アサーティブ・コミュニケーションは離職防止に役立つのか? その2:アサーティブ・コミュニケーションがうまくいかない原因
皆さん、こんにちは!
アサーティブ・コミュニケーションは離職防止に役立つのか? その2は、アサーティブ・コミュニケーションが現場でできていない原因について考えます。前回に引き続き、上司と部下の関係性においてをメインに展開します。
アサーティブ・コミュニケーションの効果
アサーティブ・コミュニケーションを身につけることで、部下は正直に思っていることが言える(本音が言える)、上司は部下の本音に向き合えるようになり、以下のような効果が生まれます。
■部下の不満が蓄積する前に、対策を打てる
■よい人間関係を築けるので、愛着がわきやすくなる
■部下は自分の意見がブラッシュアップされるので成長に繋がる
※部下が率直に述べた意見に対して、上司からはフィードバックもらえ、自分では気づかなかった視点が拡がり、質問や意見の確度が上がってきます。
このように、より良い効果をもたらすアサーティブ・コミュニケーションですが、現場ではできていないことも多いようです。
アサーティブ・コミュニケーションができない原因
1)誤った固定観念に囚われている
人が行動を起こすときには「こうしよう」という判断をします。その判断は、その人の「考え方(行動理論)」が影響を与えています。考え方は知識や過去の成功体験などから、「こうすべきだ」というような価値観として定着します。
よくあるパターンとして、「自分たちの若い頃はこうしてきた(それでうまくいった)」「この対応は今までこのやり方と決まっている(それでやってきて不具合はないはずだ)」などのような、知らず知らずのうちに固定観念に囚われて行動していることがあります。
例えば、会議の際に部下から反論があがったときに、「部下は上司に従うものだ、反論があったとしても、指示に従わせるのが上司の仕事」という固定観念があれば、部下の意見を却下し、進めてしまうでしょう。部下はしかたなく(表面的には)従うことになります。このようなことが続くと、固定観念はさらに強化されます。上司は聞く耳を持たない、部下はいっても仕方ない、という関係になります。
2)アサーティブ・コミュニケーションを片方しか身に付けていない
上司と部下のどちらか片方しかアサーティブ・コミュニケーションを身に付けていない場合は、以下のような状況になります。
図の3つ目のように、双方が身に付けてはじめて、意見が違っても議論を進めることができます。
3)タスクのためのアサーションに偏っている
アサーションには「タスク機能」と「メンテナンス機能」があります。
「タスク機能」とは、課題解決のために、状況把握や分析を行い解決策を立て、そのために必要な明確な指示の出し方や行動を取るといった、ビジネスにおいては必要不可欠な機能です。「メンテナンス機能」とは、良い人間関係を維持し潤滑にするために、自分や相手の立場を考え受け止め、お互いに協力しようとする姿勢や声かけを行うといった、タスク機能を発揮するうえでも必要不可欠な機能です。
タスク機能とメンテナンス機能は完全に切り分けることはできません。どちらも重要な機能です。対話や議論や折衝のためのコミュニケーションスキルのようにタスク機能を捉え、そのスキルだけを磨いても、メンテナンス機能が働いている人間関係の場合とそうでない場合とでは、結果が違ってきます。
まとめ
上司との人間関係が離職の理由としてあがることが多い中では、このようなアサーティブ・コミュニケーションを組織で身に付けること、タスク機能だけでなく、より良い人間関係を維持するためのメンテナンス機能もバランスよく修得することで、離職防止に役立てることができます。
行動しないと何も変わりません。日々の声かけなどすぐにできることから始めてみましょう。
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