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8 幼稚園のようなやり方で、高校のような学びをするサマースクール。

人種も何も関係ない。


小学校3年生で初めて体験した、特殊なバイリンガル教育の学校でのサマースクールは、娘にとっても私にとっても、未知の世界での本格的な第一歩でした。

当時ほとんど知られていない学校だったからか、参加していたのは娘のような学校外の子は少なく、多くが在学中の子どもたち。
それも、バイリンガル教育のために、日本と他の国のハーフの子が多かったのです。
アジア系、アフリカ系、欧米系など、さまざまな人種の子が日本語と英語を自在に話している姿に、娘も私も圧倒されました。


サマースクールは、英語と日本語の授業の割合を選べたので、娘は英語の授業のみを選択したところ、先生はイギリス人の男の先生で、一クラスは15人ほど。

学校外の子だからといって、特に娘が他の子に紹介されたりすることもなく、いつもいる生徒のような感じで普通に扱われ、クラスに入っていきました。


遊び=勉強だった。


いきなりあんな子たちの中に入ってどうなんだろう、大丈夫だろうか。
何しろ一年前はギャン泣きだったから・・・。

と、心配しながら夕方迎えに行くと、娘は生き生きした表情をしていました。

「どうだった?」
「楽しかった!」

「どんなことしたの?」
「一日中ずーーーっと遊んでたよ。」

「遊んでたの? 何して?」
「絵を描いたり、歌ったりした。」

ふうん、よく英会話教室でやるような感じね。
・・・と思うじゃないですか。
それが、描いた絵を見せてもらって
「えっ・・・?」
と言葉を失いました。


描かれていたのは、地球の断面図。
「地殻」とか「コア」とか「パンゲア」とかいった言葉が、英語で書かれていました。
「は? 何これ?」

つまり、地球の構造や歴史について学んでたんです。
小学3年生で??


それがこの学校のやり方でした。
机の並んだ教室で、教科書を使って座学で学ぶのではなく、絵を書いたり、地球の模型を作ったり、みんなの前でプレゼンしたり。
表面的な内容ではなく、深い内容まで体験的に学んでいくのです。

しかも、文字や絵を書いてあるのは1ページ1ページ、違う色の画用紙。
普通の学校なら、書くのは白いノートや紙と決まっていますよね。
好きな色画用紙を使って、好きな色で書いていいなんて、幼稚園みたい。

模型を作るのも、何を使ってどんなふうに作ってもいいそう。
決まった席があるわけじゃなく、テーブルを選んでも、ソファーに座っても、床に座って作業をしてもいい。

まったくルールや形にこだわらない、自由なやり方なので、子どもとしては学校で勉強している感覚ではなく、一日中遊んでいるような気分なのです。


英語ができるとかできないとか、あまり関係ない。
もちろん英語を教えてもらうわけでもない。
理科の時間とか、音楽の時間とか、教科の区別があるわけでもない。

ある日はパワーポイントを使ったり、ある日は演劇をしたり、バイオリンを弾いたり、水遊びをしたり。
クラスメイトとワイワイ言いながら、とにかく体を使って次々にいろんな活動をして、楽しくコミュニケーションや学びを重ねていく毎日なのでした。


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