時薬〜ときぐすり〜
時間が解決してくれることもあるよ。
だが本当に時間はすべてを解決してくれ、心は癒されるのだろうか?
私の経験からすると、時間は何も解決してくれなかった。解決したように見えたのは自ら記憶を封印していたから。辛すぎて、怖すぎて直視することができない間に、世の中の時間だけがどんどん進んでいた。
「そんな昔のこと、もう忘れなさい」
私はそう言われるのが何より辛い。私の時計はそこで止まっていて、1秒も進んでいないというのに。
「時ぐすり」という言葉がある。文字通り時間が薬となって解決してくれるという意味だ。しかしそれが当てはまる場合とそうでないと場合が世の中には確実にある。
大切な家族を亡くした方に、「もう○年も経ったのだから、いい加減悲しむのはやめなさい」という人がいる。
しかし何年経ってもまるで昨日のことのようだと仰る方もいる。
大切な人を失った悲しみは、一年、二年と時間で区切れるものではない。
そこから前を向けるようになるまでにかかる時間は、人それぞれ違うのだと思う。
そのような人たちが私たちの目の前にいる時、どうしたらいいかと途方にくれる。
そんな時、ただ何も言わず寄り添っていてほしい。その人が語りたい時に黙って耳を傾けてほしい。
何より忘れないでいてほしい。
今日という日に、そんなことを思った。
あの日から11年。
もう11年と思う人もいるし、あの日で止まったままの人もいるだろう。
悲しくてもいい。忘れるためにがむしゃらでもいい。私は人間には必ず立ち上がる力があると信じている。
時には一緒に雨に打たれる。
こんな寄り添いが、時が止まっている人の何よりの癒しになり、力になる。
参考までに。
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