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種まき・栽培のタイミング!リスクを下げ、ハイリターンをねらうには
はじめに
季節はいつのまにか秋。庭や畑の草花が冬の準備にはいります。お庭やはたけでこれからやさいをつくるのはどうでしょう。みじかな場所で食べるものがそだつようすを目にするのは、日ごろ食べているものがこんなふうにできるのかとあらためて見直すきっかけにもなります。くつろぎの場にも。
いまは西日本であれば種まきの適期。種まきと栽培に関して、なるべくわかりやすくみなさまにお知らせします。東日本の方々はビニル保温など方法によってはギリギリの方もいらっしゃいますが、基本のまき方は春まきでも共通です。
種まきは準備がだいじ
ほんとうはもうすこしはやくお伝えすべきだったかもしれません。それでもまだじゅうぶん間に合います。それは定植する庭、鉢、畑の土づくり。西日本の方は早めのご準備を。
定植場所は種まきの半月前までによく荒おこししておきます。その際に苦土石灰(草木灰でも可、1㎡あたりひとにぎり)、たい肥(1㎏)か腐葉土(1㎏)などをまぜこんでおきましょう。そして1週間まえには肥料をまいておき、さらによくまぜます。
種まきの用土に手づくりのコンポストたい肥などを混ぜるのは、たい肥の作り方によっては発芽がよくないことがあり、あまりおすすめしません。
きれいな赤玉土(小粒)だけでも発芽はしますし、その後の追肥さえしっかりすれば植えかえまでそのままそだてられます。心配な方は市販の種まき用土が無難です。
種まきのまき床は、底に数か所の穴をあけたイチゴパックなどの容器でかまいません。たくさん育てたい場合には種まき用トレイが便利です。何を蒔いたか札をつけるのを忘れずに。
種子は小さいものが多く、慣れない場合には密植になりやすく、その後の間引きが大変になります。そこでまばらにまくには、
・種子をコショウ瓶などに入れて蒔く、
・川砂などを種子にまぜて蒔く、
・ふたつ折りにした厚紙に種子をおき、すこしずつたたいて出す
など工夫しましょう。多少密に蒔いてしまっても芽が出たあとに間引けばよいです。
水やりのコツ
発芽の良しあしは種まき後の温度管理と水やりがポイントといえそうです。最初の水やりは容器の底から水が出るぐらいの量をあくまでもやさしく与えます。発芽までの置き場所は暖かい縁側などがいいです。発芽までは日光はいりません。
ここで小学校のおさらい。発芽の3要素は空気、温度、水です。種まきに赤玉土などを使うのは、空気の流通がよいからです。
さて、種まき後は土の表面が乾いたら水をやるようにします。霧吹きなどを使うと便利。大きなじょうろを使うときはかならず先端分を上向きにしてやさしく水やりします。そうしないと蒔いた種子が流れてしまいがち。
赤玉土の場合には乾燥してくると色がうすくなるのが水やり合図。その時点で水をやりをくりかえします。さくらの時期ですと多くの種子は数日~1週間のうちに発芽してくるでしょう。
発芽後はよく陽にあてます。まだ芽が小さなうちでも根が張っていますから水やりは土の表面が乾いてから。やりすぎは禁物です。
植えかえでよい苗に
植えかえの目的は何でしょう。いろいろありますが、おもな目的は、
①その後の定植をしやすくすること
②根の張りや分岐をよくすること
そのために本葉が数枚出るとプラスチックのポットなどに植えかえです。しっかりした苗にする目的で、野菜苗などは生長に合わせて、2,3度植えかえることがあります。
植えかえ用土はほぼ定植する場所と同じか、空気のとおりのよい腐葉土やバーミキュライトなどを多く含み、肥料分をきかせた市販品を選ぶか、ブレンドしてつくります。腐葉土の割合は3分の1程度まで、残りは赤玉土や庭土(あるいは畑の土)でかまいません。
植えかえた苗の定植のめやすは、苗をポットから抜いてみて細かなひげ根がふわっと出ている時が最適です。慣れてくるとポットから抜かなくても苗の生育の状態から見わけられるようになります。
おわりに
種まきより前に定植する場所の準備を行います。これがよい草花や野菜をつくるうえで半分、種まきから苗づくりが半分、あとは自然に任せるといったところ。
むかしの人々が「苗半作」といったのは納得です。しっかりした苗ができたらまずは成功です。