あの青い屋根を抜けて
追いかけっこが好きだった
ただただ目の前の目標に向かって走り続けた
かかとは外側だけが削れて
後ろから見たらそれはレンズだった
踵
返した本は読まないままだった
感想はいつも最初と最後から抜粋した
楽しいことはいつでもその過程が
嫌いなことはいつでも始まりと終わりが
ずっとずっとその全貌だった
夏の日、傘を持たずに出た私は
土砂降りの中を大急ぎで家に向かい
タオルを用意してくれた母にランドセルを渡し
玄関で服を脱いで風呂場へ
冷えた身体と熱いシャワーが混ざって
そこは全てが平等だった
パンツだけ履いて、タオルケットに包まれながら
アイスをかじる
氷、溶けて落ちる。暗い空、晩御飯の準備
1度は行きたいあの場所
その瞬間を純粋に楽しんだ
今は忘れてしまったあの場所
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