カリスマ経営者 鈴木修さんについて思うこと
以前、「会ってみたかった日本の経営者―彼らから学んだ事」という記事を投稿し、スズキ元社長の鈴木修さんについても触れた。
その鈴木修さんの訃報が夕方のニュースで流れた。
記者時代は自動車を担当していなかったため、鈴木修さんにお会いする機会はなかった。それでも、記者仲間や取材先、そして報道などの情報から、人としての魅力は十分伝わってきた。
取材していたわけではないので、偉そうなことは言えないけど、経営者としての嗅覚は抜群だったと思う。
浜松の中小企業だったスズキをグローバルな自動車メーカーに育てたのは周知の事実だけど、当時市場としては注目されていなかったインドやハンガリーにいち早く進出、そしてGMやフォルクスワーゲン(VW)など世界の名だたるプレイヤーとも提携してきた(その後解消―今はトヨタと提携)。
確か、VWとは訴訟を経て2015年に提携解消したけど、翌年にVWのほうがディーゼルエンジン車の排出ガス不正事件で当局に多額な罰金を払い、信頼も失うなど経営難に陥った。当時は、スズキがVWを沈没しそうな船だと第六感で感知し、沈没する前に関係を解消したのでは、と思ってしまった。それほど、スズキの立ち回りに感心したものだ(まあVWも沈没しなかったけど)。
私は記者として、企業再編・M&Aを追っていたので、自動車業界をみると、スズキが常に大手自動車メーカーから秋波を送られていたという話は、よく聞こえてきた。
それというのも、鈴木修さんの経営者としてのカリスマ性に加え、人を惹きつけてやまない人間性も大きかったと言えよう。
スズキの関係者に聞いた話だと、鈴木氏は本当に『町工場のオヤジ』そのもので、インドには何十年もの間、頻繁に視察に行ったけど、お腹を壊したことが一度もない、とのこと。スゴイ!
今年10月に亡くなられたラタン・タタ氏といい、また一人カリスマ経営者が去られた。寂しい限りだ。
ご冥福をお祈り申し上げます。
*写真はWikipediaから引用(インドのモディ首相との会談時より)