スパイに関する映画 その3
○ 告発物
諜報活動とその成果に対する告発物は数が少ないが、どれも無視出来ないほど重い意味を持つ作品。911後の米国はテロ容疑者を拷問していた。諜報活動と違法活動、拷問は1枚のカードの表と裏である。また戦争中の沖縄では、スパイのせいで、
日本人同士の殺し合いが起きた。スパイに関心があるなら、以下の映画を見て、そのダークサイドも考えてもらいたい。
・モーリタニアン 黒塗りの記録 911テロの首謀者の一人としてグアンタナモ基地で不当に拘束されているモーリタニア人と弁護士の話。ジョディ・フォスター、カンバーバッチが参加。スパイの話ではないが、情報機関がグアンタナモ問題に関わっていることの例として、この映画を選んだ。
・シチズンフォー スノーデンの暴露 米の情報機関員であったスノーデンによる暴露で、米国の情報機関、特に電子情報機関NSAが全世界規模でインターネットに関する情報を収集していたことが明らかになった。このドキュメンタリーは、そのスノーデンにインタビューをしたもの。淡々と映像化したせいか、彼がいかに驚くべきことをしたのかは、観客である私たちにはつかみづらい気もする。1本だけ見るなら「スノーデン」。
⭐️スノーデン。米国の情報機関が全世界で想像を絶する量のデータを収集し、人々を監視していたことを暴露したスノーデン。
彼のその日々を克明に再現した点が良い。彼が見た情報機関のコンピューター類もきちんと再現されている。監督は「プラトーン」などで知られるオリバー・ストーン。果たして彼は米国を裏切ったのか、それとも情報機関と米政府による許し難い監視活動を告発し、世界に警鐘を鳴らした人物なのか。スノーデンがハワイのトンネルを抜け出る場面が印象的だった。
⭐️沖縄スパイ戦争 このドキュメンタリーには残酷な場面もあるが、情報機関とインテリジェンスオフィサーに関心がある人は見るべき。沖縄ではスパイ養成機関・陸軍中野学校を卒業した軍人が少年の群れを指揮して、ゲリラ戦をやらせていた。そして、市民が米軍のスパイになることを恐れた軍は無実の市民を殺害していた。さらに、疑心暗鬼に陥った市民同士が殺し合いをしていた。この映画の最も優れている点は、史実を精査しただけではなく、現代の沖縄で疑心暗鬼から、再び、市民同士が殺し合いをするかもしれない、あるいは、自衛隊法により有事の際、市民が強制的に自衛隊に協力することを求められる可能性があることを述べたことだ。その背景には、誰も語りたくないような悲惨な体験があり、かつ、周囲の目を気にした被害者や目撃者たちが口を閉じたこともある。ネトウヨはこの映画を左派のたわごとだとして見ないのだろうが、この映画が取り上げたのは、実際の出来事であり、沖縄の人々が体験したことであった。戦争と情報機関のダークサイドを知るために、この映画をもっと多くの人が見るべきだ。
⭐️ 米国拷問プログラムの闇/THE FOREVER PRISONER 911テロ後、米国は尋問と称してテロ容疑者の拘束と彼らに対する拷問プログラムを始めたが、その内容とは。UNEXTのみ。映画「ザ・レポート」の主人公であるダニエル・ジョーンズも登場し、そのプログラムを語る。その激しい拷問の様子は絵で紹介されるが、ああいうことが平然と行われていたこと、尋問経験のない心理学者が拷問プログラムに関わっていたとは、恐怖でしかない。 米国民の半分近くがテロ容疑者に対する拷問を支持しているという現実の前では、平和を求める甘い声も消えてしまいそうだ。さらに、米国がまた拷問を始めるのではないかという疑惑もぬぐいきれない。自分達が攻撃される、同胞が殺されるかもしれないという恐怖が生まれると、人間の理性は簡単に壊れてしまう、ということを感じた。
・ザレポート 米国の尋問プログラムの闇を描く。アダム・ドライバー、アネット・ベニングほか。911テロ後の米国が始めた拷問プログラムを検証する男の努力。だが、書類の山との格闘や、それに対するCIAの反撃、拷問の事実にショックを受けて退職するスタッフなど、困難が多い彼の行き着く先は? こういう作品が制作・公開されるのが米国の強みか。
○ 以下はNHKオンデマンドで。
・NHK特集 私は日本のスパイだった~秘密諜報員ベラスコ~ これはNHKの特集によるドキュメンタリー。第二次大戦中、スペインには日本のスパイ・ベラスコがいて諜報活動をしていた。その彼は開発中の原爆の情報も入手したが、日本政府はそれを有効に生かさなかった。受賞作。
・終戦スペシャルドラマ 百合子さんの絵本~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争~ NHKによるドラマ、戦時中、ストックホルムで腕を振るった武官・小野寺。その彼と妻が決死の思い出集めた情報はどうなったのか。実話をドラマ化した作品。
・ETV特集 「久米島の戦争~なぜ住民は殺されたのか~」 久米島守備隊住民虐殺事件は、戦時中の沖縄の久米島(くめじま)で、旧日本軍が、スパイ容疑をかけた日本人を虐殺した事件があった。それに関するドキュメント。
・映像の世紀バタフライエフェクト 「CIA 世界を変えた秘密工作」 米CIAは米国の国益のために、全世界で諜報活動を行い、米国の政治を支えてきた、その記録。
○ 以下は韓国物 私が見ていない作品
・ベルリンファイル
・出国 造られた工作員
・工作 黒金星と呼ばれた男
・偽りの隣人 ある諜報員の告白
・アイリス シリーズが3本
・PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ
・7級公務員
・レッド・ファミリー
・その時の人達〜有故、大統領〜
・ハント
他に、私が見ていない作品
・ザオペラティブ
・ダブルフェイス ゴルシフテ・ファラハニが出演
・スパイの妻 日本の作品
・誰よりも狙われた男 ル・カレによる、ドイツとイスラム過激派物。
・ジョニー・イングリッシュ シリーズは3本ある。有名なローワン・アトキンソンが主演。
・アヴェンジャーズ
・インファナルアフェア
・スパイレジェンド
・ダブルフェイス 2本ある。
・エージェント:ライアン
・チャーリーズエンジェル 3人の女性スパイ物
・355 5人の女性スパイ物 ダイアン・クルガーほか
・スプークス/MI-5 MI5物。
・ナワリヌイ ロシアの政治活動家ナワリヌイは、正体不明の毒で一時期死線をさまよったが、それはロシアによる特殊工作とされている。その男の人生とは。
・アンロック/陰謀のコード CIA物。
・偽りの忠誠 ナチスが愛した女
・ハリーポッターシリーズに登場するスネイプは二重スパイだという。
続く