自分
「ぼくって一体何なんだろう?」
「何で生きているのかな?」
「何でこの世に出てきてしまったのかな?」
様々な疑問が頭の中を駆け巡る。
「50数年間生きてきて、この間、一体何をしてきたのだろう?」
「この50数年間、本当にぼくは存在していたのだろうか?」
だんだんと、自分の存在が頭の中であやふやになっていく。
「誰かの記憶の中に、誰かの思い出の中に、ぼくは存在しているのだろうか?」
そんなことを誰かに尋ねてみたいけれど、誰に尋ねればいいのかが分からない。
尋ねようにも、そう尋ねられる相手がいなかった。
今、ひとりで何をするでもなく、ただ時が過ぎていくのを見つめていることしかできない毎日。
「何かやってみたいことはないの?」
「どこか行ってみたいところはないの?」
「誰か会いに行きたい人はいないの?」
考えてみても、何も思い浮かばない。
こどもの頃の自分
学生時代の自分
社会に出てからの自分
今の自分
何だか全部が他人に思えてしまう。
自分がどこにもいない。どの記憶にも自分は登場してこない。
「自分って何? 自分って誰のこと?」
過去の記憶を辿ってみても、自分の存在が確かめられない。
一体、どれが自分なんだろう?
いくら考えてみても、頭には何も浮かんでこない。