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「風鈴物語」③
俺がグラスを亡くして一人ぼっちになった悲しみで悶々としてたある日、体調を崩して寝込みがちだった爺さんが、久々に婆さんに支えられて縁がわに出てきたんだ
爺さんは風に歌ってる俺をまじまじと見つめながら
誰にともなく言ったんだよ
👴🏻風は何時だって吹いてるんだ
忘れちゃなんねぇよ…
それから暫く婆さんと並んで若い頃の思い出話を
語り合ってた、ホントに時を忘れて語り合ってた、
そんな感じだった..そして、そのまま旅立ったんだ…
空に舞い上がる時、爺さんは俺を「チリン」と鳴らして行ったもんだから婆さんは勿論気付いたんだけどよぅ、もたれかかった爺さんの頭を撫でながら、ずっと爺さんに昔話を呟いていたっけ
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正直言ってよぅ、俺を風鈴にしてくれたのは爺さんなんだ。その恩人の最後のBGMに成れたなんて、風鈴冥利に尽きるってもんだぜ
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それから暫くして突然だったよ。雨戸が閉まって真っ暗になっちまって、婆さんも居なくなっちまった
何が何だかさっぱりわかんねぇ
それからどれだけ月日が流れたのか
全くもってわかんねぇ…
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~続く~