バルセロナB対エスパニョールB、そして君の名はメッシ-エスパニョール選手寮生活日記④
【目指せ?ドラマかぁ】
2004年9月19日、この日は土曜日だった。スペインに来て初めての週末、初めてのサッカー観戦である。
その日は、バルセロナB対エスパニョールBのバルセロナ・ダービーがあった。場所はミニ・エスタディ。カンプ・ノウの真横にあって、主に下部組織のチームが使うサブスタジアムである(その後、ミニエスタディはFCバルセロナの総合練習場シウタッ・エスポルティーバ完成に伴い、使われなくなったと聞く)。
君の名は
このエスパニョールBの中にも、寮で生活する子どもたちが何人かいた。バルセロナ相手に、試合はほぼ互角の展開。しかし、0-0で迎えた後半15分ぐらい。バルセロナBに、やや小柄な少年が交代で入った。
すると、瞬く間にドリブルで数人をぶち抜き1点。また少し時間をおいて、さらにドリブルで2点目を決める。もともと前半、ピッチ横でボールを触っている時から、「この子、足元やらかいなー」と見て感じていた少年だった。
若かりし日のメッシだった。当時17歳。
後で聞くと、怪我明けでちょうどその日が復帰戦だったらしく、ゲーム感を取り戻すために後半から入ったようだった。
後にバルセロナで歴史を築くことになるメッシの電光石火の活躍により、残念ながら、2-0でエスパニョールBは負けた。
世界中から集まったエリ―ト
リーガ・エスパニョーラの中では、ずっと中位をキープしている中堅エスパニョール。だが、下部組織はとても強いチームである。この日の試合は負けたが、ともかく寮にはスペイン中、そして世界中から引き抜かれてきたサッカーエリート達がいるわけだ。
ただ、中学生・高校生が親元・祖国を離れて暮らすのは、なかなかに大変なことである。
下部組織にも、外国人選手の登録が可能だそうで、少し前にも日本人選手がチームにいたそうだ。清水エスパルスユースに在籍していた篠田君と高野君という子どもたちらしい。
私が住んでいた部屋も、彼らが使っていた部屋のようだ。証拠に、ベッドのところに名前の落書きと、袖机に “トゥームレイダー”とカタカナで書かれた映画のシールが貼ってある。
どうやら、部屋に残していった(忘れていった?)サッカー日本代表やらのビデオテープも残っている。
サッカーエリートとはいっても、普段はただの子どもたち。故郷から遠く離れて生活しているこの子たちは、やっぱり常に家族がいない寂しさと戦っているのである。
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