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「自分の心を守りなさい。」~自分を愛する時のお守りの言葉
若村紫星です。
自分を愛そうと思った人におすすめの本を紹介します。
カマル・ラヴィカント『死ぬ気で自分を愛しなさい』
タイトルから気合十分なこの本(笑)。
著者の名前をどこかで見たなと思った人は鋭い!
そう!この人は『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』という本で有名なナヴァル・ラヴィカントの弟です。
このカマルという人自身も起業家・投資家としてシリコンバレーで大きな仕事をしています。
なので、タイトルからすると、今にも死にそうな人がやっと生きてる的な、ギリギリな雰囲気があるわりに、生活には困ってなさそうな背景を感じますね…。
ダライ・ラマとかTEDとか、世界の真実を知った身からすると、あんまり近づかない方がいいようなワードが彼の周囲には満載。(汗)
自費出版で評判になってとかの経緯も、なんか怪しい…。
とはいえタイトルに惹かれて購入してみると、中身はエッセイというか、彼の日記というか、自分が感じたことややったワークについて、ぽつぽつ書いてあるだけなのですね…。
一応、こういうワークをやってみた的なのは出てくるけども、別にそんなに珍しいものでもないし。
あちこち突っ込みどころ満載なのだけども、それにもかかわらず、この本をオススメするのは、この本に出てきたこのセリフ。
「あなたの心を守りなさい」とシェリルは言った。「心が必要としているものを、心に与えなさい」
この言葉が出てくるのは、彼が自分を愛する方法を実践して上手くいっていたのに、自分を愛することを怠けてしまい、またどーんと精神的に落ちてしまった後、自分を愛することを再開しはじめた後のこと。
この「再開」するというのも、この本の面白いところ。
著者は自分を愛することを、なし崩し的に1度止めちゃっているようなのだ。
でも、こういうことってあるよねと思う。
どんなにかたい決心であっても、日々、他のことに気を取られていると、できなくなってくる…そういうこと。
こういうことは、他の人はあまり言わない。
スピリチュアル・リーダーだか、ティーチャーとか呼ばれる人たちは、「自分はもうずーとできてますよ」という顔をしている。
自分を愛する?――はい、もちろん、30年このかた、ずーとできますねぇ、
って、嘘つけやい!と思ってしまう、ひねくれたわいである。
ともかく、著者は、本の真ん中あたりで、自分を愛することに再チャレンジすることになるのだが、その頃、実は彼は愛する女性と別れていた。
そう、生活には困ってなさそうな著者の悩みは恋愛なのである…。
このへん、恋愛に苦しむ女性は共感できると思うので、この本をぜひ読んでもらいたいのだが。
愛する女性と別れ、落ち込んでいる著者に、友人のシェリルという女性が上のセリフを言う。
この「自分の心を守りなさい」というのはある意味、この本の最初の方に出てくる、「私はわたしを愛している」という言葉で「溝」をつくるという行動と繋がってくる。
著者は、「私はわたしを愛している」と自分に繰り返すことで、自分の思考にも周囲にも愛の「溝」をつくろうとしているようなのだ。
しかし、自分がそうした努力を積み重ねていたのを途中、すっかり忘れていたのである。
わたしは、この本の内容を忘れても、この「あなたの心を守りなさい」と「あなたの心が必要としているものを、心に与えなさい」の2つのセリフ、または2つ目の方は忘れても「あなたの心を守りなさい」だけは、とっさに、いつも思い出すようにしています。
特にこれは恋愛関係で有効です。
どんなに好きな相手であっても、「ひどいことを言われた」と感じることは時々ある。
そういう時、相手に言い返すか、あるいは黙ってひとりで泣くか、どちらを選ぶにせよ、最初にするのは「自分の心を守る」ことです。
自分の心を守ったうえで、そして、自分の心を守るには相手に対してどのような言葉を返し、どのような態度を取るのが1番いいか、それを考える。
すると不思議なことに、相手も意表を突かれたかのように、黙ってしまったり受け入れたりします。
恋愛のテクニックというほどではないのですが、自分の心をとっさに守ったことで、自分の心が必要以上に傷つくことなく、余裕を取り戻すことができます。
恋愛以外にも上司や先生に嫌なことを言われた時、同性にマウントを取られた時などにも有効です。
反対に自分の心を守らないと、自分の心を相手の刃の前に差し出すようなもの。
そんな危険に自らをさらす必要はないうえに、自分の心を守ることは自分の権利です。
というわけで、この本自体は、著者の心情風景が綴られたエッセイみたいではありますが、いつの間にか読み終わり、しまいには「自分を愛すること」が体にしみこんでいるような、ちょっと不思議な読後感を覚えます。
特に恋愛関係に悩んでいる人は、へたな恋愛指南本を買うよりも、この本の方が心が休まるかもしれません。