柄谷行人 トランスクリティーク 感想やらメモやら
哲学史や哲学入門書とは打って変わって、本格的な哲学書の何たるかはその難解さに現れやすい。哲学をするとは、これまで認識されていなかった概念を想像することであるから、もっぱら抽象的な行いである。私たちの日常生活の舞台においてほとんど現れないことや、現れたと認識されていないことを語るこの行いは、意識して考えていない状態の人間にとって、ことさらに距離の遠い行為である。さらに言うなら考えているはずの人間にとっても遠いことである。私たちはなんだって自分にひきつけつけて、自分との連関の中で