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嫌いな自分を手放すには?(ACT実践編④)

前回は、
未来へのとらわれ(フュージョン)に対して、
思考と距離を置くための

「物語にタイトルをつける」
エクササイズをご紹介しました。

今回の内容は、
自分へのとらわれです。

前回、前々回とは少し異なり、
「心ここに在らず」というよりも、
より「とらわれている」状態かもしれません。

根本は一緒なのですが、
この「自分へのとらわれ」は
私の経験上、より行動に影響を与えます

「自分へのとらわれ」は、
「私はこういう人間だ」という
自己像(セルフイメージ)、自己記述が、

意識や行動を支配している状態です。

私たちは、
意識的、あるいは無意識的に
自分へのイメージを持っています。

例えばそれは、

「あなたは強いね」と言われて育った経験から
「自分は強い」というイメージを持つ

あるいは
今までの失敗経験から、
「私はADHDに違いない」というイメージを持つ

などです。

そうしたセルフイメージは、
私たちの考え方や行動に
多かれ少なかれ影響を与えています。

毎回書くことですが、
こうした状態があっても、
困難を感じていなければ問題はないです。


ただもし、あなたが今

「『◯◯な自分』にこだわってしまい
 今までうまくいっていたはずのことが
 うまくいかなくなってきている」

「環境が変化しているのに
 柔軟に対応しきれずに
 自分が嫌いになっている」

そのような状態が続いていて、
苦しい気持ちがあるのなら、
この記事がお役に立てるかもしれません。


自分へのとらわれ

ACTでは、
思考が意識や行動を支配してしまう状態
(思考との)フュージョンと呼ぶのでしたね。

頭の中の考えが、
自分の意識、感情、セルフイメージなどと
べったりくっついて離れないような状態です。

私はもう少し一般的な言葉で、
「とらわれている」とも表現しています。


自分にとらわれている、というのは、
あまりイメージがつかないかもしれません。

このとらわれは、
本当に自分では気づきにくいものだと思います。

でも、
こんな人を見た経験はないでしょうか。

周りが、
「なんでそんなことにこだわるの?」
と思うようなところでムキになる人

「ちょっと行動を変えるだけでいいのに」
と思われるような行動をとる人

そうした人は、
多くは、「絶対自分を曲げない」と
意固地になっているわけではありません。

周りから求められている像に対して、
自分の持っているセルフイメージを
手放せないでいる
のです。

こうした状態は、
外から見たら「頑固なやつ」と捉えられ、
内から見たら「うまくいかない」と感じます。

もしあなたが、
自分が変われず、うまくいっていないと感じるなら、

今回のエクササイズに取り組んでみては
いかがでしょうか。

今回ご紹介するエクササイズは、
「ティチェナーの反復」です。

ティチェナーは、
このエクササイズを紹介した学者の名前です。

このエクササイズも
「それ関係あるの?」
というようなところから始まります。

やるのが馬鹿らしい
と思うかもしれません。

でも、
心理的なことに悩む多くの方は、
自分流でいろいろやってみて
効果がなかった人かと思います。

ぜひ、
一度騙されたと思って、
取り組んでみてくださいね。


このエクササイズは、
3つの段階からできています。

例えばあなたが、
「私は何もできないダメな人間だ」
というセルフイメージにとらわれているとしましょう。

「仕事でミスばかりして、なんてダメなやつだ」
「身近な人にもうまく接することができないやつだ」
「こんな人間は世界から必要とされないんだ」

そうした考えが、
ことあるごとに浮かんでしまいます。

きっと、他の人に言ったら
「そんなことないよ」
と言うでしょう。

でも、
私にはそうとしか思えない、
いや、みんなそう思っているはずだ。

そんな考えをあなたの頭が話してきたら、
次のことをやってみてください。

実際にやってみてくださいね。


1:「レモン」のような簡単な名詞を選んでください。
  1,2回声に出してみてください。

何が心に浮かんできますか?

どんな考えや、映像、匂い、味、記憶が
浮かんできますか?

2:その言葉を30秒間、できるだけ
  【速く】言い続けてください。

その言葉が意味のない音に思えてくるまで、
  繰り返し声に出して言ってください。

この先を読む前に、
「レモン」という言葉で試してみましょう。

「レモンレモンレモンレモンレモンレモンレモン・・・・」

必ず口に出して言ってみてくださいね。

そうでないと効果がありません。


3:今度は、自分を厳しく評価するときに、
  あなたの頭が言ってくる言葉で
  同じエクササイズをやってみてください。

「ダメだ」「無能」「デブ」「バカ」
「自分勝手」「負け犬」などの単語でも

「ダメなやつ」「嫌な人間」「ひどい父親/母親」
などのフレーズでもかまいません。

声に出すのは、少し怖いかもしれません。
そこを思い切って、
できる限り速く言ってみてください。

その言葉が意味のない音になるまで
繰り返し言ってみましょう。

30秒も続けていると、
嫌な気持ちよりも、
その言葉を冷静に観察する自分が勝ってきます

あなたをがんじがらめにしているイメージも、
ただの言葉、ただの文字の並び、ただの音
でしかない
のです。

そうして、少し
「◯◯な自分」と離れることができたら、
あなたにとって本当に大切なことのために、
行動をしてみましょう

あなたは「◯◯なあなた」ではありません。
ただの「あなた」として、
大切なことに時間を使いましょう


ちなみに、
このエクササイズを通して
「肯定的な自分」になる必要はありません。

無理にポジティブな
セルフイメージを作る必要はないのです。

逆に、
ポジティブなセルフイメージにとらわれて
しんどくなってしまう人もいます。

このエクササイズを通して見つけたいのは、
「よい自分」でも「悪い自分」でもなくて、
それを観察している「ただの自分」です。

おわりに

最後までお読みいただき、
ありがとうございます!

ACTの全体像については、
以下の記事をお読みください!

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