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アルゼンチン・ミレイ大統領就任演説(日本語訳全文)

追記 ※全体的に文章を修正しました(12月16日)

アルゼンチンの大統領選で当選したハビエル・ミレイ氏の就任式が12月10日、首都ブエノスアイレスの議会で行われました。
前大統領のフェルナンデス氏から、大統領の懸章とバトンを受け継ぎました。

今回は、ミレイ新大統領の就任演説の全文を日本語訳しようと思います。

※動画にも日本語字幕をつけました!以下のyoutubeから御覧ください
(12月7日追記)


演説文はとても長いので、筆者(藤丸)が勝手に目次をつけました。
(目次の小見出しの1~6は、藤丸がつけたものです)。
「2,経済」がとても長く、他は短いです。


ミレイ大統領が演説の中で、個人名をあげて「偉大なる経済学者」として紹介しているヘスース・ウエルタ・デ・ソト氏の本を、
日本で翻訳・出版しているのは、自由主義研究所の研究員の蔵研也です。
就任演説の中で、ヘスース・ウエルタ・デ・ソト氏についての発言は「3,治安悪化」のところです(目次から飛べます)


文章中の太字と(注)は筆者(藤丸)です。

ミレイ大統領就任演説


1,アルゼンチンの歴史と今

皆さん、こんにちは。
錚々たる閣僚、知事、国会議員、外国大統領および要人、
アルゼンチンの国民のみなさま。
今日、アルゼンチンに新しい時代が始まります。
今日、私たちは退廃と衰退の長く悲しい歴史に終止符を打ち、祖国再建への道を歩み始めます。
アルゼンチン国民は、後戻りできない変化を求める意志をはっきりと表明しました。
もう後戻りはできません!
 
今日、私たちは、何十年にもわたる失敗、内紛、無意味な闘争、私たちの愛する国を破壊し、私たちを廃墟にすることだけに成功した闘争を葬り去ります。
今日、アルゼンチンは新しい時代が始まります。それは平和と繁栄の時代、成長と発展の時代、自由と進歩の時代です。
 
200年前、アルゼンチン市民の一団がサン・ミゲル・デ・トゥクマンに集まり、リオ・デ・ラ・プラタ連合州がもはやスペインの植民地ではなく、その歴史的瞬間から自由で主権ある国家になることを世界に宣言しました。
何十年もの間、我が国にはどのような制度が必要なのか、内紛が続いて来ました。
独立宣言の約40年後の1853年、今日「37年世代」として知られる若い理想主義者たちの小さなグループの支援のもと、私たちは国民として自由の理念を受け入れることを決定しました。
 
こうして私たち、私たちの子孫、そしてアルゼンチンの地に住むことを望む世界中のすべての人々に、自由の恩恵を保証する自由主義憲法が制定されました。
 
自由主義を根幹とするこの憲法の採択に続いて起こったのは、わが国の歴史上最も目覚ましい経済拡大でした。
総力戦を繰り広げる野蛮人の国から、世界をリードする大国になったのです。
20世紀初頭、わが国は西洋の光明となった。
荒廃したヨーロッパから進歩の地平を求めて逃れてきた何百万もの移民を、わが国の海岸は両手を広げて歓迎しました。
 
残念ながら、その後、私たちの指導者たちは、私たちを豊かにした自由主義経済を放棄し、集産主義という貧困をもたらす思想を受け入れることにしました。
 
100年以上もの間、政治家たちは貧困と停滞と悲惨を生み出すだけのモデルを守ろうと主張してきました。
市民は政治に奉仕するために存在するのであって、政治が市民に奉仕するために存在するのではないとするモデルです。
 
そのモデルは、
政治家の仕事は、可能な限りのすべての範囲と領域において個人の生活を方向づけることだと考えます。
国家を、友人同士で分かち合う戦利品とみなすモデルです。
 
皆さん、このモデルは失敗しました。
世界中で失敗しましたが、特にわが国で失敗したのです。
ベルリンの壁の崩壊が世界にとって悲劇的な時代の終わりを告げたように、今回の選挙は私たちの歴史の転換点を告げたのです。

2,経済

最近、私たちが受け取るべき遺産について多くのことが語られています。
これだけは、はっきりさせておきます。
私たちが受けようとしているものほど、ひどいものを相続した政府はありません。
 
キルチネリズム(※)は当初、2つの黒字を誇っていました。
つまり、財政黒字と貿易黒字です。

(※)キルチネリズムとは?

アルゼンチン大統領を連続して務めたネストル・キルチネルと クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル夫妻の支持者によって形成されたポピュリストの理想に基づくアルゼンチンの政治運動である。
ペロニズムの一派と考えられているが、ペロニストの一部の派閥からは反対されており、一般的には左翼ポピュリズムの範疇に入ると考えられている。

夫のネストル・キルチネルは2003~2007年、妻のクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルは2007~2015年にアルゼンチン大統領を務めた。


現在では、GDP比17ポイントの双子の赤字を抱えています。
GDP17ポイントのうち15ポイントは、財務省と中央銀行の連結赤字です。
 
したがって、財政赤字への攻撃を回避する実行可能な解決策はありません。
同時に、この15ポイントの財政赤字のうち、5ポイントは財務省に、10ポイントは中央銀行のものです。
したがって、その解決策は、一方では、GDPの5ポイントの国家公共部門の財政調整を意味し、これは過去とは異なり、民間部門ではなく、ほぼ全面的に国家に課されることになります。
 
他方、中銀の10ポイントの赤字の原因となっている有利子負債をなくす必要があります。
そうすれば貨幣の発行が止まり、経験的にも真実で理論的にも妥当な唯一のインフレの原因がなくなります。
 
しかし、金融政策には18~24ヶ月のタイムラグがあることを考えると、たとえ今日お金の発行を止めたとしても、前政権が行った金融の混乱のツケを払い続けることになります。
前政権がやったように、GDPの20ポイントを使うのはタダではありません。
そのツケはインフレで払うことになります。
 
同時に、この政府のもう一つの遺産である外国為替規制は、社会的・生産的悪夢です。なぜならそれは、高い金利、低い経済活動、低い正規雇用率、貧困層の増加を促す悲惨な実質賃金を意味するからです。
それだけでなく、今日の経済における資金余剰は、「ロドリガソ」以前の2倍です。

(※)ロドリガソ(Rodrigazo)とは?

1975年6月にアルゼンチンで発表された一連の経済政策とその直後の名称である。1975年5月にイサベル・ペロン大統領によって任命されたアルゼンチン経済大臣セレスティーノ・ロドリゴによって発表され、実施されたことに由来する。

概要は下記。
・商業為替レートに対して150%の通貨切り下げ。
・光熱費と 交通費の100%値上げ。
・燃料価格の180%上昇。
・賃金の45%増。

これが何を意味するのか、
ロドリガソがインフレ率を6倍にしたことを思い出しましょう。
同じような出来事はインフレ率を12倍にすることを意味しており、インフレ率が300%だったことを考えると、それは年間3600%に達する可能性さえあります。
 
同時に、・・・落ち着いてください。
遺産はこれで終わりではなく、まだ続きます。
 
同時に、中央銀行の有利子負債がアルフォンシンによるハイパーインフレ以前より減少している状況を考えると、マネーサプライは短期間で4倍になり、インフレ率は年率15,000%のレベルに達する可能性があります。
これが彼らの残した遺産です。
年率15,000%のインフレ率。
これを根絶するために、私たちは徹底的に闘います。
 
さらに、この数字はすでに狂気ですが、それは1ヶ月52%のインフレ率になることを理解してください。
その一方、民間機関による推定では、12月から2月にかけて、月に20%から40%のインフレになるでしょう。
前政権はハイパーインフレを残しました。
我々の最優先事項は、90%以上の貧困率と50%以上の困窮率につながるこのような大惨事を回避するため、あらゆる努力をすることです。
したがって、調整以外の選択肢はないのです。

他方、遺産はこれにとどまりません。
関税の不均衡は2015年のキルチネリズムが残した災難に匹敵しているからです。
為替レートのギャップは150%から200%で、ロドリガソ政権と同じようなレベルです。
 
同時に、輸入業者の負債は300億米ドルを超え、外国企業の内部留保は100億米ドルに達します。
中央銀行とYPF(政府系石油会社)の債務は250億米ドル、財務省の債務残高はさらに350億米ドルです。負債という点では、負債による吸い上げが1000億米ドルに達したことを意味し、これを既存の負債約4200億米ドルに加えなければなりません。
 
もちろん、これらの問題に加えて、今年の満期債務があり、その額は多国間信用機関との間で、ペソで900億米ドル、外貨で250億米ドルにもなります。
しかし、金融市場は閉鎖され、IMFの合意は退陣政府の残忍な債務不履行によってボロボロになっているため、債務の借り換えは神話上のキュクロプスにとってさえ難題です。
 
これでも十分ではないかのように、2011年以降、経済が成長していない中で、このような事態が起きているのです。
すでに述べたように、民間部門の正規雇用は600万人と低迷したままであり、非正規雇用の数がそれを33%も上回っているという異常事態に陥っています。
従って、実質給与が月300ドル前後と、ペソが兌換されていた時期の6倍も低いだけではなく、当時のトレンドが維持されていれば、あるいは人々が忌まわしい新自由主義と言っていた時期が続けば、今日では月3,000ドルから3,500ドルの間にあったはずであることには、誰も驚かないでしょう。
 
彼らは私たちの生活を台無しにしました。
彼らは私たちの給料を1桁下げたのです。
だから、ポピュリズムによって私たちの45%が貧しくなり、10%が貧困にあえぐことになっても、私たちは驚くべきではありません。
このような不可逆的と思われる状況の後では、適応という選択肢以外にはないことは明らかです。
ショック主義と漸進主義の間に、議論する余地はありません。
 
第一に、経験的に言えば、すべての漸進的プログラムは失敗に終わったが、1959年プログラム以外のすべてのショック・プログラムは成功しました。
第二に、理論的な観点からは、残念ながらアルゼンチンのように評判の悪い国の場合、財政調整によって不況になるとわかるまで、実業家は投資をしないからです。
第三に、そしてそれに劣らず重要なのは、漸進主義には資金調達が必要だということです。
そして残念なことに、もう一度言わなければなりません:お金はありません!
 
従って、調整とショックに代わる選択肢はないという結論になります。
もちろん、これは経済活動、雇用、実質賃金、貧困層や貧困にあえぐ人々の数に対して有害です。
スタグフレーションが起こるのは事実だが、過去12年間に起こったことと大差はないでしょう。
過去12年間、インフレ率が5,000%に達する中で、一人当たりGDPは15%減少しました。
 
つまり、私たちは10年以上もスタグフレーションの中で生きてきたのです。
したがって、これがアルゼンチンの復興開始の最後の負担です。

 
同時に、私たちが行おうとしているマクロ調整の後、カントリーリスクが下がれば下がるほど、その痛みは軽減されます。
そして、人的資本省への封じ込めがうまくいけばいくほど、状況は好転し始めるでしょう。
そうすれば、道の終わりに光が見えてきます。
 
別の選択肢の場合、考えられる提案は進歩的なものでした。
その唯一の資金源は、歴史上、最悪の危機に国を導くハイパーインフレで弱体化するお金の発行でした。チャベスやマドゥロのベネズエラの暗闇と私たちを同じにする、退廃的なスパイラルに落とし込むという事実に加えてです。
 
従って、このような状況に陥った後、唯一の可能な選択肢は調整です。
秩序ある調整は、民間部門に対するものではなく、すべて国家に対するものであることに疑いの余地はありません。
 
これが困難であることは分かっています。
だからこそ、私はアルゼンチン史上最高の大統領の一人、 フリオ・アルヘンティーノ・ロカの言葉を紹介したいのです。

「人間の自由と民族の感謝ということについては、最高の努力と痛みを伴う犠牲を払わない限り、偉大なもの、安定したもの、永続的なものは何一つ獲得できない。」

(※)フリオ・アルヘンティーノ・ロカとは?
1880年から1886年、1898年から1904年までアルゼンチン大統領を務めた陸軍大将、政治家。


3,治安悪化

しかし、私たちの課題は経済レベルにとどまりません。
わが国の悪化は、地域生活のあらゆる分野に影響を及ぼしています。
治安の面では、アルゼンチンは血の海と化しています。
犯罪者が野放しになっている一方で、善良なアルゼンチン人が牢獄に閉じ込められています。
麻薬密売は徐々に街を支配し、アルゼンチンで最も重要な都市のひとつが麻薬と暴力に支配されるまでになっています。
治安部隊は何十年もの間、屈辱的な扱いを受け、虐待され続けてきました。
犯罪者の3%しか有罪にならないような道徳的混沌状態です。犯罪者はもう起訴されていません。
 
社会面では、人口の半分が貧困にあえぎ、社会構造が完全に崩壊しています。2,000万人以上のアルゼンチン人が尊厳ある生活を送ることができないのは、さらなる貧困を生み出すだけのシステムの囚人となっているからです。
偉大なるヘスース・ウエルタ・デ・ソト(※)が言うように、(政府による)反貧困計画は、さらなる貧困を生み出します。
貧困から抜け出す唯一の方法は、より大きな自由です。

(※)ヘスース・ウエルタ・デ・ソトとは?

スペインのオーストリア学派の経済学者。
スペインのマドリード国王フアン・カルロス大学 応用経済学部教授、ミーゼス研究所シニアフェロー

ヘスース・ウエルタ・デ・ソト

4,教育

600万人の子供たちが、裸足で路上を歩き、麻薬に溺れ、空腹のまま眠りについています。
教育でも同じことが起こっているのです。
私たちが経験している悪化のイメージを伝えると、決まった学齢で正しく学校を卒業できる子どもは、わずか16%しかいません。わずか16%、100人中16人です。
つまり、84%の子どもたちが、決まった年齢で正しく学校を卒業していません。

また学校を卒業しても、70%の子どもたちは基本的な数学の問題を解くことも、文章を理解することもできません。
実際、最新のPISA学力評価では、アルゼンチンは81カ国中66位、ラテンアメリカでは7位でした。
アルゼンチンは世界で初めて文盲をなくした国です。
もしサルミエント(かつての大統領・文筆家)が、今の教育がどうなっているかを見ることができたなら......。


5,医療


医療面では、現行制度は完全に崩壊しています。
病院は破壊され、医師の給料はわずかで、アルゼンチン国民は基本的な医療を受けることができません。
パンデミックの時、アルゼンチンが世界の平均的な国と同じことをしていれば、3万人の死者が出ていたでしょう。
しかし、国家の怠慢と非効率のおかげで、13万人のアルゼンチン人が命を落としました。
 
これが、政治家たちが口々に言う現状です。
これが、自分たちだけが得をする公共支出の大幅増を正当化するための論拠なのです。
どの分野、どこを見ても、アルゼンチンの状況は非常事態です。
 
国のインフラを見ても、状況は同じです。
道路は16%しか舗装されておらず、11%しか整備されていません。
毎年約15,000人のアルゼンチン人が交通事故で亡くなっているのは偶然ではありません。


6,短期的に状況が悪化するとしても、自由が大事だ


私が言いたいのは、アルゼンチンの状況は危機的で緊急だということです。
 
代案も時間もありません。
不毛な議論をする余地はないのです。
わが国には行動、即時の行動が必要です。
政治家たちは、歴史上最も深刻な危機に瀕している国を放置しています。
彼ら一人ひとりが責任を取らなければなりません。
彼らを選別するのは私の仕事ではありません。
これから数週間のうちに下さなければならない難しい決断を、私たちは求めてもいないし、望んでもいません。
しかし、残念ながら選択の余地はないのです。
 
しかし、アルゼンチン国民に対する我々のコミットメントは揺るぎないものです。
我々は、政治家たちの100年にわたる浪費によって引き起こされた問題を解決するために必要な、すべての決断を下します。
たとえ最初は困難であってもです。
短期的には状況が悪化することはわかっています。
 
しかし、そうすれば、時間をかけて堅実かつ持続可能な成長の基礎を築いた私たちの努力の成果を目にすることができるでしょう。

私たちはまた、すべてが失われるわけではないことも知っています。
私たちが直面する課題は非常に大きいが、それを克服する能力もまた大きなものです。
簡単なことではないでしょう。
100年にわたる失敗の歴史が1日で覆ることはありません。
しかし、いつの日にか始まりがあり、今日がその日なのです。

 
 
今日、私たちは退廃の道を離れ、繁栄の道を歩き始めました。
私たちは、常に夢見てきた国になるためのすべてを手にしています。
我々には資源があり、国民がおり、創造性があり、そして最も重要なことは、前進するための回復力があるということです。
 
今日、私たちは自由の理念を受け入れることに立ち返ります。
この理念は、自由の理念の最大のヒーローであるアルベルト・ベネガス・リンチ教授(※)が自由主義の定義にまとめたものです:
 
「自由主義とは、他者の人生の活動を全面的に尊重することである。
それは非侵略の原則に基づき、生命、自由、財産に対する権利を擁護し、私有財産、政府介入のない市場、自由競争、分業、社会的協力を基本制度とするものだ」

 
この57語の文章は、アルゼンチン国民が選択した新しい社会契約の本質を要約しています。

(※)アルベルト・ベネガス・リンチ教授とは?

経済学博士(UCA)、経営科学博士(UADE)。
ブエノスアイレス国立科学アカデミー経済科学部門会長。
ブエノスアイレス大学では、経済科学、法学、工学、社会学、哲学史、文学部の5つの大学で教鞭をとり、UCA経済社会科学部博士課程では、経済学のオルタナティブ・パラダイムとしてのオーストリア学派の正教授を務め、ラプラタ国立大学経済科学部博士課程ディレクター、23年間ESEADE学長を務め、現在は名誉教授。ブエノスアイレス証券取引所、アルゼンチン商工会議所、アルゼンチン農村協会、米州商工生産評議会の経済顧問を務めた。
モン・ペレラン協会理事を2度務め、経済問題研究所(ロンドン)の学術諮問委員会メンバー、ケイトー研究所(ワシントンDC)およびルートヴィヒ・フォン・ミーゼス研究所(オーバーン)のアカデミック・アソシエート、ブエノスアイレスの国立道徳政治科学アカデミー社会科学方法論研究所のメンバーであり、国内外の大学から名誉学位を授与されている。アルゼンチンの自由と進歩財団(Fundación Libertad y Progreso)会長など。


この新しい社会契約は、国家が私たちの生活を管理するのではなく、私たちの権利を見守る国、私たちに危害を加える者が代償を支払う国、という別の国を提案しています!
 
悪事を働き、同胞の権利を侵害する者が社会の支援を受けられない国、我々の言葉で言えば、悪事を働く者は報酬を得られない国です。
法の範囲内では何でも許されるが、法の範囲外では何も許されない国。
援助を必要とする人々を支援する国でありながら、自分たちを富ませるために最も貧しい人々を利用する人々によって、脅迫されることを許さない国です。
 
アルゼンチンの政治家たちについて言えば、私たちは誰かを迫害するためにここにいるわけではなく、古い因縁を清算するためにここにいるわけでも、権力について議論するためにここにいるわけでもありません。
私たちのプロジェクトは借金返済のプロジェクトではなく、国のプロジェクトです。
私たちは盲目的な支持を求めないが、アルゼンチン人が選択した変革を妨げる偽善や不誠実、権力への野心は許しません。
私たちは、新しいアルゼンチンの一員となることを望むすべての政治家、労働者、ビジネスリーダーたちを、両手を広げて歓迎します。
だから、彼らがどこの出身であろうと、以前に何をしていようと、重要なのは彼らがどこへ向かおうとしているかということだけです。
暴力や恐喝で変化をもたらそうとする人々に対しては、揺るぎない信念を持ち、国家のあらゆる手段を駆使してわが国に必要な変化をもたらす大統領がここにいると言います。
 
私たちは、あきらめず、引き下がらず、降伏しません。
私たちは、この国に必要な変化を進めていきます。
なぜなら、自由の理念を受け入れることが、私たちが陥れられた穴から抜け出す唯一の方法だと確信しているからです。

 
はっきりと結論します。
今日、アルゼンチンでは新しい時代が始まります。

私たちの前に立ちはだかる試練は巨大なものですが、民族の真の強さは、試練が生じたときにいかに立ち向かうかによって測られます。
そして、その困難に立ち向かう能力が限界に達したと考えるたびに、私たちは空を見上げ、その能力が無限であることを思い出すのです。

 
試練は巨大ですが、我々は信念を持って立ち向かい、たゆまぬ努力を続け、目標を達成します。
この大統領就任式が光の祭典であるハヌカの祝日に行われるのは偶然ではありません。
マカベア戦争(※)は、弱者が強者に、少数が多数に、光が闇に、そして何よりも、真実が嘘に打ち勝つことの象徴です。
そして私は皆さんに安楽な嘘より、むしろやっかいな真実を語ります。

(※)マカベア戦争とは?
前166年~前142年に及ぶ、パレスチナでのユダヤ人が起こしたセレウコス朝シリアの支配に対する戦い。マカバイ戦争ともいう。
マカバイ戦争をユダヤ側からの視点で描いたものが旧約聖書外典の「マカバイ記」である。

私たちは勝利を確信しています。

今回、副大統領に就任したビヤルエルとともに、2年前にこの議会に入ったことを覚えています。
インタビューで、257人のうち2人では何もできないと言われたことを覚えています。
その日の答えは、マカベア書3章19節の引用でした。
それは、戦いの勝利は兵士の数ではなく、天からもたらされる力による、という言葉です。

だから、アルゼンチン人に神の祝福があり、この挑戦において天の力が我々とともにありますように。

ありがとうございます。
難しいでしょう、しかし我々は必ずやり遂げます。

自由万歳!!
取り戻しましょう、必ず成功します。

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