【ザ・フラッシュ】はあの人気DC映画の実写化?【よい点わるい点】【ネタバレ感想】
画像も使って、容赦なく #ネタバレ しますので閲覧にはご注意ください。
▼あらすじ(ネタバレ):
▼私の評価:
細かく分けるとこんな感じです。(各5点)
平均3点くらいだから「総合的には良い映画」だったと思います。
俳優:★★★★★
物語:★★★★
脚本:★
衣装:★★
音楽:★★★
VFX:★★★
ギャグ:★★★★
ドラマ:★★★★
アクション:★★★
サプライズ:★
エズラミ:★★★★★
キートン:★★★★
サッシャ:★★★★
ベンアフ:★
私は基本的に2〜4点の範囲でつけるので、こんなに1点と5点が並んでいるのは異常事態です。世間の評価も割れているようですが、私の中でも賛否入り乱れた映画でした。
▼良かったところ:
🔵これは「あの人気作品」の実写化だ
スナイダー支持派の一部には非常に不評な『ザ・フラッシュ』ですが、スナイダーバースの続編だと思って観るからそうなるだけで、全く別の世界線の物語だと思って観れば楽しめる作品でした。どんな意見を持つのも自由ですが、あまりにも激しく批判している人達には「そのくらい予告を見れば判るだろ」と言いたくはなります。なんというか、どう見てもインドカレー屋なのにメニューに白米がないことに猛抗議してるのに近いですかね。(苦笑)
真剣に考えている人のことを腐す意図はありませんが、『ザ・フラッシュ』がスナイダーカットの続編かジョスティスリーグの続編かであれこれ考えるのは無駄だと思います。だって明らかにそのどちらでもないのですから。逆にどちらかであると期待してしまうと、矛盾点が気になって不幸になりますよ。
今やDCファンの中にはスナイダーカルトとスナイダーアンチが強固に形成されており、何かあるたびに宗教論争を始めるようになってしまいました。どちらも全体の中では少数派だと思いますが、SNSは少数派の意見が増幅される装置(エコーチェンバー)です。なのでスタジオは『ザ・フラッシュ』をどちらにも属さない宙ぶらりんのコメディ映画として作るしか道がなかったはずなのです。少なくともビジネスとして考えればこの帰結しかありません。
この状況下で私がお勧めしたいのは、『ザ・フラッシュ』を『レゴバットマンの実写化』だと思って観ることです。ギャグやジョークのノリも、脚本の雑っぷりも、どれもアニメのようなリアリティラインでした。『レゴバットマン・ザ・ムービー』を嫌いな人は居ないと思うんですよねー。そもそも一般的なアメコミヒーロー映画とは、実際の人間が演じているだけで、中身はアニメなんですから。
ザックやノーランは大局的に見れば突然変異に近いですし、独自のコメディセンスで残虐な『JOKER』を描いたトッド・フィリップスも異端だからこそベネチア映画祭で金獅子賞《グランプリ》を獲れたのです。
🔵エズラの演技とドラマが良かった
この映画をアニメライクな「ただの子供向けドタバタお祭り騒ぎ」じゃなくて、ちゃんとした「映画」にレベルアップさせたのは、間違いなくエズラ・ミラーの卓越した演技でした。もし彼の演技が無かったら私は低評価をつけてたかもしれません。(笑)
観た人には伝わると思いますが、私が『ザ・フラッシュ』で気持ちが一番ブチ上がったのは、サプライズでもアクションでもなく、予告でも出てきたこの2つのシーンでした。
前者はMoSのコラテラルダメージに制作者がきちんと向き合った意思表明であり、この世界線のバリーが能力を得た直後からすでに正義感に溢れる青年だったことを示すポジティブな感動を呼ぶシーンです。予告では遠くに居る養生テープでぐるぐる巻きのバリーを見逃していたので、これが私にとって一番のサプライズでもありました。
後者は一人二役の演じ分けで2時間ずっと観客を楽しませてくれたエズラが最後に見せる迫真の演技です。このシーンを見れば彼が怪物級のスーパー俳優であることが改めて実感できますし、映画を観る素晴らしさを思い知らせてくれます。脚本がどんな完成度だろうと、VFXの品質がどうだろうと、最後は結局俳優が見せる人間性で決まるんですよ。私もこのシーンでは感涙しました。
いやー良い演技をしているだけに、本当にスキャンダルが痛いですねえ。
🔵サッシャのスーパーガールが良かった
ずっと以前(彼女の名前の日本語表記が定まる前)から、私はこの映画で彼女のことだけは絶賛してましたよ。(マウント)
この予想は的中しまして、カーラが監禁されているロシアの軍事施設では緑色のクリプトナイトらしき物体が牢獄に吊るされていました。説明は一切なかったような気がするのでスーパーマンに疎い人には本当に太陽光発電が出来なくて弱ったと誤解されてそうですが。(笑)
ビジュアルは文句なしだと私は力説していましが、映画が公開されてTwitter民も大いに盛り上がっているので、こちらは今更説明不要だったでしょうか。
屈強そうに見えて、エズラと並ぶと意外と小柄なのは可愛かったですね。
🔵キートンのバットマンが良かった
申し訳ないですが、私は一貫してキートンバッツだけは批判を続けてきました。
…結構強めの批判が多いですね。
でも完成した映画を観れば、この変化は納得できるものでした。最初から『実写版レゴバットマン』だと思わせるド派手アクションが続いて、これはキートンバッツもあのフォルムであのくらい激しく動かないと映画の中で浮いてしまいます。
これがスパイダーバースのようなアニメなら「いつもスパイダーノワールだけ白黒」みたいな違和感を出すことも出来るでしょうけど、実写ですからテイストを変えるのは難しいですねー。
何気に平成4年の『バットマン・リターンズ』からスーツがそのまま黒フラッシュに再利用されたのも大きかったです。私が見たい「あの90年代テイストのプロテクター」はしっかり拝めたので。よく考えればInstagramに監督が写真を載せてたので予想できましたね。
ところでキートンバッツの復活のために、DCはコミックを利用してメディアミックスで宣伝を仕掛ける徹底ぶりでした。
結局アメコミの日本語翻訳は間に合わなかったみたいですね…
🔵長髪キートンとの会話はよく出来てた
これまでのタイムトラベル理論と今作のタイムトラベル理論の違いを2本のパスタで説明するシーンは見事だったと思います。変更点を起点にして過去にも影響が出るって面白いですね。それでどこまで変わればアフレックがキートンになって、ザックがバートンになって、BTTFにマイケルが起用されなくなるんだよ!と野暮なツッコミも入れたくなりますが。(笑)
あとブルースの捨て台詞へのバリーの返しのジョークも良かったです。
日本語字幕では全く別のセリフが当てられていましたが(まあしょうがない解りにくいですから)、個人的には本作で一番素直にクスッと笑えたジョークでした。英語圏の人達はお決まりでよく言うのかしら。
🔵二人のブルースが同じことを言った
この演出は素直に良いと思いました。
🔵これはジャスティスリーグじゃない
ファン(の中のカルト過激派とアンチ)が「これはもう事実上のジャスティスリーグだ」「否、こんなものをジャスティスリーグとして認められるか」という論争を起こす前に。
映画の中でバリーが自分から「僕たちはジャスティスリーグを名乗れるようなチームじゃない」と言いました。これは監督はじめ制作サイドの、ザックのジャスティスリーグへの敬意の表れだと私は解釈しました。
このセリフ選びは慎重で、愛があって、同時に分別もあって、良いと思いました。
▼悪かったところ:
さて、お待ちかねの(?)あまり感心しなかったポイントです!
🔴バットフレックの扱いは最悪!
バットフレックの扱いには全く満足できていません。
私はあの下着か網タイツみたいなスーツはクソダサイと思いますし、ジョスティスリーグでアクアマンがやらされたギャグ担当を押し付けられてドチャクソ不快でした。ワンダーウーマンの真実の縄でスケベがバレるのはまだしも、「覆面は心の弱さを隠すためだ」とか、マジで要りません。本作は最初からスナイダーバースじゃないと認識してたから大目に見てやりますが、思い出すだけでイラつくらいには不愉快な描写でした。
そして気になったのは良すぎる運動神経ですよね。ザックの世界線のブルースにあんな動きは不可能です。体操などのオリンピック選手なら出来るかもしれないギリギリのラインを攻めるのがスナイダーバースでした。今作のバッツはどちらかというと90年代のアニメシリーズの動きですし、言うならばこれはバットマンじゃなくて『黒いアイアンスーツを着たスパイダーマン』なんですよねー。そうなると、いくら格好良くてもコレジャナイという感情は生まれてしまいます。
そしてラストにはバリーの父を救う代償として、アフレックからクルーニーに変更されてしまいました。これにより、この世界ではバットフレックは永遠に消滅したことになります。RIPバットフレック。安らかに眠れ。
どうでも良いんですけど、これで『アクアマン2(The Lost Kingdom)』はこのまま乳首おじさんが復活するんですかね。(苦笑)
🔴脚本が悪すぎる
そもそも脚本とストーリーについては、試写会で観たという方がTwitterで「私が書いた二次創作のような脚本だ」と、褒める文脈で言ってた(ファン心理を理解してると褒めていた)のですが、私はその感想を読んだ瞬間から「こりゃダメな映画かもしれん」と期待値が爆下がりしていました。ファンが見たいあれもこれもを詰め込んだ映画は締まりがなく散漫とした凡作になりがちですから。
果たして、公開日に劇場で観たら、予想を良い意味で裏切られてストーリーは良いと思いました。何より他の全ての要素を捨ててまでバリーの心境変化に寄り添って、彼の重すぎる決断を描き切ったことに私は好印象を持ちました。
ただ脚本は本当に酷いと思いました。見せたいギャグをあれもこれもと詰め込んで収拾のつかない、矛盾と破綻だらけの脚本でした。おそらく制作過程で何度も路線変更やリライトがかかり結果的にパッチワークのフランケンシュタインみたいなことになってしまったのだと思います。そういう状況で唯一守れたのがバリーと母親のドラマだったんでしょうね…と監督と脚本家に同情します。
なんというか、『ザ・フラッシュ』はムスキエティ監督版の『レディ・プレイヤー・ワン』って感じなんですよね。とにかく小ネタやゲスト出演が多い。そしてスピルバーグがキューブリックに執着して「あの映画」をそっくり脱構築したように、ムスキエティはザックに憧れて『マン・オブ・スティール』をフィーチャーしたのかな、という感じですね。そのモチベーション自体は少年のようで美談なのですが、映画の脚本として洗練されているかは別問題です。
それと『ザ・フラッシュ』が過激派も穏健派も問わずスナイダーカルトから広く嫌われるのは、映画のメッセージが説教臭いからでしょう。「過去の間違いを正そうとしても不可能だ」というエスプリが「過去にザックを捨てたのは間違いだったけど今更スナイダーバースには戻せないんだから諦めろ」という当て擦りに聞こえても仕方ありません。
🟡シュレーディンガーの猫か?
おそらく脚本の二転三転の影響だと思うのですが、バットフレックとフラッシュは2017年版ジョスティスリーグの世界線から来たのか、2021年版スナイダーカットの世界線から来たのか、場面ごと描画されるごとに状態が遷移するというまるで「シュレーディンガーの猫」のような挙動をしていました。
うーん、バリーがもともと量子力学に造詣が深いという描写はスナイダーカットを中心に多くありましたが、本作では微細な振動で壁を通り抜けるだけでなく、映画全体のメタ構造でこのような物理ネタをかましてくるとは?(笑)
私はあらかじめこの量子力学的な挙動(曖昧さ;いい加減さ)に心構えして劇場入りしたので平気でしたが、ソリッドな古典物理学的な解決(スナイダーバースかハマダバースかはっきりしろ)を期待していた人達にはツライ経験になったでしょうね。
🔴無意味なサプライズが多すぎる
本作について強く気になったのはリークされてるサプライズ要素がどれも「どうでもいいオマケ要素」ばかりだったことです。
MCUがフェイズ2の作品群ですっかり定着させた感のあるサプライズ演出ですが、MCUのサプライズが良かったのは物語や次回作に繋がる内容だったからです。次回予告を本編やポストクレジットのゲスト出演で描いてるから意味があるわけで。
そうでなければサプライズはただの余計な逸話に過ぎません。ただでさえ長尺化の傾向あるヒーロー映画では積極的に控えていただきたい要素だったりします。
その瞬間は楽しいんですけどね。
でも、その瞬間だけじゃん。
すごく悪意のある受け取り方をするなら、サフラン&ガンからの決意表明だとも受け取れますよね。「過去のキャストを全部出してマルチバースごとぶつけて全て破壊しちゃうんだから。もうDCUに過去のあの人を出せなんて言わせないぞ!」今作でサプライズとして過去作品を出し切っておけば、新スタートするDCUでは過去のレジェンドを出さない口実にできそうな気もします。
🟡落雷の設定がムチャすぎる
ヤングバリーが落雷に打たれて能力を得る流れは良かったです。
でも交換条件でシニアバリーが能力を失うのは全く理解できません。(笑)
驚くべきは、そこから更にもう一度薬品をぶちまけて雷に打たれて能力を取り戻したことです。いよいよ意味が分かりません。分量とかどうやって計算したんだよ。そんなだからアメリカはBBQやハンバーガーのような大雑把な料理しか出来なくて、日本料理の繊細な味に一生勝てないんだよ。
大体そんなことができるなら世界中の軍隊で採用して「超速の戦士」を大量生産する可能性さえありそうですね。ユニバーサルソルジャーみたいな。
いやー、よかった点として書いたようにこれがレゴバットマンなら全然アリな脚本なので、コミックブックでもありそうだし、物語を進める上で必要なのは解るのですが。
なんか「ザックのようなビジュアル」を撮りたかったムスキエティの願望を実現しただけのような気さえします。(笑)
🔴カーラはなぜ一度帰ったのか
一度の落雷でシニアバリーは能力復活できず、バリーは再試行を要求するも回路がショートして不可能になります。その時バリーは、カーラに抱き抱えられて雲の中まで上昇して、そこで雷に直撃して能力を取り戻します。
ちょっと待って。
カーラ、なぜ君がここに居るんや?
君はついさっき、ウェイン邸の屋上でしっかり日光浴してパワー全開になり、地球人など知るかと啖呵を切ってゾッド将軍と米軍が対峙する砂漠まで行ったじゃない。なんならそこでゾッド将軍と会話してカル=エルの秘密を聞いてたじゃん。
そこで「DNAはお前の中だ」と言われるのも、カル=エルの両親もカーラの両親もどんなレベルのうっかりさんなんだよと気になりますが、まあ今は良しとしましょう。
そこから、なにしれっとウェイン邸まで帰ってるの???
一人じゃ戦えないから戻ってきたという説明ありましたっけ?
もう米軍に犠牲者が大量に出る死闘(昼)が始まってるのに、カーラはゴッサムシティまで帰ってきて、シニアバリーの能力開発(夜)に付き合って、ヤングバリーがバットスーツをカスタマイズするのを待って、それから砂漠(昼)に帰ってきたの?
いくらなんでも、のんびりしすぎじゃない?(苦笑)
こういう昼と夜がコロコロ変わる演出は、同じく脚本がめちゃくちゃにされたデヴィッド・エアー監督の『スーサイド・スクワッド』でも起きた現象でした。あれも時間経過が意味不明すぎて気持ちが乗りませんでした。
🟡キートンの登場で、母の名をさけぶ
Twitterでも「アンパンマン」と聞こえると話題になりましたが…
私が気にしたのはそこではなくて、長髪で髭面のブルース(キートン)が初登場するシーンです。
この場面は2人のバリーがウェイン邸のキッチンに忍び込んだところで、ブルースから問答無用にカンフーで襲われる場面です。
まずブルースに言いたいのは、そんな手荒く対処するなら、最初にゲートを開けて侵入してきた時点でもっと紳士的に対応しろよ、というのが一点。なんでキッチンで食事の支度をしながらのんびり待ってて、部屋に入って来たら慌てて掃除道具に隠れて奇襲をかけるんだよ。(笑)
ブルースがモップを棍棒のように振り回すとシニアバリー(能力なし)は全部まともに食らって悶絶します。一方でヤングバリーは全てスピードフォースを使って避けていきます。途中でブルースが投げるフォークを『ZSJL』での手裏剣と全く同じ動きで避けるショットもありました。
次にバリーの問題行動です。なんと襲われた直後に「マーサ!」と叫びます。これは『BvS』でブルースとクラークが和解するくだりを弄ってるのがファンからすれば直ぐ解る案件です。たぶんブルースやクラークが笑い話にしてあの時の決闘のことを話してたからバリーも知っていたのかな、などと想像して楽める要素です。
しかし実はこの時点でバリーとヤングバリー(と観客)はこの長髪で髭面の男がブルースだとは認知してないのです。
映画公開までキートンのビジュアルは、あくまでバートン版『バットマン』と同じ髪型で白髪になっただけでした。バリーも想定してたのはベン・アフレックの姿だったはずです。そこにとてもブルースには見えない謎の長髪白髪男(キートンとアフレックのどちらにも似てない)、もしかしたらウェイン邸に忍び込んだ泥棒かもしれない男に急に襲われている場面なのです。そこで謎の男に向かって「マーサ!」と叫ぶ意味ってあるんですかね?(苦笑)
だからもうこれは質の悪いオマージュでありパロディなんですよねー。
🟡公開前の宣伝文句で煽りすぎ
公開前には「ヒーロー映画史上最高傑作」という強気なキャッチコピーが話題になった本作。しかし結果的にはTwitter民を中心に、今後ずっと弄られそうなネタをDCフィルムズとワーナーは提供することになってしまいました。
これはただの邪推なんですが…今回『ザ・フラッシュ』の試写会当選者はすごく多かったような気がしていて。なんか公開直後に劇場に来てくれる熱心なファンにSNSで低評価を書かれないための作戦のような気がしています。招待されたら、嘘でも褒めるとまでは行かずとも、少なくとも悪口は書けない気分にはなりますからね。
ただ試写会に行かれた方の感想ツイートを読むと、ラストシーンとエンドクレジットとポストクレジットが丸々カットされていたようで、アフレックとモモアの古参ファンの逆鱗に触れてしまう要素は削られていたのかなあとは思いますね。
🟡お腹はもう減らないのか?
映画の最序盤で、どういう仕組みなのか解りませんがフラッシュのスーツにはロックマンみたいな体力ゲージがあって、ご飯を食べるとリアルタイムに反映されます。そうだよね、お腹減るよね、くらいに楽しんで見ていたのですが…
映画のクライマックスで、ヤングバリーは白髪になって体に付着したゴミが積もり積もるまで推定何十年もスピードフォースを走り続けます。
いつご飯食べたの???(笑)
🟡スピードフォースのデザイン
私が本作への酷評レビューで一つだけ共感できないのが「CGが酷かった」という意見です。どこのことを言ってるのでしょうか?ちゃんとお金かかって高クオリティでしたよ?
おそらく殆どの人達が批判しているのはスピードフォースで見える景色でしょう。でもそこは現実世界じゃないですから、わざと歪めたり、蝋人形みたいな不気味なテクスチャにしたりして、普通じゃない雰囲気を演出していたじゃないですか。そこを攻撃するのは違うと思いますね。
なんというか「デザインが好みじゃない」ことと「作りあがりの品質が低い」ことを混同したコメントが多いような気は少しします。本作はVFXの作業工数はかかってそうな気がしたので。ちゃんとデザインが嫌いだと言ってあげてほしいです。でなければ監督の指示通りに作業したスタッフの皆さんが気の毒で。
直射日光でヒーローのコスチュームがダサく見えるのはCGのせいじゃなくて、そもそもコスチュームデザインの限界でしょう。『アベンジャーズ1』だってキャプテンアメリカの派手スーツをネタにしていたのを皆さん忘れましたか?(まあ本作でもバットフレックの網タイツみたいなスーツだけはマジで死ぬほどダサイと思いましたが、他はノーコメントでw)
とはいえ今作のスピードフォースは歪め方が中途半端で、狙ってやっているのが判りにくかったのは否めませんね。
特にクライマックスでマルチバース同士が接近して衝突するシーンは、もっとメタ的なデザインでも良かったと思うなあ。一瞬だけ声が聞こえるアダム・ウエストが走っている姿が少しだけ映る瞬間は、球体の表面に走るフィルム見たいなデザインになってて良いと思いました。そういうアートに振り切った演出が欲しかったですね。同時期に『アクロス・ザ・スパイダーバース』が上映中なだけに、余計に本作の中途半端なリアル路線が感じられやすくなっていました。
🟡謎のLGBT匂わせ
エズラ・ミラー本人がクィアなのは有名ですが、バリー・アレンもそうでしたっけ?
今作では、幼少期のバリーもどこか中性的でした。最近日本でスマッシュヒットをかましているあの作品の少年とも雰囲気が似ていますよね。(笑)
そして、何よりも変だったのが、バリーが母に会う前に道端の老夫婦から服を強奪する場面がありまして(てゆうかヒーローがそんなことしていいのかよ;でもレゴだったら許せるw)、そこで何故かバリーはおばあさんのカーディガンを奪うんですよね。
あれ、何なの???
別に良いけど、なんか変だぞ。(困惑)
▼まとめ:
とまあ、いろいろ不満点も書きましたけど。
最初に言ったとおりに、私は実写版レゴバットマンとして気楽に観覧していたので、全体的には楽しめました。(今更こんなこと書いても信用してもらえないかなw)
特に、最近のマンネリ傾向のあるヒーロー映画の中においては、主人公一人(二人?)のパーソナルとドラマにとことんフォーカスした本作は、強く印象に残る良作として私の胸に刻まれたと思います。
了。