経営陣から一目置かれる会計士に学ぶ!キャリアの幅の広げ方
ECプラットフォーム『ecforce|D2C顧客体験型ECプラットフォーム』の提供を中心にコンサルティングサービスやD2C支援事業を通じて、コト・モノに関わるすべての人々の顧客体験を最大化することを目指す株式会社SUPER STUDIOで、執行役員として活躍中の阿部勇輝さん。
高校3年生から勉強を始めて大学3年時に見事公認会計士の二次試験に合格。そして入所した監査法人時代の仕事との向きあい方、培ったスキル、それらが現職でどのように活きているのか。
学びの多いお話をうかがってきました。
担当はJAPAN FASの俵家と大沢です。
キャリアの先輩をご紹介
株式会社SUPER STUDIO
執行役員
阿部 勇輝 氏
立教大学卒
公認会計士
2014年 有限責任あずさ監査法人 入所
2019年 株式会社SUPER STUDIO 入社
※所属・役職は取材当時のもの
保守的、だけどそこがいい
――SUPER STUDIO社との長いお付き合いのなかで受けた勝手な印象ではありますが、阿部さんは考え方がベンチャーっぽくないような……保守的? な人のように見受けられます。
たしかにベンチャー・スタートアップの中では保守的なほうかもしれないですね。常にリスクを想定し、将来を見据えて今なにをすることが最善かを考えるタイプだと思います。
ベンチャー企業は会社に勢いがある反面、その波に任せてしまうと思わぬ落とし穴に落ちてしまうこともあります。
「いろいろな軸で考えた結果、やはりこの検討が正しい」という答えを出すためには多様な考えを持っている人が会社に必要だという考えを経営陣が持っているので、私のような「もっと細部まで注意深く検討しようよ」と言う人間が、ひとりくらい居てもいいのかなと思っています。
「今の自分で本当に通用するのか?」
――前職の監査法人時代について聞かせていただけますか?
そんなに遠くない未来に転職しようと、早いうちから考えていました。
公認会計士という職業は多様なキャリアを積める可能性があり、とても可能性を広げやすいです。それを最大限活かすためには、外の世界に目を向けることが重要だと思ったのです。
監査法人時代は、「自分はどのタイミングで転職するのだろう」と考えながら、いまの環境でしか学べないことをしっかりとキャッチアップすることを意識していました。
ただ、いざ転職となると「このタイミングがベストなのか?」「今の自分で本当に通用するのか?」という葛藤がありました。踏ん切りをつけるのは難しかったですね。
――葛藤のなかで「今だ」と思えたきっかけは何だったのでしょう?
社会的に働き方改革が声高に叫ばれるようになったことで、監査法人にもその波が来ました。結果として、監査クライアントに深く入り込む時間がそれまでのように持てなくなっていきました。
もっとがむしゃらに、自分がさらにレベルアップできる環境に身を置きたい、と思ったことが「今だ」と思ったきっかけです。
強みを活かせる環境へ
――次のキャリアはどのような方向性で考えていましたか?
私の強みはひとつの物事を深く考えられるところだと分析していたので、それを活かせる環境を選ぼうと考えました。
監査法人では、複数の監査クライアントに同時並行で価値を提供していきます。複数の企業に触れることで早期にベストプラクティスを習得できたことはとても、まなびになりましたが、限られた時間で効率よく価値を提供できる進め方を優先するため、目前の業務で精一杯になり、スキルが積み上がっていかないのではと感じていました。
そこで、次は1社に深く入り込んで取り組める環境へ、と考えるようになりました。
入所から5年も経つと、会計士の同期の中には独立や転職をした人がすでにいました。そのうちのひとりにSUPER STUDIOと深いつながりがある知人がおり、「一緒にSUPER STUDIOで働かないか」と声をかけてもらったのが現職との出会いです。
――リファラル採用だったのですね。入社前に迷いはありませんでしたか?
転職を決断するうえで、見知った間柄の人の意見を参考にできたことは大きな安心材料になりましたね。
CEOの林とCOOの花岡との会食をセッティングしてもらい、SUPER STUDIOが考えるEC・SaaS(※)のビジネスモデルの可能性や、自社でもD2C事業(※)を立ち上げているという事業展開の幅広さを知り、とても興味を持ちました。
さらにカルチャーフィットという観点で、SUPER STUDIOが掲げるValueのうち、とくに「CHANGE(変われる人であれ)」が私の実体験とマッチしていて、決断の後押しになったんです。
公認会計士の勉強において、今までの自分の中にはなかったけれど成功者がおこなっていた方法を新しく取り入れて、自らを変化させることで成長につながったような「変わることによる成功体験」があったため、SUPER STUDIOの持つカルチャーに強い共感を覚えました。
大変な状況を乗り越えたことが今の自分につながっている
――現職のSUPER STUDIOに入った感想はいかがでしたか?
入社時のギャップが正直まったくなかったわけではないですが、監査法人を飛び出して1社目ということもあり、いい環境づくりをするぞ! 結果を出すぞ! と燃えていたので気にならなかったです。
とても大変だったという側面と、だからこそ、それを乗り超えたことで今の自分につながっているなと思える側面があります。
振り返ってみると、大きく成長させてもらえたよい経験だったなと感じます。
ベンチャー・スタートアップは事業の成長スピードによって数か月で状況ががらりと変わるので、3ヶ月を乗り切って、また3ヶ月乗り越えて……と、いいサイクルで全速力疾走ができたかなと思います。
――とくに大変だったことはどんなことでしょう?
会社設立から5期目、社員数60人くらいという時期に入社しました。
ある程度の規模に成長した会社の業務フローをイチから構築していくことは非常に大変でしたね。半年前に経理メンバーが入ったばかりで経理体制の内製化もこれから、という状況でした。
経理業務は、一度しくみが整えば少人数で運用することができます。
しかし整っていない状況では、日常的な運用タスクと同時に改善に向けたタスクも対応しなければいけません。
運用と改善を両輪で進めていくことに苦労しました。
当時の経営企画グループは、私を含めて3名でした。しくみが整ってないと人を増やしても穴の空いたバケツに水を入れているだけになってしまうため、ある程度整ったタイミングで人を増やそうと考えていました。
その後、会社規模の拡大に伴ってメンバーを増員させることができ、現在は11名の体制までに成長しています。
仲の良い雰囲気とプロフェッショナル意識という両軸
――貴社のさらなる成長に必要なことは、どんなことだと思われますか?
SUPER STUDIOでは数年前までリファラル採用が主だったこともあって、とても仲の良い雰囲気が醸成されていましたが、プロフェッショナル意識を高めることでより高みを目指せるのではという思いもありました。
ここが難しいところで、プロフェッショナル意識にばかり目が向くとカルチャーがおざなりになる……ではないですが、せっかくのいい雰囲気がうまく作用せず、メンバー同士のコミュニケーションが閉ざされてしまう側面もあると思うんです。
現在は、仲がよい雰囲気を大事にしつつも個々がプロフェッショナル意識を高く持つ集団に磨かれてきたと感じます。やはり両軸で会社を成長させていくことが大事だなと思いますね。
――リファラルではなくエージェント経由で入社した方々の、カルチャー浸透度はいかがでしょうか?
振り返ってみても、社員100名くらいまでに醸成されたカルチャーはとても重要だと感じます。
培ったカルチャーに共感してくださる方が新しく入社してくれて、その人たちも今までのカルチャーを引き継いでくれる。そうしたバトンパスが繰り返され、現在の規模になっても、もともとのカルチャーが浸透しているのだと思います。
エージェントさんからも「SUPER STUDIOの方々はみんな楽しそうに働いていますよね」と言っていただくことが多く、うれしいですね。
――そうですね、貴社は雰囲気がいいので候補者の方に自信を持ってすすめられます。そんな現職での阿部さんの業務範囲を教えてください。
経営企画グループを管掌しています。ざっくりいうとお金とリスクの管理ですね。
業務フローの整備や数値分析・決算体制の構築などがメインですが、契約書ひな形の作成検討や新規事業の論点整理などの法務業務も見ています。
事業会社に飛び込んで苦戦していることは、人にわかりやすく説明するための資料づくりですね。
監査法人出身者あるあるかもしれませんが、これまではエクセルで資料をつくることが多かったんです。エクセルは表計算ソフトなので人に伝えることを前提としていないんですよね。どういった資料構成なら相手にメッセージが伝わるのかを考える機会そのものが、あまりありませんでした。
現職ではKeynoteなどを使って説明資料づくりをおこなっていますが、初めのころは操作に慣れるのにかなり時間がかかりました。資料作りが得意なメンバーに力を貸してもらいながら学ばせてもらっています。
慣れないことや苦手なことがあるぶん、自分の強みを活かせる領域では最大限のパフォーマンスを発揮できるよう業務に向き合っています。
次世代EC構想=EC事業者がより良く事業展開するための仕組みづくりを実現する構想
――阿部さんの今後の展望をお聞かせいただけますか?
当社が掲げているのは、「次世代EC構想」という「EC事業者がより良く事業展開するための仕組みづくりを実現する構想」です。
EC事業者が持っている情報やデータはたくさんあって、それらを統合して分析することでより深いマーケティング施策やCRM施策などが打てると考えています。
バラバラになってしまっている情報やデータを統合管理できる基盤や仕組みをつくりあげて、お客さまに提供したいという思いがあります。
一例として、当社が提供しているECプラットフォーム『ecforce』はいわゆるECカートシステムのため、消費者の購入情報が蓄積されます。
その購入情報を単独で切り離して管理してしまうとただのEC上の購入をサポートするだけのサービスになってしまいますが、『ecforce』では顧客体験を最大化するという観点で購買情報とマーケティング情報を統合して管理しています。
これにより、この広告投資に対してどれだけ効果があったのか? を適切に判断できるようになっているのです。
自社のD2C事業などを通じて情報やデータの持つ意味や大切さを理解している私たちだからこそ実現できていると思います。
「次世代EC構想」が実現されることによって当社も成長し、EC業界の市場そのものも拡大していくと思いますし、ひいては消費者にもいいカタチで還元できる未来がくると信じています。
戦略が着実に具現化されるよう、個人としても微力ながら貢献していきたいですね。
「自社にとってのベストな道」を探せる人
――「次世代EC構想」実現のために、どんな仲間といっしょに働きたいと思いますか?
まわりの意見に耳を傾けられる素直な方です。
自分だけではたどり着けなかった答えに、まわりの人の意見を参考にすることでたどり着くことはよくあります。
「より良い方法や答えを出すために、人の意見や考えも聞いてみたい」という謙虚な気持ちが、最善な答えを出すうえで大事なのではないかと思っています。
また、一般論や自身の考えだけで出した結論が会社にとってベストな選択肢ではないことも時にはあると思うので、
この会社にとってのベストはなんだろう? という視点で互いに向き合って議論を重ねていける方と一緒に働きたいです。
事業会社に挑戦してみたい会計士の方も歓迎しています。
当社には登録待ちのメンバーを含めて会計士が3名いるほか、業務委託会計士も複数名います。
不安はあるけど飛び込んでみたい! と思っている会計士の方にとって、同じような立場の人に相談しながら経験を積める、とても挑戦しやすい環境となっています。
スキルは、今いる環境を活かすことで磨かれる
――監査法人時代に得たスキルで、現職でも活かせているものは何かありますか?
具体的なところでは、エクセルスキルとヒアリング力です。
まずエクセルスキルについてですが、どのようにその数字と向き合えば答えに行きつくのかを試行錯誤するときにエクセルは力強い味方になってくれますし、答えにたどり着ける自信にもつながります。
エクセル関数の使用実例に触れられる機会が多くあったため、「次はこういうケースで使ってみよう」「あのケースでも使えるんじゃないかな?」と磨かれていきました。
当時はかなり意識してエクセルを使っていましたし、独学で学んだ部分が大きいです。
実務に追われていると勉強に割ける時間がないですし、学びを意識しながら作業すると時間がかかるので、慣れていないうちはなにも考えずに作業したほうが早かったりするんですよね。
でも短期的には時間がかかったとしても、「将来的に効率化する方法をちゃんと身につけよう!」と思って向き合うことで磨かれるので、環境を活かすことが大事かなと思います。
それからヒアリング力についてですが、スタートアップの場合は「今の状況を改善するために必要な情報ってそもそもなんだろう」からスタートすることが多々あります。そういった状況下で適切に判断するための材料を集める作業は非常に大事です。
欲しい答えにたどり着くためにどんな聞き方をする必要があるのか、どんな質問を投げかけたらいいか、監査法人時代に向き合っていたことが活きている感覚があります。
あなたが後悔しないために、挑戦したい方向性を明確に
――ゆくゆくは外部へ、と描いている若手会計士の方へおすすめしたい考え・行動がありましたら、教えてください!
ネガティブな思考よりもポジティブな気持ちでいるほうがいい結果がついてくると思いますので、物事を好転させる強いマインドは大事だと思います。
あとは、自己分析をすることが重要だなと思いますね。
私は監査法人の次のキャリアとしてスタートアップを選びましたが、ほかにもさまざまな選択肢があると思っています。
自分が選んだ道に後悔しないためには、「やりたいことは何か」「経験を活かしてパフォーマンスを発揮できるか」、一つひとつ熟考したうえで挑戦したい方向性を明確にすることが大切だと感じます。
その結果、私は後悔のない選択ができたと思っていますし、実際に飛びこんだ先が大変な環境でも乗り越えられる原動力になっています。
――「ベンチャーに興味はあるけど迷っている」と相談されたら、阿部さんはなんと答えるでしょうか?
「迷っているなら、もう一呼吸置いて考えてみたら?」と伝えると思います。
これが正しかった! と思うためには、この選択肢で合っていると思い込めるかどうかが大事です。迷いがある状態で転職してしまうと、後々後悔するきっかけになってしまうかもしれません。
じっくり自分と向き合って考えたうえで、それでもベンチャー・スタートアップという選択肢が明確に現れるのであれば、絶対に挑戦したほうがいいよ! と背中を押してあげたいです。
――阿部さん、ありがとうございました!
株式会社SUPER STUDIO https://super-studio.jp/
D2C支援企業としてビッグデータ解析による世の中のニーズの抽出、商品開発、EC基幹システム『ecforce』の提供、広告運用、生活者のもとへ商品を直接届けるところまで、全ての工程をワンストップで提供。
SUPER STUDIO採用特設サイトはコチラ!
※写真はすべてSUPER STUDIOオフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました
◇マガジン『デンタツ』バックナンバー
監査法人時代のご同僚、iCARE小松さん!
本文に阿部さんも少し登場します^^
監査法人時代のご同僚、FLUX三浦さん!
阿部さんのご紹介でインタビューさせていただきました!
◇お問い合わせ
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経理財務のキャリア相談が得意なエージェントが壁打ち相手になります!
公式サイト:https://japanfas.co.jp/
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◇最後に
お読みいただきありがとうございました!
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企画/JAPAN FAS株式会社
写真・文/Yui Osawa