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「風鈴物語」④
俺は雨戸を閉めきった暗い縁側に一人ぼっちだ
戸の隙間から刺す西陽が埃を真っ直ぐな線にしてる
最近はそれだけでも季節が見えるんだぜ…
夢かうつつか埃の中でグラスの声が聞こえる
お〜い!って呼びたいが風が吹かねぇから…
声が出ねぇんだよ
強くなれたなら、って思うよ…風なしで生きれたら!グラス無しで生きられたら!ってな…でもやっぱり、会いてぇ!幻でも声が聞きてぇよ
やっと思い知ったぜ…
俺達は自分からアクションはおこせねぇ!
何かのアクションに対するリアクションだけだ
自力じゃ音ひとつ鳴れやしねぇ
そもそも自力なんてありゃしねぇのよ
ひょっとして地球は宇宙の風に揺れてる風鈴みてぇなもんじゃねぇのかい?
ひょっとして人間は地球の風に揺れてる風鈴みてぇなもんじゃねぇのかい?
へ、へっ、今じゃ俺は錆びついちまってよぅ、瘡蓋だらけみてぇになっちまった…でもな、錆びたら錆びたなりの音がするんだぜ!
爺さんが言ってたように風は何時だって吹いてる
たまに雨戸を揺らしてるから分かるんだ
そこに風があるなら、いつかは必ず吹く
そして俺には何時でも鳴れる音が有る
だから、いつか必ず鳴り上がってみせるぜ!
俺にとっては爺さんの言ってた事だけが真実だ!もしそれが嘘だったとしても、どっちみち真っ暗闇に一人って事は変わらねぇ!だから後悔なんてするはずもねえ!
俺は何時だって鳴れるんだ、歌えるんだ
俺は何時だって…何時だって…🎐
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〜続く〜