もはや外国語!中国語の方言の壁が思ったよりエグかった件
日本にも関西弁や東北弁、九州弁などなど、各地域特有の様々な方言が見られますが、広大な中国ではその多様性もさらに広がり、中国人同士でも聞き取れないような激しい方言が存在します。
ただ、私が大学生の時に中国語を学び始めてから、地方の方言の壁に苦労するという事はほとんどありませんでした。中国各地(北京市・上海市・河北省・河南省・安徽省・江蘇省・浙江省・陜西省・四川省・雲南省ほか)に留学や旅行で滞在経験がありますが、私たち外国人が中国語として学ぶ全国共通の標準語(普通话・プートンホァ)は、実際どの地域にいってもある程度通じますし、相手の方言が聞き取れなくてもこちらが標準語を話せば、多少の地方訛りはあれども標準語で返してくれるので意思疎通は可能です。
ところが中国人と結婚してから、この中国語方言の恐るべき壁の高さを、あらためて実感することになったのです。
家族同士の会話は30%ぐらいしか聞き取れない・・・
私の中国語語学レベルは標準語に限っては日常会話にはほぼ困らない程度。よっぽど専門的な難しい話題でなければ9割方聞き取れているとは思います。(もちろん、わからない単語が聞き取れない事とかはありますが、その場で聞き返したりして会話は成立します)
先述の通り旅行先での中国語会話や、貿易商社時代の取引先との中国語のやりとりでも、上手い下手は置いといて”言葉が全く通じない”という状況に陥ったことはほとんどありません。
ところが・・・それはビジネスや旅行といった環境下での話。
中国人の妻とその家族は日本に10人ぐらいいますが、集まった際に話すのは当然のように江蘇省の地元方言。これが驚くほどわからない!ところどころ標準語の発音に近い言葉があるので何となくニュアンスで察することはできるけど、それでも30%ぐらいしか意味を理解できず、自分の中国語力にそこそこの自信を持っていただけに、こんなにも通じないものか!と、かなりのショックを受けました。
例えば「Good」の意味の「好」は、標準語:「ハオ」/江蘇方言:「ホッー」、「食事する」の意味の「吃饭」は標準語:「チーファン」/江蘇方言:「ツッフェー」、「乾杯」を意味する「干」は標準語:「ガン」/江蘇方言で:「ゲェ〜」と、こんな感じでほぼ原型が残らないほど発音が変化します。
何より厳しかったのが、知り合ったばかりの頃は妻の母がほぼ標準語を話してくれず、毎回会うたびに方言で話しかけてきたのでお義母さんとの会話が中々成り立たずに苦労しました。(お義父さんの方は標準語、もしくは日本語で会話してくれるので助かったのですが)
でも、今ではそんなお義母さんともすっかり意思疎通がとれるようになりました。お義母さんが標準語の発音に近づけてくれるようになったのか、私の方言リスリング力がアップしたのかは謎ですが・・・
中国語の地域方言は外国語と考えるべし
日本では中国語の標準語というニュアンスで「北京語」と呼んだりしますが厳密にいうと北京人が話す中国語も標準語とイコールではなく、「北京话」という立派な方言なのです。北京の人がしゃべる中国語は語尾が「アール」という巻き舌音になるのが特徴。
上海語も標準語とは別物で、北京人が上海人同士の会話を聞くと聞き取れなかったりします。これは広東語はもちろん、四川語も一緒。一番標準語に近のはたぶん遼寧省や黒竜江省といった東北地方の言葉かなぁと思います。
ある上海人の友人は、日本に留学した際に中国東北出身の人がルームメイトだったそうですが、上海人同士で会話していたらその東北人のルームメイトがあまりに聞き取れないのに苛立って「不要说鸟语!(鳥の言語をしゃべるな!)」と怒られたそうです。
ある程度中国語をマスターした方が地方に旅行に行く際には「请讲普通话(チンジジャンプートンホァ)」(標準語で話してください)と話しかけるとその後の会話がスムーズに展開するかと思います。まあ、ネイティブはあんまりこんなこと言わないと思いますけど、これを言えば標準語に合わせてくれるかとは思います。
方言を覚えると一気に距離が縮まる
と言いつつも、地元の方言を別の地域の人、まして外国人が急にしゃべったら喜んでもらえますし、一気に心の距離感が縮まる感覚はあります。一つか二つでいいので、地元方言を勉強してから旅行にいくと現地で大歓迎されるのでオススメです。
最後に、知ってたらきっと現地人に喜んでもらえる方言を一部紹介しましょう。
・上海語
「魚」=「ン」
「葡萄」=「ブドウ」(なんと上海語では日本語と同じ発音)
「私は日本人です」=「アラサパニー(我是日本人)」
・東北語
「とても、すごく」=「ゼイ(贼)」(標準語の很(ヘン)にあたります)
→贼漂亮(とても綺麗) 贼好吃(めっちゃうまい)といった使い方で
・四川語
肉:ガーガー(嘎嘎) ご飯:マンマン(莽莽)
以前、東北語と上海語に関してはYoutube動画でも紹介したことがありますので、良ければこちらもご覧ください。
江蘇省の言葉も需要があればもっと紹介します!