母親の愛 -すべての受験生たちへ-
人の見える範囲なんて、たかがしれている。
ぼくはときどき、そう思う。人間の目はどう頑張っても、動かなければ120度くらいの範囲しか見えない(いや、もっと狭いのかもしれない)。よって鏡などを使わなければ、どんどん無残にも抜け落ちていく、ぼくのてっぺん禿げをみることはできない(それは見たくないものだ)。
このように人には必ず死角というものがある。それはほかのものにも例えることができる。
例えば、ぼくは長いこと出雲神話の真実にたどり着くために、いろいろ調べてきた(四半世紀もだ!)。そのためにいろいろな神社も歩き回った。しかし、出雲神話と関係ないと思われる神社や寺はほとんど見に行っていない。つまりは、そこのへんのことはごっそり抜け落ちているのである。
今年の正月、息子の大学受験の合格祈願に菅原天満宮を詣でた。
もちろん、当然ながら菅原天満宮は知っていた。知ってはいたが、出雲の神様とあまり関係ないので、詣でることはなかった。菅原天満宮とは学問の神様・菅原道真公を祀った天満宮。菅原道真といえば、福岡の太宰府天満宮が有名だ。
菅原道真は大宰府で不遇の死を迎えたのだから、そこに菅原道真の魂を沈めるのは当然だろう。ということは、なにか訳あって、菅原天満宮に分祀でもしたのかぐらいに思っていた。
ところが、菅原天満宮は菅原道真公の出生の地であるという。
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出雲神話でこどもを置いて帰った神様といえば、矢上比売(やがみひめ)だろう。
矢上比売は大国主命の最初の奥さん。因幡の白兎の予言の通り、大国主命は矢上比売を娶ることができた。
しかし兄神達の嫉妬にあい、大国主命は殺されそうになる(実際は何度も殺された)。そこで母神が大国主命を逃がしてやるが、兄神達は執拗に大国主命の命を狙って追ってくる(どんだけ矢上比売を娶られたことが悔しかったんだろ)。
そこで、大国主命は出雲のスサノオを頼って、出雲にやってくる。そこで出会ったのがスサノオの娘・スセリヒメ。一目で二人とも恋に落ちてしまった。
さて、ここで因幡の矢上比売が登場する。実は矢上比売は既に大国主命の子を生んでいたのである。大国主命が出雲に帰ってきていると聞こえ聞き、因幡からこどもをつれて出雲の地に矢上比売はやってくる。
すると、そこには既に正妻・スセリヒメを娶っていた大国主命がいたのである。
スセリヒメはとても嫉妬深い方で、大国主命の矢上比売の存在を許すはずがなかった。そこで矢上比売は諦めて、因幡の国に帰ってしまう。そのとき、出雲の木の俣にこどもをそっと置いて帰ったという。
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ひるがえって、菅原道真公も同じように母親によって(良かれと思ってだろうが)、父親の邸宅に(それも梅の木の下に)置いて帰られてしまった。機縁というしかない。おそらく、その時の気持ちは矢上比売のものと同じものだっただろう。
その後、菅原道真公はその才能もあり、とんとん拍子に出世し右大臣にまで上り詰める。そして左大臣・藤原時平の政略により、身に覚えのない罪によって九州の太宰府に左遷させられ、その地で生涯を終えた。その際、道真公の左遷を悲しんで梅の木も一緒に九州についていったという。ひょっとして、ついていった梅の木は母の魂がこもっていたのかもしれない。
そんなありもしないことを考えてしまった。
出雲でも、先週は急に気温が上がり、梅の花が咲いたところもあったとか。
ところが今週はまた寒さが戻ってくるという。受験生の皆さんはこのような目まぐるしい天候で大変だったでしょうが、もうひとふんばり!
頑張ってください ♪
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今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
出雲にお越しの際は菅原天満宮や御井神社にもお立ち寄りください。
母親の愛がそこにはあることでしょう ♪
お待ちしています m(_ _)m
こちらでは出雲神話から青銅器の使い方を考えています。
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