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30年日本史00002【旧石器】旧石器時代概観*

 今日から日本通史を始めます。初めは旧石器時代からです。まず、旧石器時代とはどういう時代なのかを概観しておきましょう。
 日本において旧石器時代とは、概ね1万3千年以上前の時代をいいます。……と教科書には書いてあるのですが、Wikipediaでは「1万6千年以上前の時代」と書かれており、大きな開きがありますね。学説が分かれており、まだ固まっていないようです。
 当時は寒冷な気候で、海面は現代よりも低く、日本列島は大陸と氷河で地続きになることがありました。北海道と樺太(からふと)が、そして九州と朝鮮半島がつながるような出来事が何度か起こったのです。このように、地続きであるからこそ、大陸から人類が渡って来れたのですね。(最初の日本人は地続きのときに歩いて渡ってきたのではなく、航海によってやって来たとの説も有力視され始めています。この説については後述します。)また、火山活動が非常に活発でした。しょっちゅう噴火が起こり、火山灰が降り注ぎます。
 当時、日本列島に住んでいた動物は、ナウマン象、マンモス、オオツノジカ、ヘラジカといった大型動物でした。人間よりも大きな動物が多いのです。
 私は博物館でナウマン象とマンモスの原寸大模型を見たことがありますが、とても狩りの対象になりそうな動物には思えませんでした。人間が30人くらいで立ち向かっても勝てそうな気がしません。私だったらライフルを渡されても対峙したくありません。
 オオツノジカは、現在いるシカよりだいぶ大きいもので、高さが2メートル以上あります。岩宿(いわじゅく)博物館(群馬県みどり市)で実物大のオオツノジカの模型を見ましたが、頭が私の身長よりも上にありました。子供受けを狙ったためか、ずいぶんかわいらしい顔をしていましたが、もし生きた実物を前にするとかなり怖いと思います。
 こんな具合に、旧石器時代の日本列島は、お世辞にも住みやすい環境とは言えません。そんな中、この時代の人々は、狩猟と採集のみを生計手段として生活していたわけです。
 この時代、土の質が悪く土器の製作は恐らくまだ始まっていません。稲作による食料生産など思いもよらないことでしょう。道具といえば、黒曜石などを削って作った打製石器だけでした。
 自分より図体の大きな獲物を狩るのですから、武器くらいは良いものを揃えないといけません。しかし、博物館で見られる打製石器は、どれも「こんなもので象と戦えるのか」と疑いたくなるものばかり。旧石器時代人はひどい環境でよく頑張っていたなあと頭が下がる思いです。
 さて、本稿はあくまで人物の個性に着目して歴史を描いていくことを目的としているので、旧石器時代そのものの説明はこのくらいにして、次回から旧石器の発掘に情熱を燃やした研究者たちの生涯を見ていきたいと思います。

岩宿博物館の実物大オオツノジカ。比較対象がいなくて申し訳ありませんが、身長2メートルくらいあります。

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