスキリングから得られた具体的な成果は、わたしの場合には大きく三つが挙げられます。


新たな収入源の獲得

リスキリングから具体的に得られたもので一番わかりやすいのは、「お金」です。現在勤務している会社以外から収入を得る道を開くことができたのは大きな成果のひとつです。
 
具体的には、人材育成コンサルティングを通じて身につけてきた (正確にいえばこれまで出会った諸先輩に教えていただき、お客様に鍛えていただいた)人材育成スキルを棚卸して、オンライン・ラーニング・プラットフォームのUdemyのオンラインコース、Amazonのキンドル出版での書籍として販売しました。
 
副業で収入を得るということにとんでもないハードルの高さを感じていましたが、自分が事業をゼロから起こさないでも、すでにあるプラットフォームを活用することで会社に勤務する以外で収入を得られるということが確認できたのは大きな収穫といえます。
 
とはいうものの、わたしのこれまでのキャリアがサービス業での生産機能、製造業でいけば工場出身ということもあり、最初は「良いものをつくれば売れる」という思考で、最初はびっくりするぐらい売れませんでした。UdemyもAmazonも、ひとつ売れて数百円の収入です。売るための手間暇のコストはそれ以上にかかっています。つまり完全に赤字です。
 
それでも今後の自分のマーケティング力、クリエイティブ力次第では、今回作った小さな火種を大きくできるかもしれないという予感も感じることができました。ベビーステップではありますが「数百円でも売れた」という成果は、今後のことを考えると決して小さくない一歩だと思っています。
 

人的資本の再評価

人材育成スキルを元手にして収入を得られたことで、改めて自分のもっている知識やスキルなどの人的資本を冷静に見直し、何が価値を生む可能性があるのかを再評価できたのは二番目のリスキリングから得られた成果です。
 
すでにプラットフォームが整備されつつあるとはいえ、UdemyもAmazonもなんでもよいから出せば売れるという状況ではもちろんありません。数ある商品の中で目をとめてもらい、買ってもらうための価値を提供することが必須です。
 
知識やスキルなどの人的資本を活用して価値を生み出す形としては、1)ソリューションや助言を提供するアドバイザリー、2)成果物や時間を合意して役務を提供するサービス、3)知見を形式化して提供するコンテンツが考えられます。
 
わたしの会社では勤務時間内での副業は許可されていないため、必然的にコンテンツの形になったからということもあるかもしれませんが、自分の知見の中で価値あるコンテンツとなるもの、ならないものを改めて棚卸する機会となりました。
 
リスキリングを開始する前は、「自分の中にある業界最高水準、唯一無二の知見は何か」という思考になりがちでした。しかしリスキリングに実際に取り組むことで、自分の人的資本に合ったスタイルでコンテンツ化することで価値化できるということがわかり、大変勇気づけられました。
 
たとえば、わたしの最初につくったコンテンツは、HRBPなど人事担当者なら当たり前に使っている人材育成スキルを人的資本経営時代という文脈で再整理した、いわばパッケージが価値の大半です。デジタル知見が"ない"ことを逆手にとり、「おじさんが○○やってみました」系で価値にすることもできたかもしれません。
 
小さいながらも新たな収入源を得たことで、自分のもつ人的資本で価値に換えられるものは何か、という意識が強くなったことも今後のキャリアを考えると大きな収穫といえます。
 

人脈の再起動

リスキリングから得られた具体的な成果の三番目は、(再起動という言葉はなんかデジタルっぽく聞こえるかもしれませんがアナログな意味で)自分のこれまでの人脈を、これまでとは違う価値を生み出せるように立ち上げ直せた、ということです。
 
リスキリングを開始してからSNSやブログを通じて新たな人脈は広がりました。しかし、既存の人脈を活かすことで新たな価値を生み出せるということもわかりました。そういう意味で人脈の拡大ではなく再起動としました。
 
たとえば、リスキリングをすることで作成できたコンテンツを発信する場所として自分のホームページを作成しようと思い立ち、コーチにいろいろと教えてもらいました。
 
すると、どうやらWordpressなるツールが自分には合っていることがわかりました。そんなときに、これまでは会えば昔の話しかしてこなかった高校時代の友人がWordpressに詳しいということがわかり、いろいろと教えてもらうことになりました。逆にこの友人が開発している人事系のソリューションで、わたしがお手伝いできることがあることもわかりました。
 
この経験は、わたしにとってはかなりの衝撃でした。未来への対応を目的とするリスキリングは、「新たなスキルを身につけないといけない」という思い込みがあったからです。

しかし、この経験を通じて「これまでとはちがうかたちで自分の知見と周囲の知見を結び付ければ、新たな価値を生み出すことができる!!!」ということに気が付くことができました。
 
当たり前のことを「大発見」のように書いてしまって申し訳ないのですが、これから何十年と新たな収入を生み出していかなければならないことを考えると、時代に合わせて価値を生み出す新たなスキルを学習し続けるのは大変です。

新たなスキルを学習することは一定やりつつも、新規・既存の人脈の組み合わせで価値を変えるほうが、持続的に価値を提供しやすいでしょう。

またネットワークを活用することで、ひとつの人的資本でも、様々な価値を、同時に創出することが可能です。有形資産と異なり、レバレッジが効くという無形資産としての人的資本の特徴を活かさない手はありません。
 
会社やキャリア、スキルではなく、パートナー選びが人的資本経営時代の勝ち筋とすらいえます (人的資本経営時代テストがあれば、ここは絶対にでるところです)。

少なくともそのことに気付いていなかった私が50歳を前にして、(遅まきながらのタイミングであっても)人脈の再起動をはじめることができたのは、私の中では最大の成果ととらえています。


で、結局のところ、何を得られたの?

新たな収入源の獲得、人的資本の再評価、人脈の再起動がリスキリングから得られた具体的な成果ということなのですが、改めて、つまりそれってどういうことなの? ということを考えてみます。

当初から何か特定の目的があったわけではないのですが、こう振り返ると現在勤務している会社の仕事には特に何も役に立っていないという驚きの事実に気が付きました。

それではわたしが取り組んだ今回のリスキリングから得られたものは、どのような意味をもつのでしょうか? 
 
それは結局のところ「キャリアのポートフォリオ化にむけたスタートが切れた」ということなのではないかと思っています。

別の言い方をすればメインの本業に対してサブの副業ができるようになったということではなく、複数の仕事をもつ複業ができるようになったということです。
 
すでにだいぶ長くなってきたので詳細は別に書きたいと思いますが、これからはキャリアを機動的に、流動的に、持続的に開発していくということだけでなく、そうしたキャリアを一人が複数を同時並行に追求する「キャリアのポートフォリオ化」が重要になっていくと、わたしは考えています。そしてその核にあるのはパートナー選び。

ひとつのキャリアにすべてをかけるには、時代は変化しすぎており、会社の寿命は短くなっており、人生は長すぎるからです。
 
すいません、最後は乱暴になってしまったので、改めて書かせてください。今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

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