追いかけっこが好きだった ただただ目の前の目標に向かって走り続けた かかとは外側だけが削れて 後ろから見たらそれはレンズだった 踵 返した本は読まないままだった 感想はいつも最初と最後から抜粋した 楽しいことはいつでもその過程が 嫌いなことはいつでも始まりと終わりが ずっとずっとその全貌だった 夏の日、傘を持たずに出た私は 土砂降りの中を大急ぎで家に向かい タオルを用意してくれた母にランドセルを渡し 玄関で服を脱いで風呂場へ 冷えた身体と熱いシャワ
故郷までの電車に乗っていると まるで自分が流れ星みたいで ああ、このまま燃え尽きて 軌道をずれて行くのだと 東京に染まったと思っていたけれど あの街では誰もが1人で よく見てもよく見ても私の事を知らなかった おやすみ またあした
しあわせのかたち 指でなぞり終わる頃には変わっていた あのね、来週もやるよ ここで待っているよ 1人の声、2人の影 夢から醒めて、ああそう言えば そう言えば全てなかったんだと 涙、汗、分からないけど滴る 夜中に目が覚めたから 真っ暗な空を眺めてみた 眺めてみただけなのに もう私の場所はなかった 明日、逆向きの電車にのって 海に行こう 君の仕草を追いかけている まだ追いかけているよ
夢を見るために眠る 水を飲むために起きる そうやってそうやって 何かのためにしか 何かを出来なくなった ただ楽しいから走り回った そんな少年時代を思い出す のぞみにのって
あなた、その幸せの形を覚えて 優しく、温かくなってちょうだい ゆっくりとゆっくりとその心を 夢の姿を融かしてしまうほど 熱いその理想の鋼鉄を 胸の中で閉じ込めていたものを 綺麗なあなたが混ざったままのものを 遠くで泣いたヨタカの目が 今でも怖くて夜は眠れないんです 羽毛布団は軽いだけで 何も支えてくれないんですよ 修学旅行の京都 清水の舞台から飛び降りる そんな気持ちで私 子どもを川に沈めました 浮いてこなかったから 浮いてこなかったから私 もう、あなたのものになれるのよ
もし私がやっとの思いで呼吸をしても 海の中では目立てない 魚はみんなずっとそうしてきたのだから 新しい靴を履いて歩いた日に限って なんだか地上は汚れているでしょう でもね、私が初めて陸にたった日は きっと今までで1番綺麗だったはずよ マニキュアが剥がれるのと 鱗が落ちるのは同じこと 少しずつ変わっていくのよ だってもう戻れないじゃない 夏の暑さを海の中で感じる度 泡になって思い出す あなたの声もまだどこかの海に溶けている
体調が悪い日 目が開かず、立つことは難しい 胃酸が踊る 脈は特有のビート 助けて欲しいよ薬
永遠が形を持ったらきっと全ての生物は幸せだろうね。ずっとずっと下にあるものがあるのだから。不安な夜も遠すぎる幸せも近すぎる朝も安心出来る程度の不幸も、家族も友達も周りにあるから知っているだけできっと地球の反対側ならないのとおなじでしょう。だから永遠もきっと周りにないだけ、だから、あなたが目を瞑って、そして、呼吸を二度としないうちに眠りにつけますように。
もう口から呪いが溢れ出す このまま、満員電車いっぱいの血液を集めたら 何 aの砂漠化を止められるのだろう 寝ても醒めてもあなたが、君が死ぬことを ただただ空想している 愛は永遠だから、僕の愛は君は永遠だから だからどうなっても最後の言葉で あなたと、君と呼んで欲しい
嫌な思い出に支配されている 逃げることは病気だ だから逃げないことは死に近い 豆腐が優しく溶けていく 私ならもっと優しいのに 昨日よりもずっと頭が痛い 幸せになってつまんなくなった おめぇだよ早く死んでくれ 大好きだから不幸であって欲しい 何も満たされていないあなたが ずっとずっと素敵なイデアだった ずっとずっと暖かい空気だったよ
ヨシくん あの時僕が言ったこと 君が言ってくれたこと全部覚えています ヨシくん 僕、君に死ねって言われたら死んだよ ヨシくん 何人かでザリガニ釣りに行ってさ 僕が最初に釣れたこと すごく喜んでくれたよね 他に誰がいたか覚えてないけど 君だけは覚えているよ ヨシくん 初めて会った時のこと思い出したよ ほかの友達とは話すのに 君とだけは話さなかったね 僕の第一印象どうだったかな 君は初めから優しかったよ ヨシくん 机に落書きした僕を見て ものすごく怒ったよね 僕も悪いと思
日が沈むと不安が強くなる 遠くが見えないから このまま1人だ 匂いも音も感触も なんかなんか違う気がする だから同じ味のガムを噛む
洗い物をして 紅茶を入れた スポンジを握って 全部全部流しきった 熱気でアイスをとかして 空を眺める 暗いのは怖かった でもみんな怖いから幸せだった 香りが空間を連続させて そういえば明日はキッチンカーが来るんだ ゴミをまとめなきゃ 残り物で何か作らなきゃ そう言って電気を消す
永遠は3秒 たったひとつ呼吸をして そして気がついたら無の中だ 無は無でも私がいたら有で それがつづいてまた戻る 有はいくつも有るけれど 無は一つしか無いらしい 不死鳥が死なないのは 誰もが見ていないからで 見分けることが出来ないから だからきっと消えることも無い 無いことが無いのは 無いことが有ることで だから結局無いことなんて無い 無いことなんて無いんだから 有ることは自然なんです。 そういう理論で生きている アリもアメンボもアシカも みんなアから始まるのに始まりじゃ
宙ぶらりん 心が宙ぶらりんだ UMAも幽霊も無意識も矛盾も あるようでないようで とりあえずも何も無い とりあえず選べる人は きっととりあえずじゃなくても選べる アフリカで井戸を立てる大学生は 偽善にひたって、過去の悪いことを忘れて そしてのうのうと生きていく みんなに苛まれて欲しいのは 罪悪感、孤独感、そして絶望感 自分と周りの人間以外が 普通の顔をして生きているのが 許せない たまらなく気持ち悪い ドブの匂い ずっとドブの匂いのする話だ お前もお前もどうせ掃き溜
君とバスに乗っている夢を見た 眼鏡をかけて小説をめくる君を 1番後ろの椅子から ずっと見つめていた ふと誰かが話しかけて 君が振り返った 見ていたことがばれないように わざとらしく床の模様を目でなぞった 君が好きだった その前髪と、明るくも暗くも無い性格と 穏やかそうに見えて熱い心と あの時坂の途中で話しかけてくれたこと その全部が好きだった 「矯正外れたらもっとモテちゃうね」 なんてあたかも気にしてないかのように ふと口をついて出てしまったけれど 本当はそのままでいて欲