哲学に関するメモ(9) 【論語】
本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。
1. 学而第一 14項目
…学ぶことについて
1-1. 學びて時に之を習う、亦悦ばしからずや
…忍耐強く学び実践しながら人生に生かしなさい
→反復練習こそが知識・技術を身につける方法、実践して喜びを感じれる
1-2. 朋、遠方より来るあり、亦樂しからずや
…共に学んだ友人はかけがえがないもので時間・空間を超えても交流を続けなさい
→同期には今の地位・状況・年齢も関係なく接することができるよさがある
1-3. 人知らずして慍みず、亦君子ならずや
…学ぶのは自分を高め立派な人間になるため、評価されないと恨むのはいけませんよ
→持てるエネルギーはすべて自分の内側に注ぎ自己向上のための経験に使え
1-4. その人と爲りや、孝弟にして上を犯すことを好む者は鮮なし
…社会秩序を支えるのは人であり、問題が生じたらルールを作るよりも心を問うことを先決しなさい
→どういう気持ちから問題を起こしたのかを聞いて心を正すシステムにすることが大事
1-5. 君子は本を務む、本たちて道生ず
…根本に立ち返ると道理が明確になり悪い流れを断ち切り正しい道を進めますよ
→問題が起きた時は責任逃れや隠蔽はせずに本質を見極めて最善を考えて行動する
1-6. 巧言令色、少ないかな仁
…表面だけを取り繕う人は覚悟が足りませんよ
→何事も真心を込めて誠心誠意取り組むこと、嫌がる仕事をやるときに覚悟が見える
1-7. 吾日に吾が身を三省す
…事あるごとに自己反省しなさい、自己反省なくして自己向上はない
→他人が悪い・時代が悪い・社会が悪いというのは違う、妬み・嫉み・傲慢をなくす
1-8. 學べば則ち固ならず
…学べば学ぶほど態度は柔軟になりますよ
→ベテランになると実力・実績・経験をよりどころに自分を押し通そうとする、いくつになっても意見に耳を傾け新しい情報を取り入れながら経験を積み上げるのが大切
1-9. 過ちては則ち改むるに憚ること勿かれ
…間違えたら潔く認めて改めなさい
→負けを繰り返すことで将来の勝ちに近づいていく、成長しようと奮い立つことこそ競争の醍醐味
1-10. 終を慎み遠きを追えば、民の徳厚きに歸す
…将来を見据えないと今のことにいっぱいいっぱいになる、今を将来につなげなさい
→過去があるから今日がある、同時に今日は将来のスタートである
1-11. 禮の用は和を貴しと爲す
…礼儀正しく、争うことなく和やかに人と接しなさい
→みんなが和やかな気持ちになれる人は和を大切にする、堅苦しすぎるのはマイナス
1-12. 事に敏
…何事もすぐにやることをモットーにしなさい
→やることはすぐにやれれば仕事は片付き多くの仕事ができるようになる、後で調べようとするな
1-13. 未だ貧しくして樂しみ、富みて禮を好むものには若かざるなり
…貧しくても心豊かに楽しむ、カネ持ちになっても謙虚に振る舞う、それがいいですよ
→カネを稼ぐことは大事だが、暮らしや楽しみはカネをかけずとも心が豊かになるものを考えよ
1-14. 詩に云う、切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如しとは、其れ斯を之れ謂うか
…素晴らしい生き方とは詩経に切磋琢磨とあるように心を磨くことでですよ
→ライバルがいなくても学問や道徳に励んで人間性を育み自分を美しく磨け
2. 為政第二 14項目
…賢い人と愚かな人について
2-1. 政を爲すに徳を以ってするは、譬えば北辰の其の所に居て、衆星の之に共するが如し
…北極星を中心に星が回るように「長」のつくものが精神的支柱になりなさい
→先陣を切っていくのが西洋流のリーダー、動かずに見守り続けて指針を示すのが東洋流のリーダー
2-2. 思邪無し
…上からの教えには素直に耳を傾けなさい
→選り好みせずにアドバイス通りにやってみる、うまくいかなくてもそれが分かるだけ収穫
2-3. 之を道くに政を以てし、之を齋うるに刑を以ってすれば、民免れて恥ずるなし
…ルールには抜け道がある、かいくぐろうとするものが出てくる、組織はルールより礼で律しなさい
→ルール違反でなくても悪いことは悪いと指導できるように、それがリーダーの役割
2-4. 三十にして立つ
…早く自立しなさい
→孔子は十五歳で学問に目覚め三十歳にして自己を確立できた
2-5. 四十にして惑わず、五十にして天命を知る
…天の計らいと周囲の助けがあって今がある、五十になったら天命を知り他者に感謝しなさい
→何歳であれ自分はこれで生きていくというものが確立されたら天命と捉え周囲に感謝する
2-6. 七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず
…七十年の人生の集大成は自由に生きても迷惑をかけることがない境地に達することですよ
→生涯学び続け向上心を持って生きてきた老人は手を豊富に有している、年齢を振りかざすのは老害
2-7. 子夏考を問う、子曰く、色難し
…形だけの親孝行をしてもしょうがない、晴れやかな表情で孝行しなさい
→いやいや、見返りを期待、恩着せがましいのは×、喜ぶ顔が見たいと接するのがポイント
2-8. 故きを温めて新しきを知れば、以て師爲る可し
…古典は何度も読んで初めて自分の地肉にし、やがて新しい自分を発見しなさい
→本と体験を対話させて深い理解が得られ経験として蓄積される、そうできるまで読み込む
2-9. 君子は周して比せず、小人は比して周せず
…優れたリーダーはみんなと平等でダメなリーダーはえこひいきや派閥を作りますよ
→公平に受け入れ部下が自由に発言できるように、開かれた人間関係は組織に活気をもたらす
2-10. 學びて思わざれば則ち罔し、思いて學ばざれば則ち殆し
…知識があれど考えなければダメ、考えてても知識がなければダメですよ
→学びと思考を回し行動力・実効性の伴う知識と経験が得られる
2-11. 之を知るを之を知ると爲し、知らざるを知らざると爲す
→知ってることと知らないことの境界線をはっきりさせ、知ってると言えるまで本質を極めなさい
…本質が分かっていないと人に一言で説明できない
2-12. 多く見て殆きを闕き、愼みて其の餘を行えば、則ち悔寡し
…色んな人と意見交換や情報交換するのはいいが、不安があれば言わぬが花ですよ
→一つ一つ裏を取ってこれは役にたつと確信できることだけを発言しなさい、発言に重みをつけよ
2-13. 直きを擧げて諸を枉れるに錯けば、則ち民服せん、枉れるを擧げて諸を直きに錯けば、則ち民服せず
…不正が横行している部門にまっすぐな長を置くと自然と不正が正されますよ、逆も然り
→権力を持つものは正しいことを当たり前に行える人物である必要がある、不正する人ではいけない
2-14. 人にして信無くんば、其の可なるを知らざるなり
…人から信用されない人間は言うこととやることが一致しないですよ
→社会や組織と自分をつなぐ要は言行一致にある
3. 八佾第三 7項目
…器の大きな人について
3-1. 八佾庭に舞わしむ、是をば忍ぶ可く、孰れをか忍ぶ可からざらんや
…格下の身でトップにしか許されないことをするな、身の程をわきまえなさい
→地位が少し上がっただけで偉くなったと勘違いするな、偉くなっても自戒せよ
3-2. 人にして不仁ならば禮を如何せん、人にして不仁ならば樂を如何せん
…人間のできていない人が命令しても誰の心にも響きませんよ
→命令で作る文化は上辺で受け継がれてハリボテの教養を身につけた人間を量産するだけ
3-3. 君子は争う所無し
…立派な人間は誰も争いを仕掛けないくらい技量を持っていますよ
→能力・人格ともに抜きん出て優れているのが立派な人、競争に左右されていては半人前
3-4. 君子は争う所無し
…立派な人間は誰も争いを仕掛けないくらい技量を持っていますよ
→能力・人格ともに抜きん出て優れているのが立派な人、競争に左右されていては半人前
3-5. 君に事えて禮を盡せば、人以て諂うと爲す
…年長者に礼を尽くすこととおべっかを使うことは違いますよ、周囲の受け取り方次第
→周囲は妬みから礼をおべっかと曲解する、曲解されたら一旦自省せよ
3-6. 君は臣を使うに禮を以てし、臣は君に事うるに忠を以てす
…上司は部下に礼儀をわきまえて接しなさい、部下は上司に嘘なく接しなさい
→上司と部下の間に感謝が流れているのが理想的な関係
3-7. 上に居て寛ならず、禮を爲す
…上司はミスを一回は目を瞑るくらい寛大でいなさい
→褒める時はみんなの前で少し釘をさしながら、詰めるときは裏で
4. 里仁第四 12項目
…仁徳について
4-1. 仁を里るを美と爲す
…まずは家の生活をしっかりしなさい、家でやっていることが外ででる
→家族だからこそ互いに思いやるチャンスや自分を戒めるチャンスがある
4-2. 唯仁者のみ能く人を好み、よく人を悪む
…立派な人間かどうかより立派な人間になろうとしているかどうかに価値がある
→立派な人間に終わりはない、立派な人間は向上し続けようとするから
4-3. 貧と賤とは、是れ人の悪む所なり、其の道を以てせざれば、之を得とも去らざるなり
…道を外した結果貧しくなったのなら身から出たサビ、ただそこに気付ければ修正はできますよ
→富は自分の後についてくる、現状に振り回されずに自分の言動が人として正しいかを考えよ
4-4. 朝に道を聞かば夕に死すとも可なり
…命ある限り自分の存在意義を追求しなさい、答えが垣間見えたら死んだっていいくらいに思えますよ
→愉快な人生を送ること、健全な社会を作ること、天は姿声がないので姿声がある人間に託す
4-5. 悪衣悪食を恥ずる者は、未だ與にるに足らざるなり
…貧しいことが恥ずかしい人に限ってお金が入ると自分を飾ることに注力しますよ、大事を成せない
→強い志があれば外面を飾ることに気が回らない、飾るとお金もエネルギーも消費する
4-6. 君子の天下に於けるや、適も無く、莫も無し、義と與に比す
…何にも囚われず、いい加減でもない、義を重んじて行動するのがリーダーですよ
→昇進などに関して好き嫌いに惑わされると組織は弱体化する
4-7. 利に放りて行えば、怨み多し
…儲けようとする集団は分け前をめぐって仲間割れする、大事を目的とする集団はうまくいきますよ
→目先の利益である小欲ではなく経営理念である大欲を持つことで組織は発展する
4-8. 位無きことを患えずして、立つ所以を患えよ
…地位が低いのを嘆くな、自分の行いを振り返って改善しながら前へ進みなさい
→自分の力不足なら自分で克服できる
4-9. 夫子の道は忠恕のみ
…自分にも人にも嘘をつかず思いやりを持って人に接しなさい
→わび茶に似ている、熱いお茶は熱いように、冷めるお茶は冷めるように出すこと
4-10. 三年父の道を改むること無きは、孝と謂う可し
…仕事を引き継いだら三年は前任者のやり方を通しなさい
→三年とは言わないが前任者のやり方で徹底してから自分流に変えていく必要がある、文化や信頼
4-11. 約を以て之を失う者は鮮し
…上がったら下がるしかない、下がったら上がるしかないが、行き過ぎないよう注意しなさい
→良いことも悪いことも含めてバランスが取れているのが完璧、常に客観的に見てバランスを取る
4-12. 徳孤ならず、必ず鄰有り
…徳のある人の周りにはいつも人の花が咲いていますよ、分け隔てなく接しなさい
→孤独を楽しむのはいいが、孤独に生きていくことはできない、感謝の人間関係を築け
5. 公冶長第五 7項目
…道理に適っている考えについて
5-1. 縲絏の中に有りと雖も、其の罪に非るなりと、其の子を以て之に妻わす
…前科があるとか評判が悪いとかで人を判断するな、会って良い人なら嫁をくれてもよい
→マスコミやネットの噂に左右されずに自分で触れて判断するべき問題である
5-2. 邦、道有れば廃せられず、邦、道無きも刑戮より免るる
…道理の通らない社会なら表舞台から引いても良いですよ、道理の通る社会だからこそ活躍できる
→乱れた社会なら社会のために働く必要はない
5-3. 魯に君子者無くんば、斯れ焉んぞ斯を取らん
…身近にお手本となる人がいると下の者も立派になる
→直接の上司じゃ無くとも同じ会社じゃ無くともお手本となる人を見つければ良い、自分次第
5-4. 焉んぞ侫を用いん、人に禦るに口給を以てすれば、屢々人に憎まる
…口は災いの元と言うように必ずしも口の立つ者を選ぶ必要はない、人格で選びなさい
→スピーチの練習をする前にまずは人格を磨け、スピーチをしても重みがなければ意味がない
5-5. 朽木は雕る可からず、糞土の牆は杇る可からず
…怠惰になるな、腐った木には彫刻ができない、ボロボロの土塀は直せない
→やる気がなければどんな良い環境があろうと長い時間を費やそうと意味がない
5-6. 棖や慾あり、焉んぞ剛なるを得ん
…金銭欲や出世欲があると自分の考えを通すことが難しくなる、信頼できるのは欲のない人間ですよ
→一度欲に転ぶとその人のいいなり、なびかない人ほど始末に困るので強い
5-7. 老者は之を安んじ、朋友は之を信じ、少者は之を懐けん
…お年寄りが安心して暮らせて、友人同士が信頼し合えて、若い人が大事にされている世の中にしたい
→このような社会を目指せば身近なところに自分のなすべきことがみえてくる
6. 雍也第六 10項目
…楽しむことについて
6-1. 顔回なる者有り、學を好む、怒りを遷さず、過ちを再びせず
…顔回はよく学んだせいか、感情の波がなく過ちを繰り返すことがなかったですよ
→学ぼうとすれば失敗を自己向上のチャンスと捉えて感情的にならないし他人のせいにもしない
6-2. 犂牛の子も騂くして且つ角ならば、用うること勿からんと欲すと雖も、山川其れ諸を舎てんや
…農耕用の牛の子でも赤毛でツノが立派であれば祭り用として用いられますよ
→生まれや育ちがどうであれ、世の中は才能・圧倒的な実力を見出す、誰かが見ている
6-3. 一簞の食、一瓢のの飲、陋巷に在り、人は其の憂に堪えず、回や其の樂を改めず
…顔回は普通の人が耐えれない貧乏な生活をしているのに楽しんでいてすごいですよ
→一生に一度は貧乏暮らしを経験したほうがいい、贅沢の味わいが増す
6-4. 力足らざる者は中道にいて廃す、今女は畫れり
…能力がないと言う人は自分で限界を決めて全力を出してないだけの可能性もありますよ
→今挑戦しないとしても何がわからないのか何が足りないのかを明確にせよ
6-5. 其の馬に策って曰く、敢て後るるに非なるなり、馬進まざればなり
…敗走時にしんがりを務めるのは難しいがうまくいった時は馬が遅れたからと賞賛をかわしなさい
→うまくいったとしてもたまたまですと言えるくらい謙虚になりなさい
6-6. 人の生くるや直し、之れ罔くして生くるや、幸にして免るるなり
…素直でないのにうまく生きてこれたとしたら運が良かっただけだ
→人の言うことを聞けないと知識は増えないし能力も向上しない
6-7. 之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を樂む者に如かず
…知識を得ると好きになり好きになると楽しくなる、学ぶ時はこの境地に達することを目指しなさい
→好きこそものの上手なれ、楽しんでいる人には勝てない
6-8. 仁者は難きを先にして獲ることを後にす
…難しいことに挑戦し其のプロセスを重視し結果を二の次と考えなさい
→イチローさんも数字をあげることに興味はなく完璧なプレーをするために練習する
6-9. 知者は水を樂み、仁者は山を樂む
…賢く行動的な知者は流行を好む、落ち着いた人格者である仁者は普遍の真理を好みますよ
→人間には両方の要素があるので流行にも普遍にもアプローチすると人間の幅が広がる
6-10. 夫れ仁者は己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す
…こうありたいと思ったら周囲の人にそれを伝えて先に他者の達成をサポートしなさい
→自分が頑張ることしか考えないのはナンセンス、誰も置いてけぼりにしない
7. 述而第七 10項目
…明るい未来が待っている人について
7-1. 述べて作らず
…歴史と古典で学べ
→大きな流れから見ると歴史の転換期を学ぶ事が今の問題を解く鍵になる、偉人の経験や行動をなぞれ
7-2. 子の燕居するや、申申如たり、夭夭如たり
…厳しくて怖いところがあるがくつろいでいる時に伸び伸びしているところに器が現れますよ
→行動的だが思慮深い、有能にして謙虚、穏やかにして毅然というような二面性が大事
7-3. 道に志し、徳に據り、仁に依り、芸に游ぶ
…専門的に研究し、他人を気遣い、思いやりを持ち、教養を磨く、こんな人間になりなさい
→さんずいの游ぶがポイント、絵画、書道、お茶などの趣味的教養を自由に磨くことも大事
7-4. 憤されば啓せず
…教えを受ける者も姿勢が求められる、モチベーションが大事ですよ
→同年代のすごい人に会うことでもっと頑張らないとと思える
7-5. 必ずや事に臨みて懼れ、謀を好して成さん者なり
…何事も準備万端で臨みなさい
→悲観的に準備し楽観的に行動することが大事、準備不足では不安でうまくいくものもうまくいかない
7-6. 不義にして富み且つ貴きは、我に於て浮雲の如し
…不当なことをしてお金をもっても寄る方のない暮らしになる、貧乏でも義を貫いて生きなさい
→毎日勉強を積み重ねる気でいれば不当に儲けたい、出世したいとは思わなくなる
7-7. 憤を發して、食を忘れ、樂みて以て憂いを忘れ、老の將に至らんとするを知らずと云爾
…知的好奇心を満たす楽しさで食も悩みも年老いる事すら忘れる、それが私ですよ
→歳を重ねると知的好奇心よりも老後の不安が大きくなる、これでは愉快に人生が送れない
7-8. 子・怪・力・亂・神を語らず
…超常現象については語らず確かなことを信じなさい
→悪いことではないがどっぷりハマると生き方を見失うのでほどほどにしなさい
7-9. 三人行けば、必ず我が師有り、其の善なる者を撰びて之に従い、其の不善なる者にして之を好む
…三人でいれば二人は自分の師となる人ですよ、良い人は見習いなさい
→友達を選ぶ必要はない、良いことも悪いことも学べる、悪いことも自分自身に照らすことができる
7-10. 君子は坦として蕩蕩たり、小人は長苗に戚戚たり
…自分を良く見せようとするな、大したことのない人ほど自分を良く見せようとセコセコしてますよ
→リーダーはやるべきことを考えるのが第一、周囲によく見られたいと考える必要はない
8. 泰伯第八 6項目
…自己を向上させることについて
8-1. 泰伯は其れ至徳と謂う可きのみ、三たび天下を以て譲り、民得て稱する無し
…善行は誰にも気づかれないからこそ尊い、アピールするのは善行でもなんでもないですよ
→危ないこと、リスクに気づいたら人知れず先回りして手当をしておくのが善行
8-2. 君子の道に貴ぶ所の者三あり、容貌を動かして斯に暴慢に遠ざかり、
顔色を正しくして斯に信に近づき、辭気を出して斯に鄙倍に遠ざかる
…乱暴な振る舞いをしない、気分のムラがない、汚い言葉遣いをしない、これがリーダーの心得ですよ
→品格が悪意のある人を遠ざける、実績だけ重視しても信頼は得られない
8-3. 六尺の孤を託す可く
…子供を託されるくらい立派な人を目指しなさい
→暮らしぶりも派手ではなく不器用だけれど正直に生きる人、真摯に答え言葉に重みがある
8-4. 士は以て弘毅なるざる可からず、任重くして道遠し、仁以て己が任と爲す、亦重からずや、死して後に已む
…人生での任務は重く達成するまでの道は遠いので死ぬまで休むは暇はないですよ
→体を休めても頭は休めるな、達成について考え続けろ
8-5. 民は之に由らしむ可し、之を知らしむ可からず
…多くの人に物事を理解させることは難しい、リーダーには理由などの説明責任がある
→有無を言わさず仕事をさせるのは上司の怠慢でしかない、納得してやらせる
8-6. 學は及ばざるが如くするも、猶お之を失わん事を恐る
…学ぶほど学び足りない物が見えてくる、探求を続けながら一度学んだことは忘れないようにしなさい
→探求心は学ぶことから生まれ育つもの、興味惹かれるものと出会ったらとにかく学んでみなさい
9. 子罕第九 9項目
9-1. 子四を絶つ、意なく、必なく、固なく、我なし
…自己向上のために執着はするな
→自分勝手だと思いやりがなくなる、決めた通りにやろうとこだわると他者にムリを強いる、1つのやることに執着すると柔軟に対応できない、我が強いと他者を受け入れない
9-2. 吾少くして賤し、故に鄙事に多能なり
…いろんな仕事や苦労をしたおかげで色々精通できた、無駄な苦労など一つもない
→若いころの苦労は貴重な能力を開花させる、ムダなものもあると思うがムダと気付けることが大事
9-3. 子、川の上に在りて曰く、逝く者は斯の如きか、晝夜を舎めず
…思い浮かぶ顔の彼らはもういない、時は川の流れのように過ぎていく
→日本人と同じように無常観を持っていた、人生は長いようで短いので時間を大切に
9-4. 吾未だ徳を好むこと色を好むが如くなる者を見ざるなり
…恋にかけるくらいの情熱を徳を磨くことにもかけなさい
→どちらかに注力しろということではない、恋をする事で自然と人間にも磨きがかかる
9-5. 譬えば山を爲るが如し、未だ一簣を成さざるも、止むは吾が止むなり
…あと一息で達成できるときにあと一息が頑張れなければ台無しですよ、やめたのは自分ですよ
→もう終わりにしようかなと思った瞬間にいやあとひと頑張りと自分を叱咤激励せよ
9-6. 後生畏る可し、焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや、四十五十にして聞ゆること無くんば、斯れ亦畏るるに足らざるのみ
…若者から学ぶこともたくさんある、四十五十になって評判が立たない人は恐るるに足らない
→未熟だが年長者にない能力や発想をもった人がいることを認めるのが年長者の余裕
9-7. 歳寒くして、然る後に松柏の凋むに後るるを知る
…冬に松や柏の葉の青さが目立つ、上手く行ってない時にこそ人間の真価が問われる
→どんな境遇に陥っても諦めずに努力を続けていればライバルがいなくなり自分が勝つこともある
9-8. 知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず
…知恵があるものは悩まない、他人の喜びを自分の喜びをする者は憂えることがない、勇気のある者は何事にも立ち向かう
→全ての人間の根源なのでいつでも確認できる、自分のなすべきことは何か
9-9. 未だ之を思わざるなり、夫れ何ぞ遠きことか之れ有らんや
…条件が整っていなくてもやりたいと思い続けることは大事ですよ
→本当にやりたいことなら条件なんて吹き飛ぶ
10. 郷党第十 4項目
…人を表す振る舞いについて
10-1. 大廟に入りて、事ごとに問う
…新人は一から十まで先輩に教えてもらうことを心がけなさい
→新人が自分のやり方を通すのはおこがましい、やってもいいか確認をとれ
10-2. 寝ぬるに尸せず、居るに容つくらず
…家でも身支度だけは整えてくつろぎなさい
→不意に来客があってもいいように、起きていても寝ていてもだらしない姿を晒すな
10-3. 車中にては内顧せず、疾言せず、親しく指さず
…キョロキョロするな、早口で喋るな、指をさすな
→座り方、喋り方、持ち方、笑い方、歩き方などに人間性が出る
10-4. 色見て斯に擧がり、翔りて然る後に集まる、曰く、山梁の雌雉、時なるかな時なるかなと
…タイミングをつかみなさい、雌の雉は飛び回って様子を窺い安全だと降りてくる
→ボーッとしていてはチャンスを掴めない、観察せよ
11. 先進第十一 8項目
…慎重であること、丁寧であることについて
11-1. 南容白圭を三復す、孔子其の兄の子を以て之に妻わす
…一度口にした言葉は取り返しがつきませんよ
→言葉を慎重に選んで信用を落とさないように、発言の前には一呼吸おこう
11-2. 噫、天予を喪ぼせり、天予を喪ぼせり
…弟子が先に死んでしまうとは、天は私を殺そうと言うのか
→部下がいなくなった時にこう言えるくらい信用できる部下を持ち面倒を見てやろうと心掛ける
11-3. 敢て死を問う、曰く、未だ生を知らず、焉んぞ死を知らんと
…生を理解していないのに死がどういうものかは分からないですよ
→今を大切にして目の前のことに一生懸命になりなさい
11-4. 夫の人言わず、言えば必ず中る有り
…普段は静かで口を開くと本質を突くような人になりなさい
→どうでもいいことをペラペラ喋る暇があるなら黙って本質が何かを考えよ
11-5. 過ぎたるは猶お及ばざるが如し
…やり過ぎもやらな過ぎも良くないがやり過ぎるよりやらな過ぎるほうが規範を守っていてマシですよ
→人が思い思いで行動すると組織や社会はバラバラになる、規範を認識して正しく生きよ
11-6. 論の篤きに是れ與せば、君子者か、色荘者か
…人の話を鵜呑みにするな、心から言っているのかカッコつけているのかは判断が難しい
→まずはその人がどんな人かを見極めろ、休みの日やアポ無しなどの時に素顔が出る
11-7. 子在す、囘何ぞ敢えて死せん
…先生を残して自分が先に命を捨てるなどいけませんよ
→上司と部下は運命共同体、ともに命懸けで事に臨む
11-8. 是の故に夫の佞者を悪む
…口達者な人間には敵わないですよ
→口達者な人間は言動が一致しないために組織を混乱させる、口下手でもいい信頼を得ろ
12. 顔淵第十二 14項目
…良い行いの輪を広げることについて
12-1. 己に克ちて禮を復むを仁と爲す
…私利私欲を抑制し禮を尽くすのが仁ですよ
→自分の欲に負けない、誰に対しても敬意を持って接する、態度を変えない
12-2. 一日己に克ちて禮を復めば、天下仁に歸す
…一人一人が克己復礼を実践すれば良い社会が形成される、まずは自分が実践者になりなさい
→自分が変われば周囲も変わる、自分一人の力などたかが知れているという考えはなくそう
12-3. 非禮視ること勿れ、非禮聞くこと勿れ、非禮言うこと勿れ、非禮動くこと勿れ
…礼儀に反することは見ても聞いても言っても行ってもいけない
→下の者は上の者を真似するので悪い作用を及ぼさないよう注意する
12-4. 己の欲せざる所は、人に施すこと勿れ
…相手の望まないことをしていないか自分に問いなさい
→自分の価値観を押し付けない、相手がどう思うかが大事
12-5. 内に省みて疚しからされば夫れ何をか憂え何をか懼れん
…自分にやましい心がなければ何も心配することはないし恐れることもないですよ
→地位が上がると特に悪魔の囁きが多くなるが一度入ったら抜け出せなくなる
12-6. 君子何ぞ兄弟無きを患えん
…兄弟がいなくても嘆かずに兄弟同然の人を作りなさい
→血は水よりも濃いと言われるがそれが人間関係の全てではない
12-7. 浸潤の譏、膚受の愬、行わざるは、遠しと謂う可きのみ
…いざという時に慌てないように先に手を打ちなさい
→理不尽なことがいつ降りかかるか分からない、恨みを買わないように誰に対しても丁寧に接する
12-8. 民信無くんば立たず
…上に立つ者が下の者から信用されて組織は機能するものですよ
→信頼は何が何でも手放してはいけない
12-9. 君は君たり、臣は臣たり、父は父たり、子は子たり
…それぞれがそれぞれらしく自分の役割を心得て行動するのが良い社会ですよ
→らしさとは役割を心得て行動していることから生まれる、らしさを問うことも大切
12-10. 君子は人の美を成して、人の悪を成さず
…良いところは褒めて伸ばしなさい、悪いところは忠告して直しなさい
→悪いところが直って身を正せば不問に付しても良いのでは、過去を掘る必要はない
12-11. 君子の徳は風なり、小人の徳は草なり、草之に風を加うれば必ず偃す
…部下が働きやすくすれば自然と部下は自分を受け入れるようになる
→上司風・先輩風ではなく君子風を吹かす、快適に過ごせるような環境づくりが大切
12-12. 一朝の怒に、其の身を忘れ、以て其の親に及ぼすは、惑に非ずや
…いっときの怒りで行動すると後悔する事になりますよ
→感情をコントロールしよう、どのくらいの時間継続するのか、何で軽減されるのか、ルーティーン
12-13. 忠告して之を善道し、不可なれば則ち止む、自ら辱めらるること無かれ
…よくない所は柔らかく指摘しなさい、直らなければ見守りなさい
→指摘すべき時と見守るべき時をきちんと判断しよう
12-14. 君子は文を以て友を會し、友を以て仁を輔く
…友人と趣味を共に楽しみ教養を高め合いなさい
→同じ世界を探訪し意見や感想を述べ合いながら過ごすことで友人のありがたさをより実感できる
13. 子路第十三 11項目
…人を動かす極意について
13-1. 之に先んじ之を労う
…リーダーは率先して動き一仕事終えたら部下を労ってやりなさい
→率先して動く事で部下は背中を見て頑張ってくれる
13-2. 爾が知れる所を擧げよ、爾が知らざる所は人其れ諸を舎てんや
…自分が優秀だと思った人を抜擢しなさい、そうすれば優秀な人を引き上げたと評判が立ちますよ
→埋もれた才能を発見して投資しろ、お金はモノではなく人に使え
13-3. 必ずや名を正さんか
…自分のやるべき仕事は責任をもってやり遂げなさい
→役職に就いたらまずは職責を確認し覚悟を決める事が大切
13-4. 其の身を正しくする能わずんば、人を正しくするを如何せん
…自分の身を正しくできなければ人を正すことなんてできませんよ
→下を見れば上が自ずと分かる、部下が若いうち子供が幼いうちに人としての正しい振る舞いを教えよ
13-5. 速やかならんことを欲する無く、小利を見ること無かれ
…成果を急がず目先の利益に振り回されるな
→ミスや伏兵に足をすくわれるな、損して得取れ、目的や志を見失うな
13-6. 己を行うに恥有り、四方に使して、君命を辱めざるを、士と謂う可し
…未熟な自分を恥じる習慣をつけなさい
→恥ずかしい言動をメモして戒めることで誰の前に出ても恥ずかしくない人間になれる
13-7. 君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
…多数派に流されるな
→自分の考えを持ちすり合わせながら問題を解決できる人がたくさんいる組織は強い
13-8. 君子は事え易くして悦ばしめ難し、之を悦ばしむるに道を以てせざれば、悦ばざるなり、
其の人を使うに及びては、之を器にす
…良い上司の元では働きやすいが喜んでもらうのは難しいですよ、成果だけでなく手段も見られるので
→適材適所で能力を発揮させるだけでなく、正当性まで問う、簡単に喜ばない上司が大切
13-9. 君子は泰にして驕ならず、小人は驕にして泰ならず
…威張り散らして小さいことを気にしながらゆとりなく立ち回るな
→小物は自分ですごい人物だとアピールしないと認めてもらえない
13-10. 切切偲偲怡怡如足を、士と謂う可し、朋友には切切偲偲たり、兄弟には怡怡たり
…友人には心をこめて付き合い、兄弟とは家庭の中でともに人間性を高める経験をしなさい
→挨拶や近所の人との付き合いから、人間関係は幼年期に学ぶといっても過言ではない
13-11. 教えざる民を以いて戦うは、是れ之を棄つと謂う
…教育も訓練も受けさせないで子供を社会に送り出すな、自己鍛錬の心構えを持たせなさい
→まずは自分で考える姿勢を作ってそれから知識や技術を教えることが大切
14. 憲問第十四 11項目
…道を踏み外さないことについて
14-1. 邦道無くして穀するは恥なり
…筋の通らない組織から報酬をもらうことは恥だと思いなさい
→職業倫理を守ってこその売上、コンプライアンスは守ろう
14-2. 士にして居を思うは以て士と爲すに足らず
…権力は公に尽くすために使いなさい
→地位が高い人は公に尽くすので私が入る余地がないのでは
14-3. 貧にして怨むこと無きは難く、富みて驕ること無きは易し
…裕福になっても驕らないということは貧しくても運命や社会を怨まないことに比べれば簡単ですよ
→一度の失敗で再起不能になる社会は成功も生まれず怨む人が増えるだけ
14-4. 君子は上達す、小人は下達す
…心の整理をしなさい
→踏ん張りどきや人生の勝負のしどきを見極める事ができる
14-5. 古の學者は己の爲にし、今の學者は人の爲にす
…学問は自分のブランドを上げるためではなく世のために尽くすためにあるのですよ
→自分を飾るために勉強をしても知識や能力に磨きをかけることはできない
14-6. 其の位に在らざれば、其の政を謀らず
…その地位でなければ口出しはするな
→内実も分からない者が知ったかぶりをしていたずらに口を出すのは秩序を乱すだけ
14-7. 君子は其の言の其の行に過ぐることを恥ず
…自分のやったことを実際より大きな成果のように言うな
→自分から言っても価値が半減するだけ、自分を過大評価するな
14-8. 君子は其の言の其の行に過ぐることを恥ず
…自分のやったことを実際より大きな成果のように言うな
→自分から言っても価値が半減するだけ、自分を過大評価するな
14-9. 驥は其の力を稱せず、其の徳を稱するなり
…名馬は速く走るから名馬なのではない、風格があるから名馬と言われるのですよ
→まずは人格を磨け、尊敬される人は能力レベルを突き破って風格の領域に達している
14-10. 直を以て怨に報い、徳を以て徳に報いん
…何事も感情に流されず見たこと聞いたことをそのまま事実として受け入れなさい
→怨みは公平感のなさから生まれる、公平無私でいれば事実を受け取るだけ
14-11. 己を修めて以て人を安んず
…人格を高める目的は周囲の人を安心させることですよ
→自分を律せれなければ競争社会を勝ち抜くこともできない、競争に振り回されない確かな自分を作れ
15. 衛霊公第十五 13項目
…責任について
15-1. 言忠信、行篤敬ならば、蠻貊の邦と雖も行われん
…言動に気をつければどんな未開の地でも道徳的組織を作れますよ
→文明国であろうとそうでなかろうと人格が大事、文化の相違はきちんと把握する
15-2. 知者は人を失わず、亦言を失わず
…相手によって話を変えなさい
→立派な人からの信頼を失うことも話が通じない相手に失言することもない
15-3. 人遠慮無ければ、必ず近憂有り
…将来を見通さなければ近いうちに問題が発生しますよ
→将来を見ることと今を見ることのどちらも大事、局面で使い分けろ
15-4. 躬自ら厚くして、薄く人を責むれば、則ち怨に遠ざかる
…自分に厳しくし他人はあまり責めないようにしなさい
→何があっても責めるべきは自分と決めた瞬間に人に対して寛大になれる
15-5. 之を如何せん之を如何せんと曰わざる者は、吾之を如何せんともすること末きのみ
…どうすればいいのだろうと一生懸命考えている人でなければ問題解決はできないですよ
→できない理由ではなくどうすればできるかを常に考える
15-6. 君子は矜にして争わず、羣して黨せず
…相対評価に基づいたプライドを気にして争っているようでは人間が小さいですよ
→群れてお山の大将になるのは自信のなさの裏返し、誇りがあれば我が道を進むだけで良い
15-7. 君子は言を以て人を擧げず、人を以て言を廃せず
…発言より人柄を重視しなさい、でも人柄に難があってもいい発言をしたら認めてあげなさい
→言葉・見た目・態度に惑わされずに人柄や発言を判断する目を身につけよう
15-8. 小、忍ばざれば、則ち大謀を亂る
…大望を遂げるためには些細な事に反応しないで忍耐強く受け止めなさい
→些細なことを疎かにしないが大局観をもち致命的でないと判断出来れば多少は大雑把でも良い
15-9. 衆之を悪むも必ず察す、衆之を好むも必ず察す
…世の中の流れや多数派の意見に流されずに自分で良し悪しを判断しなさい
→自分で見て聞いて頭で考えた上で行動する、察する事が大切
15-10. 君子は道を憂えて貧しきを憂えず
…心の有りようを追求しなさい、貧しさを心配すればするほど心まで貧しくなってしまいますよ
→ハングリー精神や夢に向かって頑張る気持ちは貧しさからしか生まれない
15-11. 君に事えては、其の事を敬し、其の食を後にす
…上司の下で一生懸命に働きなさい、報酬は二の次ですよ
→基準とするべきは自分がやりたいかどうか
15-12. 教有りて類無し
…人間の差は学んだか学ばないかで決まりますよ、学ぶ機会は皆にあるべきですよ
→勉強だけを言っているわけではないが勉強は大切
15-13. 道同じからざれば、相爲に謀らず
…志を同じくする者とだけ腹を割って話をしなさい
→理念を大事にしよう
16. 季氏第十六 7項目
…戒めるべきことについて
16-1. 益者三友、損者三友あり、直を友とし、諒を友とし、多聞を友とするは益なり
…有益な友達、損害な友達はそれぞれ三種類ある
→前者は実直で義理堅くものをよく知っている、後者は体裁を気にして裏表があって口が達者
16-2. 君子に侍するに、三愆有り、言未だこれに及ばずして言う、之を躁と謂う、言之に及びて言わざる、之を隠と謂う、未だ顔色を見ずして言う、之を瞽と謂う
…三愆、上司にしてはいけないこと
❶躁
…でしゃばって発言すること
❷隠
…言いたいことを言わずに隠すこと
❸瞽
…表情や態度から気持ちを察して話さないこと
16-3. 君子に三戒有り、少き時は血気未だ定まらず、之を戒むる色に在り、
其の壮なるに及びてや、血気方に剛なり、之を戒むる闘に在り、
其の老ゆるに及びてや、血気既に衰ろう、之を戒むる得に在り
…三戒、青年期、壮年期、老年期で注意しなくてはいけないこと
❶色
…青年期は性欲が先に立つと身を滅ぼすのでセーブすること
❷闘
…壮年期はあまりケンカをしないこと、取り返しがつかなくなる
❸得
…衰えを恐れて強欲になってはいけないこと、物欲を鎮めよ
16-4. 君子に三畏有り、天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る
…三畏、蔑ろにしてはいけないこと
❶天命
…自分の果たす社会での役割、天命なんてどうでもいいよではダメ
❷大人
…立派な人、立派な人だって同じ人間だから畏まらなくていいではダメ
❸聖人の言
…立派な人の言葉、いい話を聞いたって説教くさくて退屈だではダメ
16-5. 困見て學ばざるは、民斯を下と爲す
…問題意識が低く一向に学ぼうとしない人間は最低だ
→学びに時を選んではいけない、必要となればすぐに学べ
16-6. 君子に九思有り
…九思、リーダーとしての心がけ
❶人物や物事を見る時は偏見や思いこみをなくす
❷人の話を聞く時は一心に耳を傾ける
❸不愉快な事があっても穏やかな笑顔でいる
❹人に対しては常に謙虚に敬意をもって接する
❺意見を求められた時は公正に判断する
❻仕事をする時は慎重に事を進める
❼わからない事がある時は知ったかぶりをせずに人に聞く
❽怒りの感情のままに行動しない
❾理由なく差し出された金品は受け取らない
16-7. 善を見ては及ばざるが如くし、不善を見ては湯を探るが如くす
…善行に触れたら自分を反省し不善に触れたら自分は手を染めないと決意しなさい
→不善すらも手本として自分の欲望を戒める
17. 陽貨第十七 9項目
…いい習慣について
17-1. 性愛近し、習相遠し
…生まれてからの学びにや習慣によって立派かそうでないかに分かれるのですよ
→もっとお金があればとか能力があればとかは自分が習慣を持たなかったことの言い訳でしかない
17-2. 能く五つの者を天下に行うを仁と爲す、恭・寛・信・敏・恵なり
…五行、行動規範にすべきこと
❶恭
…恭順で慎み深くあれば人から侮られることはない
❷寛
…寛容で心が広ければ人の心を得られる
❸信
…言行が一致していれば信用され仕事を任される
❹敏
…俊敏であれば仕事の仕事のスピードが上がり成果を上げる事ができる
❺恵
…人に恵みをもたらすことを喜びとすれば感謝され人をうまく使う事ができる
17-3. 勇を好めども學を好まざれば、其の蔽や亂なり
…六項、美徳も過ぎれば悪ですよ
❶仁
…思いやりがあっても相手が望まない事をやると愚劣である
❷知
…学んでも実践できなければ机上の空論になる
❸信
…度を越して信頼したり信頼する人を間違えたりすると互いが裏切られたような気持ちになる
❹直
…実直なばかりでは無闇に他者を攻撃することになる
❺勇
…勇敢でも義を踏まえてなければ社会を乱すだけである
❻剛
…決めたことを頑なに守ってもそれが間違いであれば独りよがりで迷惑である
17-4. 郷原は徳の賊なり
…評判がいいからと言って簡単に信用してはならない
→自分の利益だけを考える偽善者に騙されるな
17-5. 道に聴きて塗に説くは、徳を之れ棄つるなり
…誰かの受け売りで発言するのは良くないですよ
→学びと実践の繰り返しで得た知識を話そう、受け売りであればそれをきちんと伝えよう
17-6. 子生まれて三年、然る後に父母の懐を免る、夫れ三年の喪は、天下の通喪なり
…子供は生まれて三年は両親に抱かれて過ごすので両親が亡くなって三年は喪に服すのが礼儀ですよ
→親は自分たちのためにほぼ自由のない暮らしで苦労をかけたので気持ちだけでも喪に服そう
17-7. 飽食終日、心を用うる所無きは、難いかな
…美味しいものを腹いっぱい食べて一日中ゴロゴロしていては立派な人間になれませんよ
→食にばかり集中すると生きる上でもっと重要なことが疎かになる、ある程度でブレーキをかけよう
17-8. 君子は義以て上と爲す、君子勇有りて義無ければ、亂を爲す、小人勇有りて義無ければ、盗を爲す
…義を持ちなさい、立派な人物が義を持たなければ世の中を乱し、小人が義を持たなければ盗みをはたらくだろう
→やる勇気とやらない勇気を持て、筋道が通ってなければ勇気があっても社会のためにならない
17-9. 唯女子と小人とは、養い難しと爲す
…感情的で教養がない未熟な人とは一定の距離を置いて付き合いなさい
→近すぎるとワガママになる、遠すぎると恨みを買う
18. 微子第十八 2項目
…組織の進むべきではない道について
18-1. 齊人女樂を歸る、季桓子之を受けて、三日朝せず、孔子行る
…トップがどうしようもなければ見捨てなさい
→ゆくゆくは組織が崩壊しみんなが路頭に迷うだけである
18-2. 備わらんことを一人に求むること無かれ
…一人の人間に完璧を求めてはいけない、欠点を前提に人を使いなさい
→初期から仲間になってくれる人は大事な時に力になる事が多い、簡単に切らないで長い目で見よう
19. 子張第十九 9項目
…改めるべきこと、改めざるべきことについて
19-1. 得るを見ては義を思い
…利益を得るときは正当なものか判断しなさい
→地位が上がると貰い慣れしてしまう、リスクに対する感覚が鈍くなる
19-2. 君子は賢を尊びて衆を容れ、善を嘉して不能を憐れむ
…能力主義が過ぎて排他的になるな
→置いてけばりを作るのは立派な人がやることではない
19-3. 日に其の亡き所を知り、月に其の能くする所を忘るること無きは、學を好むと謂う可きのみ
…どんな些細なことでもメモを取りなさい
→何を知ったかが見えるし言語化することで自分の思考に組み込む事もできる、読み返して忘れない
19-4. 博く學びて篤く志し、切に問いて近く思う、仁其の中に在り
…四考、学ぶことのポイント
❶博学
…自分の専門分野や興味のある分野だけでなく広く学ぶ
❷篤志
…何のために学ぶのかテーマを明確にする
❸切問
…問題意識を持ってなぜだと追求する、質問がなければ学びが足りない証拠
❹近思
…自分に引き寄せて学び実践する
19-5. 百工は肆に居て以て其の事を成し、君子は學びて以て其の道を致す
…工場で生産して販売するように学びを通して世の中に貢献しなさい
→人格者にとって技術は学びである、その知的生産技術で世の中の問題を解決しよう
19-6. 小人の過や必ずかざる
…小人はミスをすると決まって言い訳をするから実力がつかないのですよ
→どう言い訳するかばかりに頭を使うな、ミスを繰り返さないための策にも頭を使え
19-7. 君子に三變有り、望めば厳然たり、之に着くや温なり、其の言を聴くや厲なり
…大物かどうかを判断するポイントは3つある
❶遠くから見て威厳がある
❷近くで接すると温和である
❸話してみると厳しい
19-8. 信ぜられて然る後に諌む
…意見を言うのは信頼関係ができてからにしなさい
→地位が上がるとイェスマンが多くなる、意見する人は重要だが信頼があって初めて聞いてもらえる
19-9. 君子の過や、日月の食の如し
…日食や月食のように立派な人間は欠点を隠さない
→ミスが屈辱となるか尊敬を呼ぶかはミスをミスと認めるか否かにかかっている
20. 堯曰第二十 3項目
…論語の精神について
20-1. 君子は恵にして費さず、労して怨まず、欲して貪らず、泰にして驕らず、威ありて猛からず
…五任、リーダーが取り組むべき任務
❶恵み深いこと、ばらまきになってはいけない
❷仕事を与えること、適正に合わない仕事は与えない
❸成果を求めること、重労働を強いてはいけない
❹ゆったり構えていること、謙虚に礼儀正しくいなければならない
❺威厳があること、威圧的になってはいけない
20-2. 教えずして殺す之を虐と謂う、戒めずして成るを視る之を暴と謂う、令を慢にして期を致す
之を賊と謂う、ひとしく之れ人に與うるなり出納の吝なる之を有司と謂う
…四注、リーダーがやってはいけないこと
❶虐
…何も教育をしないでミスをしたらクビを切ること
❷暴
…あらかじめ注意をしないで上手くいくかをチェックする
❸賊
…締め切りを伝えないで期日を守れと叱ること
❹有司
…情報や知識を出し惜しみすること
20-3. 子曰く、命を知らざれば以て君子爲ること無きなり、禮を知らざれば以て立つこと無きなり、
言を知らざれば以て人を知ること無きなり
…知命、知礼、知言を意識して生きなさい
❶知命
…天命を知ること、知って初めて良い人生を生きる事ができる
❷知礼
…礼儀を知ること、社会生活には礼儀が必要である
❸知言
…言葉を知ること、相手がどんな気持ちから何を言いたいのかを理解すると意思疎通ができる
おわりに
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