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デザイン思考の一歩先へ、XaaSの時打に語る経験の重要性:『サービスデザイン思考』と『デザイン思考』

デザイン思考という言葉から始まり、この20年間で「デザイン」に対する捉え方はものすごく発展してきました。あらゆる人も「サービス」と「デザイン」という言葉は聞き慣れています。そして、なんなのかも多少なりとも分かっているのではないでしょうか。

しかし、組み合わせた、「サービスデザイン」というワードには、いまいちピンとこないのが正直なところです。

そこで、2022年8月に発売された『サービスデザイン思考』というものを使って、少し学んでみました。その本の紹介とともに感想を含めて、書いてみたいと思います。

目次

書籍に入る前にちょっとしたリサーチ

簡単に「サービスデザイン思考」で検索をかけて、軽くリサーチをしてみると、どれも面白そうなんですが、本を読む前の予備知識として、以下の記事を読ませていただきました。
(勝手な引用、すみません!ありがとうございます!)

20年近く「モノづくり」「コトづくり」という言葉には、振り回されてきた
→本書の「『モノづくりから、ことづくりへ』をこえて」という主張に深く賛同

香月登 / 『サービスデザイン思考』

ダブルダイヤモンドを遂行するだけが仕事ではない
→デザインの過程の表現。しかし、チームでデザインしていく時の推進力を生み出す事柄は含まれていない。毎回アレンジをする。

サービスデザインは、未来を語る仕事
→1年でも10年でも未来をデザインするメンバー同士がチームになる。そのメンバー同士が信頼し合わなければ、長く不確実なデザインプロセスは頓挫しかねない。

などなど…

山口 沙和子: Design Voice by Fjord Tokyo /
未来をデザインするためにサービスデザイナーとして意識した3つの振る舞い


ものづくりが得意でかなり洗練された日本ですが、その返還されたことづくりだけでなく、それすらも超えて、未来を語るのが、ある意味でのサービスデザインの形とも言えるのでしょうか。

『サービスデザイン思考』

サービスデザイン思考というものがなんなのか?
それがこれまでの社会で作られてきた思考とは何が違うのか?

サービスデザインを考えるために、まずは「サービス」を考える

サービスとは、モノを通して得られる使用価値と、顧客と企業との間の継続的な関係性によって生み出される価値

『サービスデザイン思考』p.31

すなわち、サービスというのは「使用価値」と「顧客との関係」が鍵になるということ。これは、これまでのデジタルでは少なかったモノ(使用価値)に対して接客(顧客との関係)が依存と相互関係を持たないような形から変化しつつある。すなわち、GDLからSDLへの変換のような発想になのでしょう。「使用価値」と「顧客との関係」は"サブスクリプション"のようなサービス形態が最近での主流となりつつあります。これまでは、使用価値としての要素は、所有と購入がありました。ただ、それだけでは何も「顧客との関係」は継続的ではないのです。そこで、サブスクリプションのような形で所有という概念を転換し、契約として考え、そこから長期的で継続的なサービスを考える必要があるようになったのです。今ではカメラや服、車までもさまざまなサブスクがありますね。

こうしたサービスは一方通行ではありません。企業側が提供するだけではなく、ユーザとの共創が必要になってくるのです。それが、「データ」です。企業は継続的にサービスを提供し、金銭的価値を受け取るだけでなく、そこから新規ユーザの獲得や継続的なユーザに活用するためのデータが必要になります。そうすることでサービスのアップデートができるようになります。たまに、データの取得のために大金をはたくものが見られますが、金額は置いておいて、データが使用価値に変換され、継続的関係性をとれるのであれば、理にかなっているといえるのではないでしょうか。

これをサービスデザインにおいては「価値共創」というようです。このようなことから「サービス」は、

サービスデザインがデザイン対象とする「サービス」とは、
・サービスの提供者が一方的に顧客に価値を提供するのではなく、企業と顧客が一緒になって価値を創り出す
・買われた瞬間から関係が始まる
・顧客によって価値の感じ方は変化する
もの

『サービスデザイン思考』p.46

サービスデザインとはなにか

「サービス」というものがなんとなく捉えられたところで、サービスデザイン思考について、本書では、次のように書かれています。

「サービス」を最良の状態にすることが「サービスデザイン」

顧客が自覚していないレベルのニーズや欲求に対して、顧客との共創関係のもと価値を提案し、良好な関係を持続する仕組みを持った製品・サービスを創り出すこと、それによって、自社と顧客の双方のみならず、多様な利害関係者間で価値を共有し、循環できるビジネスの実現を目指すもの

『サービスデザイン思考』p.46,47

脱・ものづくりマインドに必要なこと

日本は、工業的な製品に誇りを持っているとともに、そこに固執し過ぎているというのが現状でしょう。プライドが高い。そして、大まかに「ものづくり大国」としての意識があります。

しかし、情報通信系が発達した「情報社会」もしくは「知識社会」までといわれる現在は遅れをとっています。前にこんな記事を書いたこともありました。

僕は、ものづくりを活用する方向性での挑戦もひとつの道だとは思っていますが、そのマインドを心機一転するために脱してみるのもありだと思います。では、それはどのようにすべきなのか?サービスデザイン思考から考えてみましょう。

UI、UX、CX、DX、BX、AX、XR・・・

最近、ユーザインターフェースから始まり、エクスペリエンスの用語を使ったものがビジネス界では多くなってきました。その兆候は、「ものづくりからことづくり」や「モノからコトへ」というような謳い文句とともに増加したことは想像がつきやすいと思います。コトはいわゆる「経験」ということです。モノを通じて、ユーザに体験や経験を提供し、それが経済として回るようにするという「使用価値」と「顧客との関係」の相互関係を守るようなフレームワーク的とも言える流行ができているのでしょう。

"経験経済"という考え方があります。

経験経済の概要図(https://davidemarketing.co.jp/marketing-thinking/722/ より引用)

これはすなわち、製品(モノ)から経験(コト)へ遷移していくような形で、メリデリはもちろんあります。しかし、最終的に経験や体験に価値を置くことで、使用価値や継続的な顧客との関係に影響を与えるブランドイメージの強固化(BX)などができるようになります。これを体現した良い例はスターバックスとも言えるでしょう。

スターバックスの面から言えば、コーヒーの価値観を変えたともいえます。コーヒーは苦くてカフェインを取るためだけの飲み物から、おしゃれやリラックスするひとときとしての価値観へ変えたのです。それはスターバックスでのコーヒーを極めると同時にスターバックスでの店内での経験がそうさせたのです。その秘密が書かれているのが『スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?』という本にあります。ぜひ読んでみてください。


デザイン思考というフレームワークの特徴

デザイン思考のフレームワークはプロセスが中心となって、さまざまな提唱がありますが、主なものとしては、2つでしょう。

デザイン思考のプロセス:d.schoolが提案
デザイン思考のプロセス:N.N.Groupが提案

これらは全て、永続的です。すなわち、循環的なのです。今流行りのアジャイル開発においてもさまざまなサービスの構築には、前述したようにアップデートが繰り返されます。それがサブスクリプションが流行している特徴でもあり、「使用価値」と「顧客との関係」についてマッチしているものです。また、先にリサーチしたダブルダイヤモンドについても循環的です。さらに収束と思考を繰り返すことで、より向上的な視線で、目的・目標・ゴールを見失うことなく、考えることができるのです。ただ、これはあくまでもフレームワークなだけであり、適宜、その場に適したものへアレンジを加えなければなりません。そこで大切なのが、徹底的な「データ」の収集とそれに伴う分析や調査です。だからそこにお金をかけることは理にかなっていると言えます。


感想

『サービスデザイン思考』での1章と2章を中心にお話ししましたが、この本そのものはそれ以降3章から8章まであります。その中では実践的に行うことこそがデザイン思考であり、僕はそれとともにアレンジを加える必要があると思いました。昔、デザイン思考について記事を書いた時も、デザイン思考は実践してこそのもので、知っているだけでは意味がないとも書いてあった本があった記憶があります。それを実践的に考え、ちょっと興味を持った部分を分析してみるだけでも思考に変化は出てくるのでしょう。デザイン思考からさらに一歩踏み出し、これまでいわれてきた「モノからコトへ」も超えて、次の世代、未来を語るために実践していきましょう。

あ、この本、結構読みやすいので、一読してみるのはありです。

参考文献(埋め込み)


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