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人生の歯車〜(転落の序章)

以前にも書いたと思いますが、ぼくは岐路に立たされた時、常に楽な方へ楽な方へと選んできてしまいました。
その最初の岐路が、高校進学の時でした。

中学生の頃は(も?)、色々と問題を起こしていたので、先生方から好かれるようなタイプの生徒ではありませんでした。むしろ、要注意生徒だったと思います。

そんな中学3年の2学期に、三者面談での進路相談がありました。そこで、担任から言われたのは、「お前の成績だと、市内の公立高校へ進学するなら、商業か工業だな。どうしても普通科へ行きたいなら、隣の市の新設校くらいだな。」ということでした。

1学期の成績が、9科目の5段階評価で27点。たまたま3年の1学期だけ、数学のテストの点数が少し良かったので4がついて、音楽か美術が2だったのを除いてあとはオール3。3年間の中学校生活の中で、いちばん良い成績でした。

それで、家で母から言われたのが「私立へ行ってもいいから、高校だけはちゃんと出ておいて」ということでした。
ぼくは、その言葉を聞いて「私立の高校へ行ってもいいんだ」と言葉通りの解釈をしました。母が本心から「私立の高校でもいいから、高校は卒業して」と思って行った言葉なのか、「もうちょっとがんばって公立の高校を受験して、もしダメだったら、私立の高校でも仕方ない」という意味だったのかは、分かりません。

ぼくには、この頃から人の真意や言葉の裏というものを察する能力が欠けていました。そして、少しでも楽な方へ楽な方へと行こうとする性格もあいまって、この時点ですでに、人生の歯車が狂い始めていたのでした。

それでぼくは、自分が入れそうで、なるべくブランドイメージのいい学校ということで、伝統はあるがあまり優秀ではないプロテスタント系の高校を選んだのです。

推薦も貰えるということで、これからの半年、受験勉強に追われることもなく、自由に過ごせると、「人生イージーモード!」と考えていました。

そんな浮かれた気分でいたところ、担任から思いもよらぬ話しを聞かされます。
「○○高校から、理数系特進コースで推薦入学しないかって話しが来てるけど、どうする?」

???

理数系特進コース?
まったくの予想外の話しでした。
理数系と言われても、高校側は数学だけ4がついているのを見て判断したのだろうが、それは本当にたまたま1学期のテストの点数が良かっただけで、数学が得意なわけではなく、むしろ数学の公式を覚えるのも苦手だし、理科も法則やら定理やらがまったく理解できていない、どちらかといえば文系の方に近い人間でした。

今となっては、自分で決断したのか、親がその気になったのか、はたまた担任のゴリ押しだったのかは、まったく覚えていないのですが、理数系特進コースの推薦で願書を提出してしまいました。

狂い始めていた歯車は、もうこの時点でまったく噛み合わなくなっていたのですが、そのことに気づくのは入学式の後のオリエンテーションの時。

そんなことも知らず、早々に進路が決まったぼくは、残りの中学生生活をのびのびと過ごしていました。

つづく…

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