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夏は、夜。

(2024年7月29日に書いたもの)
夏は、夜。

涼しくなってからはさらなり。闇もなほ、犬の散歩などし、自分の時間にひたる。考えが、ただ一つ二つなど、浮かんでくるのも、をかし。足の向くまま遠回りするも、をかし。


前にね、夜に犬の散歩をしてたの。

そしたら、自主隔離中に毎朝吉原観音に通ったことを思い出したの。

母の手術が成功しますようにって。

コロナ禍の暑い夏。観音様は、岩の上に立っていて、大きくて、畏怖を感じるという言葉がぴったりな存在。前に立つと動けなくなる。足がすくむくらい怖いのに、ずっとここに居ないとと思わせる何かがあって、浅草にいる間は毎日通わないと気がすまなかった。


そしたら、急に、自分は吉原に売られた娘だったんだって思い出して(なんかありがち)、村が飢饉に襲われて、貧乏で(これもありがち)お母さんは誰か分からないんだけど、お母さんの方が積極的に私を売ろうとしてるのが分かってて、「お父さーん!」って泣き叫びながら助けを求めてるの。

お父さんは、私を売りたくないんだけど、どうしようもなくて、悲しんでるのが分かって、涙が止まらなくなったの。はい、犬の散歩中です。なんなら、ウンチの袋とか片手に持っててるし。

で、お父さんが彼なの。

なんで?!

もう私の妄想もここまでいくとビョーキでしょう!!

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