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魔女

 マルタ・アルゲリッチというピアニストがいます。

 彼女は1941年にアルゼンチンのブエノスアイレスで生まれ、1965年にショパンコンクールで優勝し一躍いちやく有名になりました。
 私が彼女を知ったのは大学生の時。ショパンのピアノ協奏曲第一番ハ長調に衝撃を受け色々な人が弾く「それ」を聴き漁っていました。その時、「なんて情緒溢れる演奏をするんだ」と一目惚れならぬ、「一聴惚れひとききぼ」したのが彼女の演奏でした。
 それから、彼女の色々な演奏を(ショパン以外も)聴いていきました。それから数年後、以前もこの日記に登場した(「クープランの墓」参照) 音大のピアニストの先生と喫茶店で話していた時、このアルゲリッチの話題になりました。そこで音大の先生が

「彼女は歳を取るごとに演奏が上手くなっていくのよね。ほんと、魔女よ」

と言っていて妙に納得しました。アルゲリッチは今年で83歳になるのですが、確かに最近の演奏を聴いてみても衰えなど微塵も感じさせません。長い年月かけて蓄積されていった色々な経験が全開放されていて「魔女」という表現がぴったり。

 ちなみに個人的に好きな彼女の演奏で好きなのが1993年にルートヴィヒスブルグで録音された「ショスタコーヴィッチピアノ協奏曲第一番」です。ズバリ圧巻。


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