「オデュッセイア」の読書感想文
ホメロス著「オデュッセイア」を読みました。
勇敢な国王オデュッセイアの留守に美しき妻ペネロペに再婚を求める有力者の子弟たち。
偉大な父の無事を信じて探索の旅に母に無断で出立する息子テレマコスの物語。そして、トロイア戦争で大活躍して無事に帰国したのに妻と弟に裏切られたアガメムノン王の物語が同時並行に続きます。
女神アテナイの助力を得たオデュッセイアの冒険は死後の世界、冥界にまでも足を踏み入れます。その先の読めない展開が予想以上に面白かったです。
トロイア戦争を総帥として指揮して、勝利に導き、帰国後に妻と弟に謀殺されたアガメムノンは冥界にて生存しているオデュッセイアを含む登場人物たちと絡み、ホメロスの主題「富や名声の儚さと虚栄」を描くのに非常に効果的な役割をします。最終章の第24歌でまさかの再登場には本当に驚きました。そして、冥界にはタンタロスもいてギリシャ神話と歴史好きには物語以外の面も楽しめるでしょう。
「オデュッセイア」は古代ギリシャの時代に成立しました。後世の作品にも大きな影響を与えたと推測しました。アガメムノン王の逸話はシェイクスピアのハムレットと似ていると思いましたがネットで検索した限りでは無関係なようです。
英国のBBCのドキュメンタリー番組の結末で「富と名声の虚栄を描いたホメロスがこの作品で時代を超えた名声を得たのは歴史の皮肉です。」とのナレーションは今回の読書で非常に実感できました。
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