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1年半後の大学入試の共通テストで40万人あまりがはじめて教科として課される新課程の「情報」を教えておもうこと


はじめに

 入試センターの想定問題などからほぼ概要はつかめた。あとは練習あるのみ。ところが理解の確認のためのてごろな問題集があまたある英語や数学のようには流通していない。こんなことがあろうか。来年のいまごろにならないと手にはいらないのかもしれない。さわぎにならなければいいが。そんないちまつの不安がよぎる。

新課程の「情報」という教科。いまの高校2年生以下に課される。おもに高校1年生で「情報Ⅰ」としてまなぶ。大学入試の一次試験にあたる入試センターのおこなう共通テストに6教科目としてあらたにとり入れられる。

その学習を初年度でサポートしつてかんじるざわつき。こうした危惧(英語民間試験や国語の記述問題など)は以前も感じて、のちに現実の社会問題となった。そうならねばいいが。

きょうはそんな話。

時代はかわる

 「情報」の内容に関してはそれ以前も各教科の枠内でとりいれられてきた。中学校ならば技術、高校ならば情報や数学の一部として。そんなにさま変わりした感はない。

したがってすでにこのクニの多くの方々はなんらかのかたちで学校で接してきた内容が多い。今回の大きな違いは、より実践的な内容の占める割合がましたところにあると思う。これは時代の要請だろう。

大学入試を経験された多くは過去にセンター試験、共通一次などでフルバージョンの5教科の試験を受けた。もちろん理科や社会の選択しだいで複数の科目が課されていた。たとえば5教科7科目や5教科6科目など。

そこへあらたに教科のかたちでひとつ「情報」として「英語」や「数学」などと同格としてくわわるのだから、クニの力の入れようはちがう。

時代のかわりめ。

教えて、サポートしてみて

 やはりおおかたの学校は試行錯誤のようす。わたしは学習サポート業の立ち位置ですこしななめからこの状況にせっしている。昨年度、高校1年生におしえた経験について記す。

サポートしてまず思うのは世のなかの準備がじゅうぶんとはいえないこと。昨年のあいだ、ほかの教科とくらべてほぼ入手できたテキストや問題集はほんの3種類あまりにすぎない。しかも内容はどれひとつとってもじゅうぶんでない。とくに問題練習にいたってはじゅうぶんにできない状態。

もちろんそれまでにも情報に関する教科書は旧課程でもあったし、問題集もそれ相応に業者をつうじれば入手できた。しかし今回は共通テストにとりいれられる。主要な6教科目というあつかいのはず。

そのわりにはあまりに各出版社の出足がわるい。おそらく準備はしつつあるのだろうが、出版されるたびに足をはこんで、書店の方に電子版もふくめてほかにないかたずねるが首をよこにふられる。全国的にないとの返事。しかたなくセンター試験の同分野の過去問題を数学からさがしてみるが、ほぼどれも今回の新課程には合致しないものばかり。

今回はPhythonなどのプログラミング言語の基礎も教科書のページを占めている。この高校1,2年生たちはこうしたプログラミング言語のあつかいや考え方は小学校以来、Scratchなどをつうじて小・中・高で学んできた世代。いわばそのつみあげの成果がためされる。

おわりに

 問題練習をいちばんさかんにやりたい時期。それなのに世のなかには練習させたい問題集がごくすくない。これが数学や英語ならばさわぎになりかねない。当事者の高校生たちが不憫。もっと声をあげてよさそう。

このクニの大学入試に新教科としてとり入れるのであれば、最大で40万人以上が受験する。必修なので英語と同等とすればほとんどの受験者がおなじ問題を解く。現役の高校生たちには文・理のくべつなく情報に関するスキルを身につけてほしい。異論はないし、むしろ時代の要請。

学習に専念できるようにたとえばたくさんの演習問題などを入試センターや文科省などが率先して作成・無料公開するなどの配慮はあってよさそうなもの。先日、新課程の教科・科目の共通テストの試作問題例が公開されたにすぎない。

おそらく過去の経験から判断するかぎり、入試制度のかわりめの年度では、内容や難易度はおおむね無難なものになりそう。もちろん予想に反して数年前の数学のように突如難易度が高くなることも想定し、多少難解な問題もふくめ準備しそなえたい。

もちろん文句や不満ばかりあげてもまえにすすまない。じぶんからうごくつもり。たんたんと学習サポートでは生徒たちのための演習課題をつくり対応していく。そこに時間を割きたい。

クニには入試の当事者のはずの生徒たちのほうをむいて制度設計と明確なロードマップにあたるものをしめしてほしい。ふりまわされるのは生徒たち。教育とは国家百年の計でかんがえるべきもの。いつも泥縄式な気がしてしかたない。


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