『ひだまりが聴こえる』7話(日本/テレビドラマ/2024)
中学卒業時に患った突発性難聴のせいで人と距離を置いて付き合うようになった杉原航平役を中沢元紀、航平と偶然に大学のキャンパス内で出会い、授業補佐のためのノートテイクを引き受けて仲良くなる佐川太一役に小林虎之介。
5話から6話で一気にBLモードになったと思ったけど、そのまま加速度的に二人が接近するわけでもなく、あんなことがあったあともまだお互いの気持ちをはっきり確かめ合うところまでもいかないというスローペースな展開。またそれがなかなかいい感じです。
川崎鷹也『夕陽の上』MVの中沢元紀くんも素敵
ドラマのエンディング曲の川崎鷹也『夕陽の上』のMVに中沢くんが出ていると聞いて見てみた。ハスキーで伸びのある柔らかな川崎鷹也の歌声と中沢くんの雰囲気がすごくあっていて素敵。でも、叶わなかった恋の思い出を歌うこの曲聞いたら、これから二人どうなるのかなぁ・・・と、ちょっと悲しくなった。原作をよんでいないとこういう不安に駆られることになる(まぁ、ドラマと原作が必ずしも同じ筋書きにならないこともあるようだから、原作を読んで気に入っていればいたでまた心配はあるのかもしれないけれど)。プラトニックラブが見たいと前回書いたけれど、それはいつしか別れに繋がる気もして、この曲聴いていたらなんだか悲しくなってしまった・・・。
中沢くんのあっさりした顔、優しい笑顔や雰囲気に最近すっかりハマってしまっている。朝ドラ似合いそうだなぁと思っていたら、本当に出演するらしい!おめでとう!
あらすじ
新学期、新入生のマヤと偶然知り合った太一。彼女は航平と同じように難聴で、航平が家庭教師をしていたのだった。親しくする二人の姿を見て、太一は複雑な心境になる。そのマヤは以前から太一について航平から話を聞いていた。太一の航平との関わり方が何かと気に入らないマヤは、会うたびに太一にきつい言葉を投げつけ、航平と太一の間に割って入る。
マヤの存在もあって、太一は航平となかなか会えず、新学期の授業選択についても相談したいがそれも進まず、会うたびにマヤから心ない言葉を聞かされて悶々としていた。一方航平はそんなことに気付かず、日を追うごとに太一への想いを募らせていた。
感想
いきなりだけど、この7話はしばらく見返したくない!少なくともマヤの部分は。
しっかり全体を見返さない結果、上記のあらすじもいつもより短めになってしまいました。
このドラマがどんどん好きになって、見返せるものはもう何度も見てきた。1話からすごくいいBLドラマってそれほど多くない気がするのだけれど、このドラマは1話からとてもいい(1話から3話は無料で見られます)ので、1話だって何度も見た。それなのに・・・。
6話から1週間長かった。やっと7話を見られたのに、強烈なマヤの言動にムカムカしてしまって、7話は見返したくない気分・・・。予告で覚悟はしていたものの、さらに上をいったマヤの言動だった。突発性難聴や障害者ということとは別に、マヤの言動が好きではないので見ていて辛い。障害の有無の問題ではない。障害がない人にもこういう人はいる。自分がすごーく辛い経験をしていて、「みんな気楽でいいわね。私なんてこんなに辛い経験してきたのよ。あなたなんて苦労知らずで何にも知らないでしょ・・・」って、ある意味、他人を見下しているような人。そして、自分は人より辛い経験をしてきたからその分少々きつい言動をとっても許されるはずとなぜか思い込んでいて、そのことと関係のない人に対してまで牙を向く人。障害があるなし関係なく、こういう人ってたまにいる。マヤって、手話サークルの子達のことも気に入らないんだろうなぁ・・・。
周りから助けてもらっていることに感謝と気兼ねをした結果”弱くて控えめな”立場に陥ってしまう障害者ではなく、不満や怒りもあるし、気に入らなければ悪態もつくという普通の姿を描くためのキャラなのかなぁと、今これを書きながら思うけれど、今までドラマの中の人がいい人たちだったので、この強烈キャラ・マヤが辛い。少なくとも、今は見るのが辛い。
そんなこととは別に太一が好きすぎる航平
ヨコやヤスに誘われて映研の新入生部員との飲み会に参加した航平とマヤ。新入生の女子と話で盛り上がる太一を見て、航平が二人の会話を”邪魔”していたのが可愛かった。誰かのりうつったのかと思うくらいに別人のように明るく”邪魔”。太一並に私も唖然とした。あなた、誰?
太一の「えー・・・それ・・・何なん?」みたいな表情がいい顔してた。
こういうシーンって、滑稽さを表すために明るめ軽めのBGMが入ったりすることもよくあるけど、ここはそういうのはなかった。
そういえば6話のキャンプのシーンで、泊まった翌朝男子4人が外で歯磨きをするシーンがあり、新緑がとても美しかったあのシーンもBGMがなかったと思う。特に盛り上がる展開があるシーンではないのに思ったより長めで、自然の音と4人の何気ない会話とだけだったと思う。BLドラマのワンシーンとしては面白い映像だなぁと感じた。
このドラマは全体的にBGMがあまり多用されていない(もしくはあまり目立たない)気がして、そこがとても新鮮だ。聴力というもを題材にしているからだろうか。
飲み会の帰り道、”太一と話していたあの新入生みたいなタイプが好みなのか?”とマヤに尋ねられた航平は、気持ちを吐露していた。
「俺、性格ひねくれてるからね。太一のよさに気づかれたら困るから・・・。いつ、誰が気づくかって、気が気じゃないんだ、本当は・・・」
ちょっと!何こんなところでマヤ相手に恋心語ってんのよ!そんなに好きならもうちょっとなんとかしなさいよ。航平があっさりした顔であっさりした対応だから、太一泣きそうだよ、航平。
大体、マヤが登場したこの回の航平は太一に対して言葉が足りない。太一が女の子と楽しくやっていると気に入らなくてムッとするくせに、自分はマヤの面倒ばかり見て、目の前にいる太一への言葉が足りない。マヤの強気に押されて声もかけそびれて太一の前から去っていく航平を見ると、太一が可哀想になる。マヤの言いなりになってないで、太一にちゃんと声かけてやって・・・。
そういえばお母さんが新しい色違いのお弁当箱を2個買ってきてくれて、それを”お揃いだ”みたいに眺めていたシーンもあったけど、一応ノートテイクのお礼として始まったお弁当ランチなんだから、早く一緒に新学期の授業をとる相談してノートテイカーとしての太一を確保しなさいよ!
と、航平にいろいろ発破をかけたくなったわけですが、太一のことになるとちょっと変な感じになる航平も好きです。
どう見ても、マヤに勝ち目はない
マヤは太一に対して、ノートテイクが下手、アンタが先輩のためになにができるのか、難聴や障害のことを分かったような事を言う人が一番ムカつく、ノートテイクの代わりにお弁当もらうなんて”タカリ”だ、などと暴言を浴びせる。太一の友人ヨコについても、なんの悩みもなさそうで気楽なんだろう、どんな人生を送ってきたか想像がつくなどと、思いやりのない言葉を吐く。暴言を吐いて立ち去ろうとしたマヤに太一が言った。「苦労してないなんて勝手に決めつけんなよ。よく知りもしないのに、お前の物差しで勝手に人の人生計るんじやねえよ。」太一が言ってくれて、私は救われた。
おそらくマヤは同じ病を抱えて苦しむ自分の方が、航平の気持ちを理解できるし、必要な事をわかってあげられるし、助けてあげられると思っているのだろう。お気楽そうで明るい太一より、同じ悩みをずっと抱えて辛い思いをしてきた自分の方が航平に相応しいと。太一には何もできないと。
ただ、航平が太一を好きなのは、太一が航平の辛さや喜びを全て理解できるからではないし、必要な事を全てわかっていつも助けを提供してくれるからではない。太一が自分の全てを理解してくれるから、同じ悩みを抱えているから、太一に何かしてもらえるから、太一が役に立つから、条件が合うから好きなわけではない。
一生懸命やってくれるけどノートテイクは今ひとつな太一。お弁当をおいしそうに食べる太一。聞き取りやすいよく通る声。その声で、聞こえない事で負い目を感じるな、何度でも聞き返せと言ってくれた太一。両親から拒絶されるという辛い経験をしても、明るさを失わない元気な太一。自分を弱いもの扱いせず、気に入らないことがあれば遠慮せずにまっすぐ伝えてくる太一。鈍感な太一。ちょっと無防備に見えるほど自分の前で自然体な太一。
マヤが太一を否定する理由は、航平が太一を好きな理由と噛み合わない。
だから、マヤがどれだけ航平に対して太一を否定したとしても、航平の気持ちは太一から離れられないだろう。
航平は太一みたいなタイプが好きなのではなく、太一が好きなのだ。恋は理屈ではない。
可愛かった太一を思い出して8話に期待する
ヨコとヤスが、”太一と航平は時々すごく険悪なムードになるのに、いつの間にか仲直りしてて不思議だ、どうなってるのか?”と聞いたシーンの太一が可愛かった。この間はどうやって仲直りしたのか?と聞かれて、太一があの5話の階段踊り場シーンを思い出して、恥ずかしくなってシラバスの冊子で顔を隠したシーンが可愛かった。 ”耳赤いぞ” とか二人に言われて、"な、なんでもねぇよ!"とさらに深く冊子に顔を埋めていた。
7話は太一が辛い目に合うので見るのしんどい回だったけれど、可愛かった太一を思い出しながら、8話はもう少し航平と太一が仲良く過ごせることを期待して、1週間待ちます。