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演奏所感

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クラシックに関する音源の中から、特に私が好きな録音について、作品の概要や聴き処をライトに紹介していきます。
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演奏所感#005 ボザール・トリオのメントリ

演奏所感#005 ボザール・トリオのメントリ

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番、通称“メントリ”には数々の名盤がありますが、今回はメナヘム・プレスラー率いるボザール・トリオによる演奏を紹介します。

ボザール・トリオはアメリカのピアノ三重奏団なのですが、ピアニストのプレスラー以外は度々メンバーが交代しているという、少し不思議なグループです。
本録音では、ボザール・トリオの生みの親であるプレスラーとブラジルが誇るチェロの名手メネセスという

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演奏所感#004 パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管のシベ4

演奏所感#004 パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管のシベ4

今回ご紹介するのは、北欧出身の指揮者パーヴォ・ヤルヴィがフランスの名門であるパリ管の音楽監督に就いていた時に創り上げたシベリウスの交響曲全集より、第4番です。

シベリウスは幻の第8番とその構成から交響曲と俗称される事があるクレルヴォを除き、その生涯にて7つの交響曲を遺しています。
そのうち第4番は、腫瘍を患った経験から自身の死というものを意識することになって以降初の交響曲である為か、第3番までと

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演奏所感#003 チェンバロ奏者ジャン・ロンドー

演奏所感#003 チェンバロ奏者ジャン・ロンドー

きっと誰しもが初めてその姿を目にした際には思わず二度見してしまうであろう、ファンキーな出で立ちのお兄ちゃん。
そんなロンドーは私のお気に入りの演奏家の一人で、Dynastieというバッハ父子のチェンバロ協奏曲集のLPは愛聴盤の1つです。
自分の中ではチェンバロ奏者はコープマン一択だったのですが、ロンドーの演奏を聴いた瞬間、ロンドー一択になってしまいました。

チェンバロという楽器から発せられる繊細

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演奏所感#002 宮本笑里のHA・RE

演奏所感#002 宮本笑里のHA・RE

今回ご紹介するのは、宮本笑里さんのデビュー10周年アルバムamourからHA・REです。

ピアノの隙間からそっと奏で始まるヴァイオリンの旋律。
明るくも何処か切なく、でも一歩一歩少しずつ確実に前へと進んでゆき、いつの間にか眼前には広大な青空が広がっている。
そんな奏者の想いがヴァイオリンの音色に乗って空間を満たし、聴く者を惹き込み脳裏に情景を思い描かせる。

プロである宮本さんには失礼を承知で敢

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演奏所感#001 アレスのゴルトベルク

演奏所感#001 アレスのゴルトベルク

ゴルトベルク変奏曲は、大バッハにより作曲されたチェンバロのための低音主題による変奏曲集です。
昨今ではゴルトベルクと書いてグールドと読むのではないか?と思わせる程グールドによるモダンピアノでの演奏が有名ですが、今回ご紹介するのはスペインが生んだ名チェンバリストであるディエゴ アレスによる演奏です。

本アルバムにはゴルトベルク変奏曲32曲と、それらへの導入としてのアダージョの全33曲が収められてい

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