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【決意】ミャンマーのクーデター発生から2年になるにあたって

 ミャンマーで軍によるクーデターが発生して2023年2月1日で丸2年が経過しました。

 ミャンマー国軍は、2020年にNLD(国民民主連盟)が大勝した総選挙で不正があったと主張し、クーデターを起こし全権を掌握しました。

 その後軍に対する激しいデモが発生し、国軍は容赦ない弾圧で対応しました。今までの弾圧で死者は3000名近くに及ぶとされています。

 NLDのリーダーであり、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー国家顧問も、不当な軍の拘束、そして恣意的な裁判により禁錮33年の刑期を言い渡されています。

 一部の若者は山岳地帯の少数民族の武装勢力と手を結び、武力闘争を行っている人もいるようです。

不当な裁判で禁錮33年を言い渡されたアウンサンスーチー国家顧問

ミャンマー、民主化への苦難の道のり

 ミャンマーは長く軍事政権が続き、欧米の経済制裁により国家の発展ができない状態が続いていました。2007年には僧侶を中心にデモが発生し、日本人ジャーナリストの長井健司さんが殺害されたことも記憶に新しいかと思います。

殺害された長井健司さん

 その後2011年に民政移管し、軍の影響は色濃く残りましたが、それでも少しずつ民主化が進展してきました。2016年にはNLDが始めて総選挙で政権を獲得し、長い苦難の時代が報われたかとも思われました。

 それが2年前のクーデターにより、今までの民主化の歴史がひっくり返ってしまったのです。

 私は、その数日後から始まった大規模なデモ活動が忘れられません。多くのミャンマー国民が、自分たちの指導者は自分たちで選ぶという、民主主義国家なら当たり前の前提を奪われてしまったことに憤りを覚え、抗議の三本指を掲げながら、アウンサンスーチー氏の釈放を求め、そして権力を民衆に取り戻すため街頭に立っていました。

2021年2月9日の抗議風景

内政不干渉と国際社会の介入の境目とは?

 私は大前提として、国の統治のあり方は、その国の国民が決めるべきことだと考えています。中国やイランを外部からの圧力のみで民主化させるべきだとは思いませんし、無理に民主化を強要して失敗してしまった事例もあります。(アメリカが民主主義を導入しようとして、混乱を生じさせただけだったアフガニスタンやイラク、それに2011年のアラブの春以降の中東諸国が良い例です。)

 しかし、その国や、その地域に住んでいる人々が民主化を切に願っているにも関わらず、権力に固執する指導者層により民主主義がもたらされない場合は、また事情が異なると思います。今回のミャンマーはその際たる例ですし、香港についても同様のことが言えます。

 人々が必死に民主主義を求めているのに、権力に固執するがゆえに自国民ですら弾圧してしまう。それにより自国の経済が発展しないことなどいっこうに構わない。こういった国、地域に住む人々には、国際社会、とくに民主主義を信奉する西側諸国が手を差しのべるべきだと考えています。

 とくに、ミャンマーでは一部の若者が武器を取り武装闘争を行っています。中にはこのことを非難する人もいるでしょう。「暴力を用いることにより国軍と同じレベルになってどうする?」「テロ行為を行い社会の安定を損なう者は罰せられるべきだ。」など。ですが私は、武装闘争を選択した人を賞賛することはあっても、非難することはできません。

 ミャンマー国軍は自国民を弾圧し、そのために平気で武器を使用しています。本来国を外敵から守るはずの軍が、その銃口を自国民に向けている。この状態で、平和的な抵抗など何の意味もありません。相手が対話をする意思を持っていないからです。その場合、国軍の姿勢が変化するのを何十年、何百年かけて待つのが正解でしょうか?

 しかし、ミャンマー国民はそれを選ばなかった。勇気を持って、平穏な日常を捨て、銃を取る決意をした。その苦渋の決断に、最大限の敬意を払いたいと思います。

今後ミャンマーへの関わり方で日本に求められていることは?

 そして日本政府は今回のミャンマーのクーデターに対して、西側欧米諸国とは一線を画す対応をしてきました。もともと日本政府は国軍とある程度良好な関係を保っていました。そして今回のクーデター後も、新規のODAこそ停止はしたものの、既存のODAは継続し、政府間の対話を通して国軍の行動変容を促そうとしています。

 なんと無意味な政策でしょうか。

 ミャンマー国軍は、自分たちに都合のいい政策や外国政府にはいい顔をするでしょう。しかし、それによって自分たちが権力を手放すつもりなど毛頭ないはずです。とくに、クーデター前よりもはるかに自国民たちから憎悪の対象となってしまった現状ではなおさらです。国軍は、自国民からの報復を恐れています。この状況でいまさら権力を自ら手放そうとはしないでしょう。そんな国軍に対し融和的な姿勢を示している日本政府に、ミャンマー国民はどのような印象を抱くでしょうか?少しでも相手の立場に立って考えれば分かることですよね。(国軍に一定の距離を置いている中国政府も、ミャンマー国民の評価をある程度気にしているのだと思われます。)

 日本政府は毅然と、民主主義を訴えるミャンマー国民の側に立つべきです。

 今までよりはるかに厳しい経済制裁を課すべきです。

 そしてそれは必ず、自由と民主を心から願う、市井のミャンマー国民には理解されるはずです。

 ミャンマー国民が1日も早く、自分たちの言いたいことを誰にも遠慮せずに話せる社会で暮らせますように。自分たちのリーダーを自分たちで選べる社会に戻りますように。願ってやみません。

私も支援しました。少額ではありますが、少しでもミャンマーの人たちの助けとなれば幸いです。


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