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朝の息がかすかにしろくなりはじめた おだやかな海風をつかってだいこんを干したくなる


はじめに

 朝方、玄関を出て見あげると星がまたたいている。東の低い空だけがほのかにあかるい。いつもどおりの通勤日。運転席のドアをあげると、そのルーフのうえにびっくりするほどまっしろいだいこんのたんざくがならぶ。

そうだった、切り干しだいこん。きのう干したのをわすれてた。おくれて思いだす。ようやく朝の気温がさがり、いっきに乾きそう。

日がみじかい

 きのう昼間にだいこんを干した。天気情報を見つつようやく干せそうとひもをカーポートの軒下にはり、はったひもをぬれぶきんでふく。だいこんをあらい、スライスして切れめをいれ、ひもをまたぐようにならべていった。作業はたったのこれだけ。

これで高気圧のもとでの陽ざしと乾燥した空気にめぐまれれば、いっきに数日でかわく...はず。毎年、なんなくやりほとんど失敗しない。一度ゆでてから干すと失敗しにくいが、やはり生から干したものとくらべるとなにかものたりない。ゆでたものはわたしには上品すぎる。

やっぱり生から天日で干すのがわたしのこのみ。それにしてもことしはあたたか。12月直前なのにこれまで海風がなまあたたかだった。母は干し柿づくりを失敗。長年やっていることなのにめずらしい。

タイミングがつかめない

 それを小耳にはさんでいた。干したいだいこんは何本かあるのに空もようをながめつつ躊躇していた。このところ雨つづきでためらうのも1度や2度でない。

いつもならば竹かごにひろげて干すしいたけなど「この陽気じゃとうていむずかしいな、きっと。」とやる気がわかない。

さらに近所の方からだいこんをいただいた。どうやらことしは豊作のよう。こんなときにかぎってかさなってしまう。干す材料はあるのに天候がゆるさない。

せんたくも

 空模様が気になるのはせんたくもいっしょ。家族ともども雨がやみそう、それっ、せんたくとはじめたのはよいが、せんたく機が「洗いおわったよ。」の合図をするとまた降りだす。え~、予報じゃふらないと言ってたのに~、とこぼす。そこでせんたくのときには文明の利器を。

それとおなじことをだいこん干しでやりたくない。切り干しだいこんは数日かかる。せんたくものを干すよりながくかかる。雨が降るからといって途中でとりこめない。せめて家のなかの軒下にもってくるしかない。

そこは風がとおりにくいのでどうしても失敗しがちになるところ。このパターンはなるべくならばさけたい。とはいっても生のだいこんは待ってくれないで台所まわりをごろごろころがったままでいる。

乾きかけのタイミングにこがらしの突風がふくのもよくない。あちこちに飛んでいってしまう。すぐにみつけてあらい煮て食べられなくないが、すぐに料理しないとならない。

せっかくの天日干しの保存食。冷蔵庫の野菜室でふくろにいれて数か月だいじょうぶなもの。冬のあいだの煮物にくわえるたのしみ。それが下におちてすぐに消費するのではあまりにも意味がない。

おわりに

 やさいづくりをさかんにやっていたころは干し野菜をはじめ、長もちさせるくふうをつぎつぎにやっていた。その作業に時間をとられてほかのやりたいことができなかった。

いまはその逆。切り干しだいこんを食べたいなあと思えばつくれるはずなのに天候がゆるしてくれない。なにもかもタイミング。時間と要望を同時に満たすのはむずかしい。

そしてようやくつくりはじめた。ことし第1号がこの文のさいしょに登場した車のルーフの上のひもにかけたもの(タイトル写真)。

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