りんご はやすね。
リンゴ、はやすね。
そういって、現在、どれだけの人が通じるのでしょうか。
漢字で表記すると、
「林檎、生やすね。」
「今からリンゴ生やすからちょっと待っててね。」
とか、そんな感じで使っています。
リンゴを、、、生(は)やす?
これ、実は東北の一部の地域で使用されている、いわゆる方言になります。
※少しだけ調べてみたらどうやら東北以外の地方でも使用されているようです。面白いですね!
意味は、
「りんごを切る」
ということ。
主に果物など植物を切る時に使用します。梨はやす、とか。
結婚式などでの、「ケーキ入刀」ってありますよね。
あれ、「さあ!ケーキを切ってください」とは言わないですよね。
ご祝儀を包む時も、2で割れる枚数は包まない、とかありますね。
また、受験生に対して、滑るとか、落ちるとか使わないように!とかありますよね。
そう、いわゆる”忌み言葉の回避”なんですよね。
ちなみに「切る」を「生やす」に変換するのは、なんと万葉集に出典がある古代語なんです。
※上野佐野の茎立折りはやし...〜群馬のアブラナを折り切って料理して...〜詳しくはググってみてくださいmm
そもそもなぜ忌み言葉を回避したいのか?
それは古来の日本の思想に、「言葉にも魂が宿っている」というものがあったからなんです。ことだまですね。
※「言葉にも」としたのは、古い思想にアニミズムとうものがあり、日本では八百万の神(やおよろずのかみ)が自然界全てに宿っているという思想があったため、”にも”という表現にしました。
もののけ姫とか、そんな世界観をよく表していました。
そう、なので「切る」というのは「刀で切る」=「殺す」という意味を連想させてしまうため、「切る」という言葉を発した人が「殺し」をしてしまわないようにと避けてきた、ということなのです。
りんご生やすね、そんな何気ない方言のひとつですが、非常に興味深いなと思っています。
昔の人たちは、言霊が乗るから忌み言葉はやめなさい、としてきていました。
現代の科学でも、その言葉を意識せずに発していても、脳が勝手に勘違いする、という事を言われ出しましたよね。
できるできるやればできる!
と言い聞かせて自分を奮い立たせたり、自己暗示をかけたりと、脳って不思議ですね。
古来から、きっとそういう事があったのでしょう。
そしてそれが”言霊”という表現になった。よく観察しているもんですね。
方言には、古代語の名残がたくさんあります。
例えば、田舎のなまり代表と言っても過言ではない「○○だべ!」。
そうだべ、んだべ、ちげーべ、それしたべ、、、、
という語尾につくこの「べ」。
これは、国語(古文)の時間に出てきた、「推量の助動詞・べし」の名残だったりします。
推量の助動詞は、〜だろう、とかいうやつです。
現代使われている、○○すべし!というのは義務・命令形なので、また違うのです。この訛り(〜だべ)の語尾はあくまでも古語の使われ方なんですね。面白いですね。
そうだべ=そうだろう。ちげーべ=ちがうだろう
ということになるんですね。田舎臭いなぁと思うその方言も、実は歴史的な古語なのでなんだか壮大さ感じませんか?
もし、あなたの近くに方言があるのなら、その言葉の成り立ちを調べてみてはいかがでしょうか。
#旅する日本語 というハッシュタグをnoteのお大募集で少し前に見つけて書いたのですが、もう終了していたようです\(^o^)/ノリオクレター
なので参加はしていませんが、ひとりお題やっています笑
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