食って寝て出して。それだけを繰り返して順調に分解されていく。理想の生き方、それは死に方。残るのは、ここに何かがあった、という感覚だけ。世界をほんの少しだけ汚した染み、それがこのバカを、語り得る全てであればいい。それでいい。少しだけ話して、少しだけ書いた。少しだけ大気を揺らして、少しだけ自由に色をつけた。この世界に。世界が連続するならば、だけど。見えないほど、その隙間が薄いのならば、希望だって、居てもいい。ここと、そこに、居てもいいよ。あるとき、あるところに、バカが一匹あったとさ。バカは考えた。何も考えたくないと、考えた。この世界を、なるべく汚したくないと、考えて、考えて、夢を見ることに、したんだとさ。だってバカだから、夢見るくらいしか、出来ないし。夢を見ようと、していたんだよ。矛盾だらけでも、いい。夢だから、いい。
意図的な堕落、必然的な自己破壊、相対主義からの逃避。世界が美しくあるために、彼は醜く愚かでなければならなかった。