北欧研究所(Japanordic)

北欧研究所(Japanordic)は、デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランド・グリーンランド・フェロー諸島など北欧諸国に特化した研究調査、ビジネス支援、コンサルティング機関です。 https://www.japanordic.com/

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マガジン

  • デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成

    デンマークにおける「包括的性教育」の現状を明らかにし、その教育実践の実態と、若者のジェンダー規範形成との関係性を検討した論文

  • 北欧研究所エッセイ

    北欧研究所所員が、業務を通じて考えたこと知ったことをエッセイとしてお話しします。

  • なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?

    霞が関では官僚の長時間・深夜労働が問題視されている一方で、デンマークの官僚社会では「午後3時退庁」ができるなど、柔軟な労働環境が確立されています。本稿では、両国の「政官関係」と「官僚社会におけるデジタル化の状況」の2点からの比較分析に加え、「公共部門の意志決定にAIを利用することの是非」について議論します。

  • デンマークの外国語教育とその必要性―移民との共生の視点から―

    2023年に出入国在留管理庁が実施した「外国人との共生に関する意識調査(日本人対象)」では、「外国人労働者に求めるものとして重要なものは何か」という質問に対し、全体の60.8%が「日本語能力」と回答し、最多の回答であった。グローバル化に伴い移民との共生が益々求められる中で、国内総人口の約15.9%%を移民とその子孫が占めるデンマークでは、学校教育で様々な言語の学習機会が与えられていたり、移民へのデンマーク語講座が無料で提供されているだけでなくオンラインや合宿形式の講座が選択できるなど、デンマーク人・移民を問わず外国語教育が盛んに行われている。本マガジンでは、デンマークの外国語教育を移民との共生の視点から考察し、デンマークの外国語教育の在り方が、デンマーク社会における移民の待遇や位置づけにどのように寄与しているのかを探る。

  • 北欧の地方創生

    北欧の地方創生の事例や分析記事を集めました。

最近の記事

デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第7章

第7章 まとめ 本章にて、本論文の最終的なまとめを行い、本研究の結論ならびに研究の限界と展望の提示を行う。本研究の目的は、日本の性教育と先進的な性教育が進んだデンマークでの現状を比較することで性教育実践のもつ影響力を明らかにし、伝統的な性役割態度、つまりジェンダー規範の形成要因を性教育の視点から検討することであった。そのために、本研究ではインタビュー調査とアンケート調査を行い、それぞれデンマークで実践されている「包括的性教育」の現状を明らかにすること、そしてその教育の結果とし

    • デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 参考文献

      参考文献

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      • デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第6章考察

        第6章 考察 本章では、第4章のインタビュー調査結果と第5章のアンケート調査の結果を総合し、それらから示唆される事項について考察を行う。本章で取り上げる事項は3点ある。  まず1点目は、デンマークでの学校性教育は、日本と比較すると「内容の幅広さ」という面では精度が低いかもしれないが、そのぶんディスカッションに時間をとっていることが特徴的だという点である。第5章第2節で見たとおり、日本の性教育においてははどめ規定の影響は見受けられるものの、「HIV/エイズ」、「デートDVの問

        • デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第5章 質問紙調査結果

          第5章 質問紙調査結果 続いて本章では、デンマークの高等教育機関に在籍する若者へ実施した質問紙調査の結果について記載する。まず回答者の概要について説明し、分析結果として特筆したい事項について5点記載する。 第5章第1節 回答者の概要  本調査の回答者は35件であり、このうちデンマークが出身地であるものの回答が25件(71.7%)であった。回答者の出身地内訳は、デンマークの他にイタリア3件、フランス2件、日本2件、ポルトガル1件、ベルギー1件、チェコ1件となっている(なお、

        マガジン

        • デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成
          8本
        • 北欧研究所エッセイ
          8本
        • なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?
          6本
        • デンマークの外国語教育とその必要性―移民との共生の視点から―
          6本
        • 北欧の地方創生
          8本
        • 北欧のハピネステクノロジ
          8本

        記事

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第4章 インタビュー調査結果

          第4章 インタビュー調査結果 本章と第5章にて調査結果を記載する。本章では、DFPAスタッフであるJeppe Hald氏(以下、Hald氏)へのインタビューから明らかになった結果を記述する。本調査では、デンマーク国内で実施されている性教育の実態について・カリキュラムや到達目標の存在・到達時間数の存在・クラス内での具体的な教育実施方法等の観点から詳細を伺った。本調査を通して明らかになった特徴としてあげられたのは以下の3つである。  第1の特徴は「デンマークの教育課程において、

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第4章 インタビュー調査結果

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第3章調査方法

          第3章 調査方法 本研究では2段階の調査を実施する。まず第1段階として、デンマーク国内の性教育実践に関わる活動を行っているNGOのスタッフへインタビュー調査を行い、デンマークで現在実施されている性教育の現状を明らかにする。次に第2段階として、デンマークの高等教育機関に在籍する若年層へ質問紙調査を行い、彼らが受けてきた性教育の実態を明らかにするとともに、ジェンダー規範のありかたについて調査する。下記にて、各調査の詳細について説明する。 第3章1節 NGOスタッフへのインタビュ

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第3章調査方法

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第2章文献調査

          第2章1節 デンマークにおける性教育および性・生殖に関する法政策の変遷と現状 まず、今回フィールドとなるデンマークの性教育関連、加えて性や生殖に関する現状について、文献調査を通して法政策の変遷や教育制度を概観しまとめる。重要な決定や変化を年表にまとめると以下の通りである。 まずデンマークにおける中絶の権利については、1973年から無料で実施することが認められている。2024年5月には50年ぶりに見直しが行われ、中絶可能週数がそれまでの妊娠12週から妊娠18週まで引き上げる

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 第2章文献調査

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 はじめに・第1章

          2024年10月 小野愛莉 北欧研究所の小野です。私は2023年9月から2024年2月まで、北欧研究所にインターン生として勤務をしました。今回、インターン中に取り組んだ個人研究を論文としてまとめましたので、noteに章ごとに公開していこうと思います。テーマは「デンマークにおける包括的性教育の実践と、若年層が持つジェンダー規範の関係性」です。 目次は以下の通りです。なお、参考文献は一番最後の投稿にまとめて記載いたします。 目次第1章 研究の背景と目的 第1章1節 研究の背

          デンマークの包括的性教育と若年層のジェンダー規範形成 はじめに・第1章

          デンマークの移民政策と関連組織

          最終更新:2024年7月23日 デンマークは、住んでいる市民の5人に一人が外国人ルーツを持っていると言われるほど、この数十年で移民が増加した国です。現在のデンマーク総人口約590万人中約130万人程度が外国のルーツを持っているということです。そして、その内、約40万人は、トルコ、イラク、パキスタンなど非西洋諸国のルーツを持つ人と言われます。 理由の一つには、社会に根付く草の根の人道支援などや国際機関を通じた支援などがあります。近年の外国人排斥の社会傾向は、デンマークも無関

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          デンマークの移民政策と関連組織

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          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第6章 おわりに・参考文献】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。 最後まで、ご一読いただけると幸いです。 なお、ヘッダー写真につきましては、筆者がデンマーク留学中に撮影した写真を使用して

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第6章 おわりに・参考文献】

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第5章 インタビュー調査の結果と考察】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。(順次公開いたしますので、しばらくお待ちください。) 最後まで、ご一読いただけると幸いです。 なお、ヘッダー写真につきまし

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第5章 インタビュー調査の結果と考察】

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第4章 デンマークの政官関係、公共部門におけるICT・AIの使用】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。(順次公開いたしますので、しばらくお待ちください。) 最後まで、ご一読いただけると幸いです。 なお、ヘッダー写真につきまし

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第4章 デンマークの政官関係、公共部門におけるICT・AIの使用】

          ボーンホルム島とサステナビリティの動き

          概略本レポートでは、スウェーデン南部に位置するデンマーク領ボーンホルム島におけるサステナブルな動きを紹介する。 近年、ボーンホルム島は、サステナブルな島として注目されており、持続可能性を模索するさまざまな動きがみられるようになっている。本レポートではその一角を紹介するものである。

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          ボーンホルム島とサステナビリティの動き

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          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第3章 政官関係、公共部門におけるICT・AIの使用に関する先行研究】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。(順次公開いたしますので、しばらくお待ちください。) 最後まで、ご一読いただけると幸いです。 なお、ヘッダー写真につきまし

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第3章 政官関係、公共部門におけるICT・AIの使用に関する先行研究】

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第2章 日本とデンマークの官僚社会の仕組みと実態】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。(順次公開いたしますので、しばらくお待ちください。) 最後まで、ご一読いただけると幸いです。 (文責:植村雄太) 第1節

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第2章 日本とデンマークの官僚社会の仕組みと実態】

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第1章 はじめに】

          北欧研究所の植村です。私は、2023年9月から2024年6月まで、北欧研究所のインターンシップ生として、個人研究に携わりました。テーマは「日本とデンマークの官僚社会における労働環境の違いとその要因」です。 研究論文を章ごとに分けて、Noteにて公開いたします。他章の記事に関しましては、本記事の最後に記載されているリンクより、ご覧いただくことができます。最後まで、ご一読いただけると幸いです。 なお、ヘッダー写真につきましては、筆者がデンマーク留学中に撮影した写真を使用してい

          なぜ、デンマークの官僚は「午後3時退庁」ができるのか?【第1章 はじめに】