MBTI・16タイプで性格は確定しないし変わっていく~年齢とタイプ特徴~
こちらの記事を見て、とても同意した。また、多くの人に言われていることではないかと思う。MBTI公式も、未成年など、人格が成熟しないうちに受講することは未推奨だそう。
MBTIと16タイプは類似しても異なるものだが、最近は街を歩けば、16タイプを診断して、どのタイプがどうとか、あいつのタイプがどうとか語っている女子高生・女子大生を多く見かける。多様な性格の理解についてはメリットはあるが、自分のタイプにとらわれて自分を檻に閉じ込めないようにしてもらいたいものである。
そうした願いをこめて、年齢の切り口で、若年層に限らず考察していきたい。
若年層とタイプ
繰り返すようだが、MBTI公式では成熟していない人がタイプ判定することを推奨しない。また、類似の各16タイプについても、同様に考えたほうがいいかもしれないと思っている。(まあ、そもそもネットで簡単に診断してあれこれ書いてある特徴を丸っと飲み込むこと自体よくないが、他の記事でも言っているので割愛する)もう少し言えば、若ければ若いほど、性格・人格の変動可能性は大いにあるのである。
教育関係の大学などに行けば必修となりがちなのが、発達心理学という分野である。この分野で昔から明かされていることだが、人間は生涯を通じて心理・精神・理性などを充実させていく。成人した後、社会に出てからも青年期の発達課題は存在し、それがいつまでたってもクリアされなければ、いい言い方をすれば若々しい、悪い言い方をすればいつまでも幼い幼稚な大人の完成である。
また、これは一部の学者による仮説だが、近年じわじわと、発達課題の達成の遅れのような現象が見られるそうである。これには、各先進国の社会的経済・文化などの発達によるものと考えられている。
このような状況から、若年期のタイプとの付き合い方を考えると、少なくとも社会人になるまで、あるいは、20代であるうちは、タイプは参考程度しかない、ということを心に留めておくべきだと思う。自分のタイプの特徴について調べて、あんなことやこんなことが書いてあって、たとえ内容に心当たりがあったとしても、自分と似ている人間の一例でしかない。
実際のところ、私自身もINFJの自認が高まったのは20代中盤になってからであり、それまではINTPやINFPなどと16タイプ診断で出ることが多かった。また、INFPが一番多く出たこと、自分の長所短所を見れておらず、認知のゆがみなどもあって、INFPだと長らく思っていた。しかし、自分の社会に出てからの経験や、過去の自分の経験を照らし合わせた結果、INFJのほうが近いという結論に至った。
note上にMBTIや16タイプをのせて発信している方の中でも、20代が圧倒的に多いのでは、と予想している。特に、生き辛さを発信している人たちも、10代~30代前半の方が多いのではないだろうか。
また、タイプが変わったという記事を書いている方も、20代から30代前半ではないだろうか。人生の中の大きなイベント(進学・就職・転職・結婚・出産)でタイプが変わった、と言っている方が多いだろう。
大きなイベントでタイプが変わったという方々に注意していただきたいのは、周囲の環境の変化によって、自己投影されてしまっているパターン、あるいは強いストレスによって思考が引っ張られているパターンである。
前者については、特に進学や就職・転職によって、人間関係が変わり、周囲にいる人に同調するように適応したおかげで、性格が変わった、と思うことである。実際に表面上の性格は変わったかもしれないが、自分の本来のタイプが持つ心理機能、また自分の能力を駆使して、他人についていくように適応していることもあり得るのではなかろうか。
後者についても、発達障害と各タイプの相関関係がある程度見られるのではないかという噂程度に過ぎないかもしれないが、精神疾患とのかかわりもあるのではないかと考えている。自身のメンタル・思考が正常に動いていないときに自分のタイプを考えても、正確にはつかめないのである。
上記に共通して言えるのは、イベントを経てタイプが変わったと思った際、自分自身の本来のタイプになったんだ、と安易に思い込まないことが重要である。一時的にこういう性格をしているけど、ストレスや環境により本来とは違う性格が表出している可能性も持つべきだろう。
したがって、30代前半までは、自己理解や振り返りにはMBTI・16タイプなどは、参考にはなるかもしれないが、あくまでも確定したものと思わないほうがためになると考える。(ちなみに私はまだ20代である)
若年以降とタイプ
noteにおけるMBTIやタイプを題材としている人は若年層が多い、という話もしたが、なかにはある程度経験をされている方もいる。こうしたかたの中にも、「生きづらさ」などを題材としている人はいなくもないが、どちらかというと、「昔は生きづらかった」といったニュアンスで投稿している方が多いように思う。
また、一般的には生きづらいとされているタイプであるが、正直驚いてしまうような経歴、素晴らしい実績などを持っているかたもnoteに居たり、実際にあったこともある。noteには生きづらいとされるタイプの方が多くいて、生き辛さに関する記事も多くあるが、実際問題として、生きづらいタイプでもそうした行動をとっていない方はかなり多いのではないかと考える。
noteなどのSNSで考えるにはサンプル数が少ない。実際には半分以上の人が生きづらいなどと発信しても、そこまで思ってもいないのかもしれない。そもそも「生きづらい」タイプなど存在しない可能性もあるのである。
また、かなり年齢を重ねた40以降・50以上の方々には、MBTI・16タイプの各タイプの特徴がほとんど感じられない、あるいは、あらゆるタイプの特徴を持っている方が一定数存在する。実際、私の職場には、尊敬できる部分を多く持ち合わせているが、性格やタイプに関して聞かれれば、何とも言えない、ただ隠しているわけではなく、強烈な性格を持っている上司がいる。こうした人に話を聞いてみると、大変な経験を乗り越えたうえで、自分の特異なアイデンティティを見つけ、それを武器にしながらどこまでも努力している方が多いように思う。こうした、何のタイプなのかよくわからない人もとくに人生経験のある方ほど、結構存在するのである。
MBTIのおおもと、ユングのタイプ論の根幹は、心理機能とその成熟だと考える。人間は生涯を通じて、困難の解決のために様々な方法を学習していく。各タイプには、得意な心理機能、苦手な心理機能などあるが、有意な心理機能を暴走させず、苦手な心理機能が足を引っ張らないようになっていくのが、より健全な成熟なのだろう。心理機能について考えれば、苦手な心理機能が足を引っ張らない状態、というのがポイントで、この辺りをしっかり達成すれば、自分のタイプが苦手としている困難な課題についても、その対応がやりやすくなるのではないだろうかと考える。結果として、一般的に「向いてない」と言われるような仕事ができるようになっていたり、非常にたくさんの技術・技能、また崩れないメンタルを手に入れた結果、どのタイプなのか判定が簡単にはできないような人が誕生するのではないだろうか。(ただし、肉体の老化は引き換えなのかもしれない。)
こうした心理機能の成熟は、ある意味「精神年齢」とも似ているのかもしれない。自分の苦手が克服されることで、自分のタイプが苦手とする他のタイプに関しても寛容になっていくのではないかと考える。
どういうタイプでも、精神年齢は成熟し、その個人差が生まれるのではないかと考えている。
言い方はよくないのかもしれないが、あまりにタイプの特徴が出過ぎて暴走しているような人は、精神年齢が低いのかもしれない。
ただし、自身の得意な心理機能を強く駆使して、かなりの実績を出している人もいると思うので、一概に良い悪いでは判断は難しい。実際、著名人の中には、子どもっぽさを見せるような人もかなりいるのではないかと思う。その個性を輝かせて、前へ進んでいくことも可能なのだろう。
最後に言いたかったこと
どういう結論に着地させたかったのかというと、タイプ判定結果で自己限定しないでほしい、ということである。生きづらい人は、抜け出せるし、それ以外で困難を抱えている人も、経験によってカバーできる可能性はある。
タイプそれぞれに、得意になりやすいこと、苦手になりやすいことがある。ただそれは目の前に転がっている壁・課題であって、乗り越える方法はいろいろあるのだと思う。
私も気を付けなければいけないし、過去の自分に釘を刺すような言葉だと思うが、あふれかえっている情報に踊らされ、引っ張られ、良くない方向に自己暗示してしまってはよくない。あるあるばかり当てはまっていき、特徴が特にない、ただのINFJになってしまいかねないのである。