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頭のなかにある思考のエッセイ

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自分のなかにもやもやと浮かぶものの輪郭をとらえたくて綴る、文章の置き場所。主に自分のための言葉たち。
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記事一覧

「自分で考える」を大事にしたくて

頭の回転が遅いよなあと、思うことが多々ある。 急に話題を振られて返事をするとか、突然の質問に答えるとか、そういう時にするりと言葉が出てくる人を尊敬する。わたしは、まったく出てこないタイプだから。 「考える」に時間がかかる。ゆっくり咀嚼して、自分の脳内を巡らせ、出てきた感情や思考の輪郭を捉えるような言葉を選びたい。でもそんなことをしていると、会話のテンポはすこぶる悪くなる。だからすぐに答えねばならない人前で話すシーンなどは、しっかり考えることも、自分の考えを言葉にすることも

「自分の人生」が、おもしろいコンテンツNo.1であってほしい

「わたしもいつか、ああなってしまうのかな……」 ぱたりとドアを閉め、作り笑いを消した後、ぽつりと呟いた。 たった今、近所のおばあちゃんが突然訪ねてきて、「お庭をこうした方がいい」だったり「近所のあの人は〜」という噂話だったりをわーっと喋って帰っていった。悪い人ではないし、優しさからだってわかるけど、わたしと夫の顔には疲れの色が浮かんでいた。 最近、求めていないアドバイスをもらうことが増えた。側から見ると心配になるような生き方をしているからだろうか。それらのアドバイスはた

【カフェ開業まとめ】思考を綴り、本を読むための、小さな喫茶室をOPENするまで

何年ものあいだ夢見ていた、カフェ開業。 ついに12月6日にOPENすることが決まりました。 ノートを開いて思考を綴ったり、本を読んだり、考え事をしたり。ひとりの時間を心地よく過ごすための、小さなカフェ。名前は『じぶんジカン喫茶室』です。 場所は、海と山に囲まれた静岡県伊豆高原。国立公園の敷地内にある、緑豊かなエリアにお店を構えました。 このnoteでは、カフェを開業に向けてやってきたことをお届けします。 どうしたら自分でもカフェを開業できるか考えたはじめて「カフェを

心の調子を崩してから、社会復帰までのはなし

靄に包まれ泥沼に立ち尽くすような日々だった。 社会人2年目、24歳の夏。出張中に眩暈で倒れ、どうにか家に帰るも翌日から出社できなくなった。内科で診てもらうと「異常はない」と言われ、辿り着いたメンタルクリニックで適応障害と診断された。 予兆はあった。会社に行こうとすると涙が出たり、電車に乗ると体調を崩したり、本が読めなくなり、大好きなバンドの音楽すら聴けなくなっていた。 会社はしばらく休職させてもらったけれど、もう二度と戻れる気がせず、4ヶ月ほど経って退職の手続きをした。

「ふらりと逃げ込める非日常」を持っておく

いつもとは反対方向の電車に揺られて30分。 ふわっと潮風の匂いがわたしを包む。駅を出て、すぐ目の前に砂浜のビーチ。薄曇りの今日は海と空の境目が曖昧で、ぽつんと浮かぶ島だけが水平線の存在をかろうじて感じさせる。 突如じわりと涙が込み上げる。昔から心の琴線に触れることがあると、なぜだか目頭が熱くなるのだ。 この景色が、心の奥深くにある何かを満たしていく。 半日だけのバカンスでやってきたここ「今井浜海岸」は、伊豆のビーチの中でもそれほどメジャーではない場所だと思う。 伊豆

12年間の手帳歴と、オリジナル手帳カバー制作のはなし

2024年秋、ついにオリジナルの手帳アイテムをつくりました。 せっかくの機会なので今回は、手帳にまつわる3つのはなしをまとめてみます。 オリジナル手帳に興味を持ってくださっている方はもちろん、ものづくりの裏側に興味がある方や、手帳のはなしが好きな方は、よかったらお付き合いくださいませ。 わたしの手帳歴:社会人になってから12年間の振り返り社会人1年目〜2021年までの10年間|MARKSのEDiT手帳を愛用 社会人になってから2021年までの間は、ずっとMARKSのE

人生をステージ分けしてみると、わかること

「自分の人生において、今は第何ステージだと思う?」 という問いが、けっこう気に入っている。少し前にnoteメンバーシップでお届けした問いであり、その後も相談室などで必要だと感じる人にはアレンジしてお届けしたり。 この視点のお気に入りポイントは、三つある。 一つは、そもそもこれまでの人生がいくつのステージで構成されているのか、俯瞰で考えられる点。 二つ目は、その上で自分の現状を捉えられること。 三つ目は、現在地がわかれば、これからのことを考えやすくなるところ。 わた

勝手にハードルを上げてしまう思考癖

やってみたいと思う物事に対して、勝手にハードルを上げてしまう癖がある。 何かやってみたいと思った時に、「自分なんかができるのだろうか」「絶対難しいに決まってる」と、まだ試してもいないうちから、ハードルを爆上げしてしまう。 それはおそらく、昔からずっとある自信のなさだったり、「自分は人一倍頑張らないと人並みになれない」みたいな経験の多さだったりから来てる気がする。 先日、喫茶室営業を始めるための保健所の検査を受けた。 飲食店営業許可を取るための検査なのだけど、わたしはず

テレビのない生活をはじめて半年

今年の2月に、テレビを手放した。 きっかけは、単純に「この存在感のある家電は、本当にわたし達の生活に必要なのだろうか?」と感じたこと。わたしも夫も元々あまりテレビを見るタイプではなく、一度も電源をオンにしない日も多々あったから。 それと、なんとなくつけた瞬間に心がざわざわするようなニュースが映ったり、気持ちが暗くなるような映像が流れたりすることがあって、それもとても嫌だった。 それで引っ越しのタイミングで、思い切って手放したのである。 テレビなし生活による最も大きい変

「終わり」が来ることを、わかっておく。

とあるカフェの、閉店のお知らせが飛び込んできた。 自分にとって目指すべき指針のような、存在自体が救いのようなカフェの、閉店のお知らせ。「まさか」という気持ちと「そうだよね」が両方湧き出る不思議な感覚。 あの湖のほとりにある、静かなカフェ。おしゃべりも、写真を撮ることも歓迎されない、ただ「今ここ」を味わうための場所。 まさか、無くなってしまうなんて。一度訪れて、またいつか行きたいと思いつつ、遠方なのでなかなか難しいこともわかっていたから、オンラインショップで珈琲豆を購入し

人生に飽きて、持て余していた夏

「昨年の今頃、人生に飽きちゃってたんですよね」 と話すと、たいていの人に驚かれる。たしかに「つまらない」とか「飽きた」とか、そういうことはほとんど口に出していなかったので、そんなふうには見えなかったのかもしれない。 好きな街で心地よく暮らしていたし、仕事も軌道に乗っていて、好きなことを好きな時間に、好きなようにやっていた。そうやって書くと、人生が充実しているように見えるような気もする。 だけどわたしは、「つまらなさ」を抱えていた。 ちいさな楽しみをつくったり、新しいこ

何かを新しく始めることが、久しぶりに「怖い」と思った。

今年のはじめからコツコツつくってきたお店の開業が、近づいてきている。 別荘として使われていた築45年の平屋を手に入れたのは、年明け早々のことだった。 おそらく長い間使われていなかったその空間を、いろんな人の力を借りて手入れしてきた。 今年の12月にオープンする予定で、いよいよ秋頃からはプレオープンと称して、関わってくれた方々や友人知人に来てもらったりもする。その前には飲食店営業許可をとるために、保健所に申請したりといった手続きもある。 これまでは、店づくりを進めながら

自分の夢と、誰かの夢と、わがままと。

先日、Instagramでこんな質問をもらった。 わたしにはこの視点、実はまったくなくて……!だから「なるほど、そう思う人もいるのか」と勉強になった。 きっと自分の夢を叶えようとすることで、周りの人に負担をかけたり、我慢をしてもらったりすることがあるから申し訳なく感じる……ということなのかな。 それで言うとたしかに、わたしも自分の「やりたいこと」をやろうとすることで、特に夫や家族に負担をかけてきたと思う。 例えば20代で「フリーライターとして生きていこう」と決めた時、

無理なく生きるのに必要なこと

自分に無理なく生きるには、「あきらめる力」が必要だと思う。 あきらめること。やめると決めること。優先順位をつけること。完璧主義を手放すこと。 そもそも自分に無理をさせてしまう人はおそらく、真面目すぎるのだ。背負いすぎ、抱えすぎ、「百点じゃないと」と思いすぎ。 「無理しないでね」とか「もっと人に頼っていいんだよ」と言われたことがある人は、真面目すぎ予備軍か、もう真面目すぎて無理してる域に達していると自覚したほうが良いかも。 わたしは先日、お店づくりにおいて、開業までにや