全く、ネガティブを自称する奴の傲慢さには呆れてしまうね。奴らは自分を卑下することがまるで快感なんだろう。ぼくはダメだ、社会不適合者だ、落ちこぼれだ、クズだ……、なんて聞いてるこっちも不愉快になるようなことを神妙な顔してボソボソ言いながら、手だけは忙しそうにせかせか動かして特盛りの牛丼なんかペロリと平らげてしまいやがる。奴ら他人の言葉なんか聞いちゃいねえんだ。こっちは気を使って慰めたり明るい話題を考えたりしてるのに、ダメだダメだって不幸暗澹のぬるま湯に気持ちよく浸かって出てきやしねえ。なんなら一杯飲んでホロ酔い気分くらいなもんさ。大体ネガティブな奴らほど図太いんだ。心折られる前に自分から折ってしまうから、周りに何されようと何が起ころうとびくともしねえ。最悪の事態しか想定しねえ、だから何が起きても想定通りってなもんだ。ったく気分が悪い奴らだよ。凹ませてやりたくても、自分で好き好んで地べたを這いずり回ってやがるから凹ませようがねえ。死にたい死にたいと年がら年中ほざいてるのに、一向に死にやしねえじゃねえか。逆に何もかも手に入れた成功者の筈のあいつが、あんなに明るくて気持ちいい奴だったあいつが、一度の失敗であっさり電車に轢かれちまいやがった。ポジティブって何だろうな。ネガティブって何だろうな。生き残ってる奴を強いと言うのなら、自分が嫌いで、自分にも他人にも何も期待してなくて、不幸を当然のように受け入れている奴らこそが、負け切ってるが故にもう負けることがない、真の強者なのかも知れねえな。