10 学習障害に気づいたのは、英検3級を取った頃。
視覚も聴覚も苦手。
NHKのラジオ講座での英語の勉強は着々と進んでいたのに、問題は小学校の勉強の方でした。
娘は4年生になった頃から、算数の授業についていけなくなっていたんです。
「先生の言ってることがわからない。」
と、小学校1年生の時にラジオ講座を聞きながら言っていたようなことを、言い始めました。
3年生ぐらいまでは特に成績が悪いってこともなくて、普通にできてるとばっかり思ってたのに、そんなに算数が苦手な子なのかなと、その時は思いました。
しかし、実はもっと深刻な問題でした。
娘が本当に苦手なのは、文字を読むこと、話を聞くことだったんです。
後から考えてみると、保育園の頃までは絵本を読むのが大好きで、小学校に入ってからも低学年向けの本を積極的に読んでいました。
でも、2年生ぐらいからおかしなことに気づいたんです。
どうやら、読んでいるのは「 」の中の、会話文のみ。
なぜか地の文をほとんど読んでいないよう。
「なんちゅーものぐさな奴だ。」
とその時は思いました。
単に、めんどくさいから読んでないんだろうと。
しかし、改めて思い返すと、学年が上がるほどに活字を読まなくなっていっていました。
本や新聞はもちろん、漫画も読まない。
大好きだった小学生の女の子向けのファッション雑誌も、主に写真やイラストの部分だけ見ていたようです。
おそらく、学年が上がるごとに漢字が増えていったせいでした。
彼女にとって、ひらがなやカタカナまではよかったけど、漢字を読んで理解するのは、まったくできないわけではないけど、とても時間のかかることなんでしょう。
「 」の中だけ読んでいたのも、おそらく会話文はひらがながメインで、難しい言葉が少なかったから。
それだけ読んでいれば、物語の流れがだいたいわかったからじゃないかと思います。
グレーゾーンのあるあるだった。
高学年になるほど、それがはっきりしてきました。
算数も計算は一応できるけど、文章題の文章が理解できない。
また、読んで理解することだけでなく、耳から聞いて理解することも難しいので、算数などの苦手な授業で先生が話すことは、耳に入ってこないようでした。
確かに、
「あれとこれをしなさい。」
と言っても全然覚えていなかったり、話す文章に主語や肝心な言葉がなくて、何を言っているかわからないことが多かったりと、おかしな点はいろいろとありました。
ちょっとポンコツなだけ。
まだ小学校低学年だから。
本を読むのが好きじゃないだけ。
勉強は得意じゃないんだろう。
そんなふうに思って、それが学習障害によるものであることを見過ごしてしまってたのです。
後から知ったのは、こうやって学年が上がるほど問題が見えてくるのは、発達障害のグレーゾーンの子にはあるあるだということ。
当時は今から13年前、まだそこまでの情報はありませんでした。
英語はなぜできる?
それなのに英語はなぜ??って思いますよね。
おそらく、アルファベットは26文字しかなく、漢字のように複雑な文字じゃないからでしょう。
そして、聞くことが苦手なのに、なぜラジオ講座の会話文はどんどん聞いて覚えていたのか。
それはたぶん、好きだから。
好きで興味のあることなら、注意を集中して聞くことができるようです。
この辺がグレーゾーンの所以なんですね。
ちょうどこの頃、娘は「ラジオ英会話」のテキストに「英検」の広告があるのを見て、受けたいと言い出しました。
英検3級から受け始め、特別な勉強もせずに合格。
大好きな英語は順調に伸びていくのに、 肝心の学校の勉強はどんどんついていくのが難しくなるという矛盾した状況に、私は混乱していました。
「英語で勉強したい。」
それも、彼女にとっては英語の方が読みやすく、理解しやすいからかもしれない。
でも経済的に不可能だし、何より日本人なんだから日本語がちゃんとできるようにならないと。
何とか対策をしなくちゃ・・・。